第217話 黒き魔女

「よし!」 


 捕縛完了っ!!


「すごいっ! ソフィア様、さすがですっ!!」


「ふふ〜ん!」


 そうでしょう! そうでしょう!!


「この縛雷は私が作り上げた捕縛用の魔法!

 並大抵の者なら抵抗すらさせることなく、即座に捕縛することができるのです!!」


 オルガマギア魔法学園の授業で、オリジナルの魔法を1つ作るって課題が出たときに作り上げた魔法なのだ!!

 その効果は今、リアットさんに説明した通り! しかも、実用性に富んだ魔法なのだ!!


 雷速を誇るこの縛雷を避けることは、ほとんど不可能!

 そのうえ前世の記憶にあるスタンガンのように、対象者を感電させて、気絶させたことで無力化!

 さらにはほとんど無傷で敵を捕らえることができるっ!!


「うんうん」


 我ながら、素晴らしい魔法を開発してしまったものだわ!!

 まぁコントロールが非常に難しいってところが玉に瑕だけど……そんなことは些細なことなのだ!!


 現にミラさんを始めとするクラスメイトは誰も使えなかったけど、アルトお兄様やエレンお兄様。

 オルガマギア魔法学園の学園長でもあるマリア先生は、普通に使えてたし。


「ソフィア様、すごいですっ!!」


「ふふっ、じゃあ捕縛したあの人達を回収しつつ、フィル達に合流しましょうか」


 確かにフィル達は今まさに襲撃者達との戦闘の真っ最中、そんな場所に護衛対象であるリアットさんを連れて行くなんて、普通なら悪手にも程があるところだけど……


 ここで2人でいるより、フィル達の……というよりも、私とフィルの監督役であり、冒険者活動中の保護者でもあるルミエ様の近くにいた方が安全だし。


「はいっ!」


「あっ、リアットさん。

 みんなの前では、ソフィーでお願いしますよ?」


「ふふっ、勿論承知しております」


 ならばよし!


「じゃあ、行きましょうか。

 リアットさん、お手を」


「えっ? あっ、はい」


 いざ! 捕縛した2人のところは転移っ!!


「っと、はい到着しました」


「ソ、ソフィー様! い、今のはまさか……!!」


「はい、転移魔法です」


「っ〜!!」


「ふふっ、私にとっては転移魔法なんて簡単な魔法です」


 まっ! なんにせよ、これで襲撃者達が潜んでいる危険な森を歩くことなく、捕縛した2人の元までこれた。

 転移魔法を使ったのは決して! 歩くのが面倒だったとか、転移魔法をリアットさんに見せたかったとか、そんな下らない理由ではないのである!!


「あとはこの2人を連れて、フィル達のところへ……っ!!」


「ソフィー様?」


「リアットさん、絶対に私のそばを離れないでくださいね」


 これは、さっきまでとはわけが違う。


「それはどういう……」


「あら、もうバレてしまったの?」



 バチンッ!



 捕縛した襲撃者のうち、1人を捕縛していた縛雷が弾け飛ぶ。


「ウフフ」


 その身体に、見た目に似つかわしくない笑い声を上げながら。

 強大な魔力を発しながら、ゆらりと男が立ち上がる。



 ゴォッ──!



 漆黒の炎が立ち昇って、男を包み込み……


「まさか、ここで貴女に……不死の呪王を始末した者に会えるなんてね」


 黒い髪に黒い瞳。


「貴女が……」


 漆黒のローブに身を包んだ存在が……


「魔王が一柱ヒトリ、灰燼の魔術師ルイーナ」


 ふわりと降り立った美女が笑みを浮かべた。

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