第205話 これでこその冒険者っ!
っと、いうわけで〜……
「ふふっ」
やって来ました! 冒険者ギルド本部っ!!
「「「「「「「「……」」」」」」」」
えっ? なに?
なんなの、この微妙な空気は。
「ふむ……」
さっきまで……私達がギルド内に入るまでは、外まで聞こえるほどの喧騒に包まれていたのに、今は静まり返ってるし。
こっちを凝視して目を見開く、大勢の冒険者達……
「ん?」
あれ? なんか、すごい既視感が……デジャブってやつ?
う〜ん、あっ! あれだ! イストワール王国王都のギルドでも同じような反応をされたからだ!!
つまり、あれだな!
みんなは若き次世代の英雄! 白銀と呼ばれるSランク冒険者たる私が現れたことに驚いて、声も出ないってわけね!!
「ふふん!」
いいでしょう!
さぁ! 存分に見るがいいわっ!
「ソフィーちゃんだ」
「あれが……〝白銀の天使〟?」
「おいおい! 白銀の天使と一緒にいるのって……」
「光天と白帝っ!?」
「おいおい、マジかよ!」
「Sランク冒険者が3人もっ!」
盛り上がってるのはいいんだけど……これだけは訂正しておかなければ!!
「そこのお2人!
私は白銀の天使じゃなくて、白銀です!!」
まったく、そこを間違わないでほしいわ!
そもそも! フィルが光天、ルミエ様が白帝なのに対して、私が白銀の天使って!
確かにどれだけ訂正しても、みんな私のことをそう呼ぶけど……とにかく! 私は認めてないんだからっ!!
そんな2つ名は非公認なのだよ!
「あぁ〜、なんかアレだわ。
俺あの子が天使って呼ばれる理由がわかった気がする」
「わかる!」
「なんか心が浄化されたような気がするな」
お、おかしい。
ビシッと注意したはずのに……なんかあの人達、むしろ喜んでる気がするんですけど……
「おいテメェ! 俺達のソフィーちゃんに変な事をしたら……わかってんだろうな?」
「わかってるよ!
てか、Sランク冒険者に手出しするヤツなんて……」
「くっくっく、あはっはっはっはっ!
おいおい! お前らはマジで言ってんのか?」
これは……まさか!!
「そっちの女の方はともかく……こんな小娘とガキがSランク冒険者だと?
笑わせるなよ! なぁおい! 小娘共、お前らが本当にSランク冒険者だってんなら、この俺にその実力を見せてくれよ?」
冒険者ギルドのテンプレイベントだ!!
Sランクに昇格したばかりの頃は、イストワール王国王都ノリアナのギルドでもよくこんなふうに絡まれたりしたけど……最近ではめっきりなくなった。
それに比べて……さすがは冒険者ギルドの総本山たる、ギルド本部っ!
こんなの久しぶりで、本当に1年ぶりくらいで、ちょっと感動したわ!!
「うんうん!」
やっぱり冒険者はこうじゃないと!
なぜか冒険者のみんなも受付嬢のみんなも私のことを、ソフィーちゃんって、ちゃん付けて呼ぶし。
イストワール王国王都のギルドなんて、なんだか和やかな雰囲気なことが多いけど……活気盛んで、血の気が多くてこその冒険者っ!!
「いいでしょう!」
ここは彼の先達として!
Sランク冒険者としての威厳を見せつつ、軽く手合わせしてあげるとしよう!!
「どこからでも、好きにかかって来ていいですよ?」
「テメェ、俺が誰だかわかってんのか?」
えっ、いやいきなりそんなこと聞かれても……
「えっと……誰ですか?」
「っ〜!!」
も、もしかしてどこかで会ったことあったっけ!?
全然記憶にないんだけど……まさかの顔見知りだったりしちゃうの!?
「ふ、ふざけるな!!
俺はAランク冒険者! 剣風のシュバルだぞ!?」
「剣風のシュバル?」
申し訳ないけど、聞いたことがないのですが……
「あぁ、そういえば聞き覚えがあるよ。
ちょっと前に特別推薦試験でBランクに抜擢されたルーキーだっと思うけど、Aランクに昇格してたみたいだね」
「へぇ〜そうなんだ」
全然知らなかった。
「このっ! クソガキ共がっ!!」
ほほう、なるほど、なるほど。
このスピード、剣風って呼ばれるだけはある……けど。
「は?」
私には通用しない!
「っと」
振り抜かれた剣を最小限の動作でかわして、伸びた腕を掴んで軽くふわっと投げちゃったけど……よかった、天井を見つめてポカンどしてるけど、怪我はなさそうだわ。
「筋はいいですけど、感情に任せて真っ直ぐ突っ込んで来るのはよろしくありませんね。
あとはスピード任せで、剣術がなってません。
もっと技術面を鍛えるといいと思います」
「は、はい」
「それと! 確かにここは広いですけど、室内で剣を抜くのは危険です。
今度は注意するように!!」
「すみません、でした……」
「うんうん、では私はこれで」
私には早急にガルドさんに呼び出された用事を片付けて、ミラさん達とこの街を観光するっていう大事な予定がある!
「クリスティアさん、案内をお願いしま……」
「ったく、お前らなぁ……到着早々、騒ぎを起こすなよ」
「ガルドさん!」
「よぉ、ソフィー。
久しぶりだな、待ってたぜ」
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