第183話 試験内容

「おぉ〜! すごい!!」


 目の前に広がるは、さんさんと照りつける太陽! 青い空! 真っ白な地面!

 そして……エメラルドグリーンに輝く広大な海っ!!


 白いビーチとエメラルドグリーンの海とのコントラストが素晴らしい!

 まさかここで、海を見ることができるとは!!


「フィル! ルミエ様!

 見てください、海ですよ! 海っ!!」


 イストワール王国は内陸国だから海はないし、何気に海を見たのは初めてだから感動だわ!


「早く早く! 早く行ってみましょう!!」


「ふふっ、そんなに急がなくても海は逃げないわよ?」


「ちょっと、ソフィー!

 危ないから、そんなに引っ張らないで」


「はっ!」


 わ、私としたことが……初めての海でテンションが上がって、子供みたいにはしゃいじゃった!

 ルミエ様は微笑ましそうな顔をしてるし、フィルも……仮面をつけてるから顔は見えないけど、呆れたような顔で苦笑いしているに違いない!!


「こ、こほん! いっておきますが、別にはしゃいでなんてないですからね!!

 フィル、ルミエ様、私達がここに来た目的はわかっていますよね?」


 確かに海は綺麗だし、初めての海でちょっとだけテンションが上がっていたのは認める。

 だがしかし! 我々はこの海に遊びに来たわけではないのだ!!


「そう! 私達がこの場所に来た理由……それは! Sランク冒険者昇格試験を突破するため!!」


 ことの発端は30分ほど前。

 冒険者ギルドの統括グランドマスターであるガルドさん、副統括サブマスターのクリスティアさん達と話していたとき。


 ガルドさんが威厳たっぷりに……

『お前達3人には、推薦状の提出の後……Sランク冒険者昇格試験、通称S級試験を受けてもらう!!』

 って、いい放ったあとに遡る。


 Sランク冒険者昇格試験の内容はいたってシンプル!

 冒険者ギルド本部の真下に存在するダンジョン。

 冒険者ギルドが定める難易度は、堂々の最高位たるSランク!!


 いまだに誰も踏破したことのない、世界最大規模を誇る七つのダンジョン。

 世界樹、奈落、天空、楽園、大罪、試練と並んで、七大迷宮の一角に数えられるここ! 七大迷宮・大海っ!!


「今回! 我々に課せられた試験は、この七大迷宮の一角である大海の第11回層までたどり着くこと!!」


 まぁ、正確には10回の最奥にいる回層ボスを倒して、ポータルる登録。

 転移門を使ってギルド本部まで帰還することだけど……とにかく!


「私達はここに遊びに来たわけではないのです!!

 よって! すぐに出発……と、いいたいところですが、まずは何事も英気を養うのは重要です」


「「……」」


 フィルとルミエ様の私を見る目が、呆れたような目になってるけど……細かいことは気にしない!

 だって……


「そういうわけなので、早速この綺麗な海で遊……こほん! 休憩するとしましょう!!」


 せっかくの海なんだから、遊びたいんだもんっ!!

 今日のために水着も持ってきてるのに、このまま綺麗な海を素通りなんてできようか?

 いいや! できるはずがないっ!!


「まぁ、長々と熱弁してたけど……つまりは遊びたいって事だね」


「ふふっ、必死に言い訳するソフィーも可愛い!」


 さぁ! エメラルドグリーンの海が私を待っているっ!!

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