第145話 少女の狂気
「ソ、ソフィア嬢? それはいったい……」
「ソフィアちゃん、いったい何を……」
国王陛下とフローラ様を筆頭に、呪いについて詳しく知らない組は驚愕に目を見開いてるけど……残念ながら、これはまず間違いない。
「そのままの意味です。
ミネルバ様は私達を陥れるために、自ら自身とウェルバー殿下に呪いをかけたのです」
さっき、アルトお兄様が2人の呪いを解呪した直後、ミネルバに起こった現象。
あれはガイルが言うように、呪いに晒された影響で衰弱してたわけじゃない……あれは紛れもなく、呪いが解呪されたことによるリバウンドっ!!
「ふふっ! その通りよ!!
貴女とルスキューレ公爵家には、私とウェルバー様を暗殺した罪を背負って消えてもらう予定でしたの」
「ミネ、ルバ? いったい、何を言って……」
「けど、バレてしまったからには仕方ありませんわ」
「っ!」
ミネルバから滲み出る、禍々しいこの魔力。
「これは……」
「うそ……」
さすがにこれで、両陛下も理解できたようだ。
ウェルバーとミネルバが呪いに倒れたのは……全て! ミネルバの自作自演だということに!!
いや、それどころか……
「今回の騒動。
裏で糸を引いていたのはエルヤード公爵ではなく、ミネルバ様ですね?」
「……ふふっ、うふふふふっ! あはっはっはっはっ!!」
「ミネ、ルバ……」
ウェルバーがミネルバを見て唖然としてるけど、そうなるのも無理はない。
だって、めっちゃ狂気に染まった顔で笑ってるし……ちょっと怖いもん。
「さすがはソフィア・ルスキューレ! ご明察、その通りですわ。
貴女の噂を利用して騒動を大きくしたのも、それぞれの派閥を煽って焚き付けたのも。
邪魔なセドリック諸共、ルスキューレ公爵家を……貴女を消す計画を立てたのも全てこの私!!」
お、おぉう……さすがにここまで堂々と宣言されると、逆になんていったらいいのかわからなくなる。
しかも! やっぱり怖いっ!!
「うふふっ! さりげなく言葉でお父様を操り、せっかく完璧な場を整えてあげたのに……失敗してしまうだなんて、本当にお父様はダメですわ。
尤も、愚かで愚図なお父様は、私に操られていただなんて認めないでしょうけど」
「ミネルバ嬢、何故このような事を……」
「あら、陛下もおかしな事を仰いますわね。
何故私がこのような事をしたのかだなんて、そんなの決まっているではありませんか……ソフィア・ルスキューレ」
えっ、私?
なんでこのタイミングで私が出てくるの?
「憎くて、憎くて憎くて憎くて憎して! 憎くて堪らないその女を始末するために決まっているではありませんかっ!!」
なにその狂気に満ちた、狂ったような憎悪っ!!
というか、なんでここまでミネルバに恨まれてるのっ!?
「とはいえ……さすがにこの状況では、その女を始末するのは難しそうですわね」
「あら、よくわかっているじゃない」
マリア先生……あまり煽らないでくださいよ!
「まぁ、いいわ。
どうせこれで終わりじゃないんだから……」
「っ! これは……」
ミネルバから滲み出てた、禍々しい魔力が黒く染まって……
「この王城に特大の呪いを仕込んだわ。
もしこの呪いが発動すれば、王都は一瞬で呪いに包まれて、多くの人が死ぬことになるわ」
「「「「「っ!」」」」」
国王陛下達は驚いてるけど……私を始末するために自分自身に呪いをかける程だし、そのくらいの保険を用意してても不思議じゃない。
「ソフィア・ルスキューレ、なんの罪もない王都の人達を救いたいのなら……王都近郊に出現したダンジョン。
そこに今日の深夜12時に1人で来なさい。
もし、貴女が来なかったり、誰かと一緒に現れた時は……」
「ミネルバ! 待てっ!!」
ウェルバーが黒い魔力で包まれたミネルバに手を伸ばし……空をきる。
「うふふっ! 貴女が1人で現れる事を楽しみにしているわ」
黒い魔力が霧散し、ミネルバが消えた空間に静寂が舞い降りた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます