第189話 始動!!
「「っ〜!!」」
す、すごい重圧!
これが冒険者ギルドの……全ての冒険者の頂点に立つ存在のプレッシャー!!
「キュッ、キュゥ……」
竜種であるキューちゃんが怯えてるけど、それも無理はない。
だってマリア先生やガルスさんに皇帝陛下、英雄と呼ばれる人達と同等の重圧だし。
「その話、偽りはないな?」
ガルドさんが向けてくる真剣な鋭い視線。
この重圧と相まって、自然と背筋が伸びて身が引き締まる感じがする。
ここは私も真剣に答えないと──
「ぐおっ!?」
「まったく……ソフィーさん達を威圧してどうするのですか?」
キリッとした真剣な面持ちだったガルドさんの後頭部にスパーンっ! って、クリスティアさんの一撃が入ったっ!!
「いや、だからっていきなり殴るなよ!?」
「殴っていません、叩いたのです」
「どっちも変わらねぇじゃねぇか!!」
「「……」」
「ッ〜!」
こ、これはもしや! 夫婦喧嘩っ!!
まずい! こんなことで、それもこんな緊急時にガルドさんとクリスティアさんの夫婦仲が壊れたりしたら……
フィルとルミエ様は呆れたような顔をしてるだけだし……この恐ろしい事実に気づいたのは私のみ!
ここは私が2人の夫婦仲を保たなければっ!!
「すみません、ソフィーさん、フィルくん。
大丈夫でしたか?」
おぉ〜! クリスティアさんに頭をなでなでされちゃった……って、そうじゃない!!
ガルドさんのことをガッツリ無視してるし、これはもう相当まずい状態なんじゃ……
「ったく、昔はもっと可愛げがあったの……」
「ふふふ、なにか仰いましたか?」
「……いや、なにも」
うわぁ〜、なんかめっちゃデジャブな光景だ。
これは……あれだ! お父様とお母様が同じようなやりとりをよくやってる!!
でも、お父様はお母様にメロメロだし、お母様もお父様のことを愛してる。
よく呆れて、叱ってはいるけど……とにかく! お父様達は夫婦仲が悪いどころかラブラブといえる。
ということは……ガルドさんとクリスティアさんの夫婦仲も問題ない?
これは夫婦喧嘩じゃなくて、じゃれあってるだけ?
よかった〜! でも……
「こほん、ガルドさん! クリスティアさん!
夫婦仲がよろしいのはいいことですけど、今はイチャイチャしてる場合ではありません!」
そう! 今はこの冒険者ギルド本部存続の! この大都市で生活している多くの人達の危機なのだ!!
今はまだダンジョンから魔物達が溢れ出てないけど、もたもたはしてられないっ!
「いや、別にイチャついてはいないのだが……こほん、とにかくだ、さっきの話は本当なんだな?」
「もちろんです。
イタズラでこんなことはいいません!」
「ただ、あくまでも恐らくですけどね。
まだ魔物達がダンジョン外に溢れ出たわけではないので」
「そうか……これはちとヤバい事になったな……」
ガルドさんが深刻そうな顔で呟いてるけど、私もガルドさんの意見に同意だわ。
ただでさえスタンピードは国難とすらいえる危機なのに、七大迷宮のスタンピードなんて前代未聞!!
私達がダンジョン内で見た大津波と、魔物達の大群はスタンピードのほんの序章にすぎないだろうし。
いったいどれほどの規模のスタンピードが発生して、どれだけの被害がもたらされるのかは未知数……早く対応を取らないと!
「よし、事実確認をしている暇はねぇ!
早急に本部全域に警報を出せ! Bランク以上の高位冒険者はダンジョンから溢れ出す魔物達の対処。
他の奴らは市民の避難と高位冒険者の補佐を」
「わかりました。
それで、貴方は?」
「当然! 俺も出る」
おぉ〜! カッコいいっ!!
闘志と戦意、そして絶対的な自信に満ちた笑みを浮かべてガルドさんが立ち上がった!!
「クリスティアは後方で全体の指揮を……」
「ご冗談を、私も前線で戦います
それに……彼女を止めるには貴方一人では負担が大きいでしょう?」
「ったく……まぁ、お前ならそう言うだろうと思ってたがな。
ルミエ、お前にも手伝ってもらうぞ」
「ソフィーの側にいたいけど……仕方ないわね」
えっ? なんの話??
それに彼女を止めるって、いったいどういう……
「ソフィー、フィル。
お前達にも期待してるぞ?」
「っ! 任せてください!!」
「あはは……まぁ、出来る限りの事はします」
むふふっ! このスタンピードを! 歴史上初となる七大迷宮のスタンピードを食い止めて……私の力と名声を、更に大きく世界中に知らしめてやるわっ!!
「よし、じゃあ……行くぞ!
俺達の手で、この場所を……冒険者ギルドを守り抜く!!」
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