第202話 宴だぁっ!!
みんなでガルドさんの執務室に転移して、色々と話し合ったり、説明を受けたりしてから早数時間。
なんで、どうして、こんなことになってしまったのだろう……
「ふんふんふふ〜ん!」
目の前に広がるこの光景。
鼻歌を歌い、満面の笑みを浮かべて、めちゃくちゃご機嫌な様子なレヴィアさん。
「あぁ〜! 可愛いです!!
ルミエ様! 見てください! ソフィーちゃんが可愛いです!!」
そして、なぜかそんなレヴィアさんによって、お風呂では隅々まで身体を洗われ。
着せ替え人形にされて。
髪を結われている……鏡の中で若干死んだ魚みたいな目をしてる私。
おかしい。
これは絶対におかしいっ!
なんで私はこんなにも甲斐甲斐しく、レヴィアさんにお世話されてるのっ!?
「レヴィア、貴女ね……何度も言うけれど、これから始まるのは王侯貴族のパーティーや夜会じゃなくて、この冒険者達の街を上げての宴。
お祭りなのよ? そんなに着飾ってどうするのよ……」
そう! その通りっ!!
ルミエ様の言う通り、これから始まるのは王宮で行なわれるような王侯貴族のパーティーではない!!
今回のスタンピード。
歴史上初めて勃発した七大迷宮のスタンピードを、大した被害も出すことなく無事に切り抜けたことを祝うお祭りっ!!
にも関わらず……
「ソフィーちゃんは今回のスタンピードを収束させた立役者、謂わばそのお祭りの主役です。
そんなソフィーちゃんを着飾らせないなんて、あり得ませんっ!!」
「それはそうかもしれないけれど……3時間は流石にやりすぎよ」
さすがにもうヘトヘトだわ。
そりゃあ私も公爵令嬢だし?
お風呂で誰かに身体を洗われたりするのも、着せ替え人形にされるのも、お母様やファナ達の影響で慣れてるけど……
なにせ……数時間前に聞いた話によると、数あるダンジョンの中でも七大迷宮には特別な役割があるらしく。
その難易度は他のダンジョンとは一線を画し、さらには七大迷宮を管理して守っている守護者が存在するとのこと。
その守護者……ルミエ様をもってして、圧倒的といわしめる実力を誇る存在。
悪魔達が住う悪魔の世界、悪魔界を強大な力で統治する存在にして、悪魔の中でも最高位に位置する大悪魔……悪魔公。
レヴィアさんはそんな大悪魔の一柱で、七大迷宮・大海を管理している七魔公と呼ばれる存在なのだとか。
そんなレヴィアさんに甲斐甲斐しくお世話をされて、気後れしない方がおかしいのだ!
「そんな事はありません!
こんなに可愛いソフィーちゃんが人前に出るのに、着飾らないなんて許されるはずがありません」
「はぁ……どうして貴女達はそう我が強いのかしら……」
とかなんとかいってますけど、ルミエ様も一緒になって私のことを着せ替え人形にしてましたよねっ!?
そもそも! 着替えて身支度を整える必要があるのなら、一瞬にして服を着替えて身支度を整えられる超便利な魔法……
「ふふっ! 満足です、やはり可愛い女の子は、最低限このくらいに着飾らなければ!!
ソフィーちゃん、お似合いですよ」
「ありがとうございました……」
しかし……なんで悪魔界の統治者の一角なんて立場でもあるレヴィアさんが、こんなに人のお世話をすることに手慣れていて上手なんだろ?
う〜ん、謎だわ。
コンコン
「ん?」
誰だろ──
「お疲れ様、ソフィー」
「フィル!」
「俺達もいるぞ」
「失礼します」
ガルドさんにクリスティアさんも!
「私が念話で呼んだのよ」
おぉ〜、さすがはルミエ様! 手際がいいっ!!
「だいぶお疲れのようだね」
「むぅ、他人事だと思って……」
「あはは、ごめんごめん」
フィルには色々と借りがあるし……むふっ! ここはひとつ揶揄ってやるわ!!
「それよりも……フィル、私になにかいうことはないのかしら?」
ふふん〜! どうよ!?
このキリッとした凛々しくも妖艶な、悪役令嬢然とした姿!!
さぁ! 恥ずかしがって、戸惑いなさい!!
「そうだね……ソフィー、本当によく似合ってるよ」
「へっ?」
な、なんで! ここはもっと赤面して恥ずかしがるところじゃないのっ!?
「ったく、なにイチャついてやがるんだマセガキ共」
「ッ〜!?」
イ、イチャついっ!?
「そんな事をやってないで早く行くぞ。
みんな待ってるんだからな」
「ま、待ってる? なにをですか?」
「そりゃあ決まってるだろ。
今回のスタンピードを抑え込んだ立役者、主役がいねぇと宴は始まらねぇだろ!!」
瞬間──一瞬で視界が切り替わり……
「「「「「「「──ッ!!!」」」」」」」
「テメェら! 待たせたなっ!!
まぁ説明は後々するとして……とりあえず! 無事にスタンピードを切り抜けた事を祝して! 宴だぁっ!!」
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