第9章 学園交流会編

第159話 新たな専属

「……様」


「んぅ……」


「ソフィーお嬢様、お目覚めの時間ですよ」


「ファナ?」


「ふふっ、おはようございます」


「おはよう……」


 せっかく起こしてくれたのはありがたいけど、時間的にはまだまだ余裕がある!

 よって……


「おやすみなさい」


 まだ眠いからギリギリまで寝る!

 昨日はルミエ様と一緒に遅くまで修行をしてたから眠たいのだよ〜。


「ふにぁ〜……」


「……仕方ありませんね。

 お願いします」


「わかりました……こほん、ソフィアお姉様! 起きてください!!」


「ふぁっ!?」


 び、びっくりした〜……いきなりお布団を剥ぎ取られて、抱きつかれたんですけど!!

 おかげで変な声が出ちゃったじゃんか!


「もう、ミネルバ……」


「えへへ」


 満面の笑みを浮かべて、私のお腹に抱きついてる美少女こと……我が義妹ミネルバ!!

 えへへって! ちょっとまえまでツンケンしてたミネルバがえへへって……!!


「か、かわいい〜っ!!」


「お、おおおお姉様っ!?」


 もうギュッとしちゃう!


「まったく……この子達ったら」


「ふふっ、微笑ましい光景ですね」


 ま、まずい、またやってしまった。

 呆れたようなルミエ様と優しげなファナの声で我に帰ったけど……私としたことがぁっ! またしても、我を忘れてミネルバを撫で回してしまうなんてっ!!


 あぁ恥ずかしいっ! 穴があったら入りたいっ!!

 やめて! ルミエ様もファナも呆れたような、微笑ましそうな目で私達を見ないでっ!

 くっ、どうにかして、このなんともいえないこの空気を払拭しなければっ!!


「こほん、とにかく! もう起きてください。

 今日は大事な用事が控えているのですから!」


 ミネルバ! ナイスアシストっ!!

 そう! ミネルバのいう通り、今日は大事な用事が……あれ? そんなのあったっけ?


「大事な用事?」


「お嬢様……」


「まさか才女の名前を欲しいままにしていたソフィアお姉様に、こんな一面があったなんて……」


「っ!?」


 ミ、ミネルバにも呆れられたっ!?


「こんなお姉様は嫌いになっちゃった?」


「っ! そ、そんなことはありませんわっ!!

 なんというか、普段の公爵令嬢として振る舞っているときのイメージとのギャップが……その、今のお姉様も好きです……」


 おぉ〜、ミネルバが顔を赤くして恥じらってる!!


「あぁ! もうっ、私の妹はなんて可愛いのっ!!」


 ミネルバが私の妹になってから……あの騒動から1ヶ月。

 ツンツンしてたミネルバがデレてくるのがやばいっ!!


「なんと言うか……アレね。

 この光景を見てると、やっぱりソフィーもルスキューレ公爵家の一員だって事がよくわかるわ」


「小さいお姿のルミエ様を抱きしめている時もこんな感じですよ?」


 っと、またついついミネルバを抱きしめちゃった。


「ふふっ、ミネルバもうここでの生活に慣れた?」


「えっと、はい」


 それはなりより。

 だけど……


「なにも私のメイドとしてオルガマギア魔法学園にくる必要はなかったのに」


 いやまぁ、確かにイストワール王国にいても居心地は悪かっただろうし、私が学園に戻るのに一緒に着いてきたのはわかるよ?

 けど……なぜに専属メイドっ!?


「ふふっ、こうしてソフィアお姉様のお世話をするのは楽しいから問題ありません!」


 そういう問題じゃ……まぁ、ミネルバが楽しんでるなら別にいいけども。

 しかし、まさかあんなことになるなんて、さすがに想像してなかったからな〜。


 1ヶ月まえ、ダンジョンから帰還して、すぐに行われた国王陛下とフローラ様のお2人を交えた会議。

 そこでことの顛末を報告したことで、私の正体がお2人にもばれてしまったけど……あれはまぁ仕方ない。


 お父様が脅迫……こほん、交渉の末に私のことは秘密にするって約束させて、契約魔法まで結ばせてたし。

 むしろ国のトップを味方に引き込めたわけだし、結果オーライといえる。


 そして! エルヤード公爵が失脚と、ミネルバがルスキューレ公爵家の養女となることがトントン拍子で決定。

 まぁこれも、いいよね? って感じでお父様が押し通したんだけど……とにかく! ここまでは当初の予定通り。


 問題は……ミネルバがルスキューレ公爵家の養女となった場合、第一王子と第二王子の両方の婚約者がルスキューレ公爵家の者となってしまう点!!

 さすがにそれはマズイってことで、色々と話し合われた結果……


「はぁ……」


 ウェルバーの案が採用された。

 曰く! ウェルバーはダンジョンでの戦闘で大怪我を負い、将来的に執務を行うことは難しいという理由から王位継承権を放棄。

 療養のためという名目で表舞台からフェードアウトする、とまぁここまではいいんだけど……



 コンコン



「失礼します」


「なんで……」


「おはようございます。

 専属執事ウェルバーが参上いたしましたよ、ソフィアお嬢様」


「もうウェルバー様っ! 早く出て行ってくださいっ!!

 いくらウェルバー様でも、ソフィアお姉様のパジャマ姿は見せませんよ!!」


 なんで! ウェルバーまでもが私の専属執事なんて肩書きを持って学園についてきてるのっ!?

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