第192話 終結……

 ピシッ────!!!



「「「「「「「「っ……!?」」」」」」」」


 私が魔力を解き放ち、魔法を発動した瞬間──ゴォゴォって轟音を立てていた濁流が!

 喧騒に満ちていた冒険者達の声が!

 この広場全体が静まり返って、静寂が舞い降りるっ!!


 唖然と目を見開く冒険者達の眼前に広がるは……土の壁を破壊して、今まさに街中に流れ込もうと唸る濁流が。

 地面が、空気が……私の前の空間が一瞬にして凍りつき、白く染まった世界!!


「ふふ〜ん!」


 どうだ見たかっ!

 これが私の! 全力を出した冒険者ソフィーこと、ソフィア・ルスキューレの力なのだよっ!!


「噂には聞いていたが……」


「これは、噂以上ですね」


「むっふ〜!」


 冒険者ギルドの頂点に立つギルド統括グランドマスターのガルドさんと、副統括サブマスターのクリスティアさんも驚きを隠せないようだ!!


 まっ! 自分でいうのもなんだけど……この光景を目の当たりにすれば、それも無理はない。

 というか、当然の反応だけど!! だって……


「あはは! 流石はソフィー。

 まさかたった1人で、それも一瞬で七大迷宮のスタンピードを食い止めちゃうなんてね!!」


 そう! フィルのいう通り、歴史上初めての……前代未聞の七大迷宮が一角のスタンピードという一大事を1人で!

 それもたった一度魔法を放っただけで! ほんの一瞬で終結させてやったのだっ!!


 この光景を見て、平然としてろって方が無理がある。

 ガルドさんとクリスティアさんが、この広場に集結していた高位冒険者達が、驚愕に目を見開いて唖然としちゃうのは至極当たり前なのだ!


「それにしても……相変わらず凄いね、この魔法」


「当然! なにせこの魔法はルミエ様に話を聞いて、再現した超魔法。

 その昔、魔法神ティフィア様が使ったとされる魔法だもん!!」


 しかも、魔法神様が直々に創り出された魔法!

 そんなのすごくないわけがないじゃん!!


「それに! この魔法、白銀世界シルバーは、大地も、水も、空気も、炎やマグマさえも!

 術者が指定する物全てを凍りつかせる絶対零度!!

 私の魔法の中でも、炎域と並ぶ超魔法なのだ!」


 ドヤァ〜!

 炎域もだけど、この白銀世界もみんなに自慢できる魔法だと思う!!


「しかも今回はフィルとの試合のときと違って、言葉通り全力での魔法だし……この広場全体の水だけじゃなくて、ダンジョン内部の海水も凍りついてるはず」


 まっ、今回は対象が海水……水で相性がよかったのもあるけど!

 とにかく!!


「これで、今回のスタンピードは終結した!!」


 ふっふっふ〜ん! さぁ、みんな私を褒め称えるのだ!!


「ソフィー……それってフラグじゃ……」


「えっ?」


 いやいやいや、さすがにそれは……



 ピシッ──



「……」


 な、なんかいや〜な音が聞こえた気がするんですけど……



 バキッ!



 やっぱ聞き間違いなんかじゃないっ!!


「フィ、フィル! どうしようっ!?」


 凍りつかせた水が!

 ダンジョンの入り口を塞いでいた氷に亀裂が走って……というか! なにこの魔力っ!?

 ダンジョンの中から……ダンジョンの奥底から、ここまで明確に伝わってくる圧倒的な魔力!!


「来たぞ」


「やはり、こうなりますよね……」


「これは相当ね……」


 えっ! えっ? なに!?

 ガルドさん、クリスティアさん、ルミエ様! それってどういう意味っ!?


「おい、ソフィー、フィル。

 お前らには有象無象を任せるぞ」


「有象無象って……」



 バキバキバキバキッ!!



「っ〜!!」


 私が凍らせた氷が砕かれたっ……!!


「来るぞっ!」


 あぁ〜! もうっ!!

 せっかくスタンピードをビシッ! っと、カッコよく収めて見せたのに、なにがどうなってるのよっ!!


「フィル!」


「仕方ないね」


 氷を砕いて、ダンジョンから飛び出してきた数名の人物。

 この人達が何者なのかは知らないけど、詳しいことはあの人達をボコっ……こほん、懲らしめて聞き出してやる!

 私の活躍に水を差した罪を思い知らせてやるわっ!!

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