第151話 慈愛のピア
「ぇ……」
ナルダバートが末席である第十使徒……?
ちょ、ちょっと待って! ということは、同じ教団の最高幹部の中でも、ナルダバートは最弱だったってこと!?
い、いや! まだそうと決まったわけじゃない!!
教団の最高幹部だっていう十使徒の序列が、実力で決まってるのかなんてわからないし。
末席でも実力なら上位の可能性だって十分に……
あっ、でもさっきピアは第十使徒だったナルダバートよりも自分の方が格上だっていってた!
じゃあやっぱり、八魔王が一柱にして不死の呪王と恐れられた魔王ナルダバートが……あのナルダバートが最高幹部の中では末席で1番の下っ端……
「うふっ! 驚きと恐怖のあまり、声も出ないですかぁ〜?」
「むっ!」
失敬なっ! 私はいずれ最強に至る者にして、社交界では月の女神と称されることになるクールでかっこよくて孤高な未来の悪役令嬢!!
確かに……ちょっとびっくりはしたけど、その程度のことで臆する私ではないっ!!
「ふぅ〜」
そうだ、たとえピアがナルダバートよりも強かろうが関係ない。
「ふん! 慈愛のピア? 十使徒が第七使徒? そんなことはどうでもいいわ」
さぁ! 刮目せよっ!!
本物の……真の悪役令嬢たる、私の威厳に満ち溢れた姿をっ!!
「ただ一つだけいえるのは……まだ幼い子供を、ミネルバを洗脳までして、いいように利用した貴女は最低な下種だということだけ」
いついかなるときでも、冷静沈着で! カッコよくて! 優雅! これこそが真の悪役!! 真の悪役令嬢の姿っ!!
「確かに貴女は強い。
いくら私でも貴女には勝てないかもしれない……けど!」
パチンっ
「っ!」
「ミネルバ!」
とりあえず、未だに唖然と座り込んでるミネルバを、同じく愕然と私達を見てるウェルバーのところに強制転移!
それから……
バチィッ!
「「っ!?」」
耳をつんざく雷鳴が鳴り響いて、地面に……ウェルバーとミネルバの周囲を囲むように青白い光が迸り! 2人が目を見開いて息を呑む!!
「断魔結界」
これでよし!
「これは……隔離結界ですか?」
ふふ〜ん! どうよ!!
ナルダバートが使っていた隔離結界の魔法を、この目で! 探究者で見て盗んでやったのだ!!
この結界の強度はマリア先生のお墨付き!
たとえピアが本当にナルダバートよりも強かったとしても、そう簡単には突破できない!
「これで貴女は、もう2人に手出しはできない。
そして! たとえこの場で貴女に敗れようとも……この私が、貴女のような下種に屈することは決してないわ!!」
もっとも……負けるつもりはまったくないけど!!
「……なぁ〜」
「?」
若干俯いて小声でなにかいってるけど……今は戦いの真っ只中!
そんなときに、それも全力戦闘スタイルの私の前で隙を見せたことを後悔しなさいっ!!
ウェルバーとミネルバは隔離結界で保護してるとはいえ、2人を守りながら戦っている状況!
ピアがには悪いけど……この一撃で終わらせてもらうっ!!
「霹靂……」
ッ──
音すらも置き去りにする雷速。
正真正銘、今の私にできる最速で一瞬のうちに肉迫し……
「ぇっ?」
「ソフィーちゃん」
「なんで……」
さっきは一切私のスピードに反応できてなかったのに!
いや! それ以前に、雷と化した私の腕を掴んでっ!?
「つまんないなぁ〜」
「ッ!?」
なに、この悪寒。
「なんでもっと恐怖しないの? なんでもっと絶望に顔を歪めないの?」
「離っ」
「ソフィーちゃん如きが」
「ッ──!!」
ピアに捕まれてる右腕の感覚が……
「ナルダバートなんかに勝てたからといって、敬愛する光の神の敬虔な使徒である私に!
我らが御主人様の第七使徒である慈愛のピアちゃんに、勝てるわけないじゃないですか!!」
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