第11章 魔人暗躍編
第203話 本部からの連絡
古くは安息の大地と呼ばれているレクイエ大陸の中央部に位置する超大国レフィア神聖王国……の、お隣に存在する中堅国家。
大陸全土でも有数の歴史を誇っているイストワール王国。
中堅国家でありながらも、観光地として栄え。
近年は各国からも注目されている、イストワール王国の王都ノリアナに存在する冒険者ギルド。
依頼を物色する者、排泄されている酒場で酒を飲み交わす者達。
多くの冒険者達によって賑わうギルドが、不意に水を打ったかのように静まり返る。
「おい、あれって……」
「すげー……本物だ……」
「うそっ、あの子が……?」
「まじかよ……あの噂ってガチだったのかよ……」
ついで口々に囁かれるのは、驚嘆の言葉ばかり!
彼らの注目を集めるのは……腰まである美しい白銀の髪を一歩歩くに合わせて軽く波打たせ、優雅で気品に満ちた所作で歩く白い仮面で顔を隠した一人の少女!!
今や世界中にその名を知らしめ!
次世代の若き英雄と謳われる存在!
〝白銀〟の二つ名を持つ、最年少のSランク冒険者ことこの私っ! ソフィア・ルスキューレっ!!
ふふ〜ん! まぁ、みんなが驚くのも無理はない!!
なにせ私は世界でも10数名しか存在しない、最高位たるSランク冒険者の1人なんだし!
さぁっ! 存分に驚くがいいわっ!!
「ソフィーちゃん、お疲れ様です。
今回の依頼はどうでしたか?」
「お疲れ様です。
依頼はもちろん! 無事に完遂しましたよ」
「っ〜! 流石ですね!」
まっ、確かに高難易度の依頼ではあったけど……あの程度の依頼私にとっては容易いのだよ!!
「それにしても……相変わらず凄いですね」
「もう慣れました」
苦笑いしてる受付嬢さんのいうすごいとは、さっきからずっと私のことを注視してる冒険者達のことだろうけど。
冒険者ギルド本部で教団の手によって歴史上初めて発生した、七大迷宮のスタンピードをはじめとする一連の事件。
あのあと、正式にSランク冒険者昇格試験を受け直して、無事に最年少のSランク冒険者となってから早1年半!
この一年半は……我が麗しき婚約者であるセドリックが、お馴染みのアポ無し突撃してきたりはあったけど、特に大きな問題もなく至って平和だったといえる。
つい先日あった私の12歳の誕生日パーティーでも、セドリックとのダンスは回避できたし、つつがなく終了した。
あのときスタンピード引き起こした張本人でもある最高幹部・十使徒の1人をレヴィアさんに殺されたのは、教団にとってもさすがに痛手だったらしい。
とまぁなんにせよ! 私がSランク冒険者に昇格してから約1年半。
最年少のSランク冒険者を一目見ようと、ここイストワール王国の王都の冒険者ギルドには大勢の冒険者が訪れた。
最初はびっくりしたけど……さすがにもう慣れたわ。
「っと、それよりも……」
パチン!
指を軽く打ち鳴らした瞬間──ドスンっ! と音を立てて、私の側に2メートルほどの巨大な角が現れ、ギルド内にどよめきが沸き起こる。
「はいこれ、今回の討伐証明です」
「魔獣ベヒーモスの角、確かに確認いたしました」
魔獣ベヒーモス。
特Aランク、災禍級に数えられる存在。
獣の王とも呼ばれる魔物で、赤黒い身体に側頭部から生える捻れた牛のような真っ黒な二本の角。
そして長く鋭い犬歯を覗かせる顎には一本の角が伸びていて、その威容は獣の王と称されるに相応しい。
めちゃめちゃカッコよくて、その見た目通りの強さだったけど……魔王や教団の最高幹部達と戦ってきた私の敵じゃない!!
「こちらが今回の報酬になります」
おぉ〜、さすがは獣の王と称されるベヒーモスの討伐依頼。
ズッシリとした金貨の重みが!!
「みなさん、今日は私の奢りです。
好きなだけ飲んで、食べて、楽しんでください!」
「「「「「「「「うぉ〜っ!!!」」」」」」」」
ふふんっ! 決まった〜!!
軽く大金を稼いで、豪快にお金を使うっ! これぞ、高位冒険者っ!!
「もう! ソフィーちゃん、皆さんを甘やかさないでください!!
いつもバカ騒ぎになって大変なんですから!」
「うっ……すみません」
怒られちゃった……でも、みんな喜んでるし、別に悪い事をしたわけじゃない……よね?
「と、とにかく! 私は少し用事があるのでこれで!!」
「あっ! ちょっと待ってください!!」
「は、はい」
な、なに? これ以上怒られるのは嫌なんですけど……
「実はギルド本部からソフィーちゃんに連絡があるんです」
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