第141話 目的
「さて! 一先ず邪魔者はいなくなった事だし、本題に入ろうか」
「本題?」
いや、それよりも! 今回の騒動ってエルヤード公爵が黒幕じゃなかったのっ!?
てっきり、セドリックを引きずり降ろして第二王子であるウェルバーを次期国王……つまりは、王太子にしたいエルヤード公爵が主導してるって思ってたのに!
となると、いったい誰が……さすがにまだ子供のウェルバー本人が黒幕だとは思えないし。
あっ! もしかして、さっきいってた教団が本当の黒幕なのかな?
それとも他に誰か……
「それで、エルヴァン。
ここに何の用だ?」
お父様……相変わらず国王陛下への当たりが強い! でも、確かにそれは気になる。
セドリックが乗り込んでくるのは……まぁ、いつものことだからいいとして。
セドリックと一緒に王妃であるフローラ様が、それも国王陛下も一緒に来るのなんて5年前のあのとき以来だし。
政務とかで忙しいはずの両陛下が来たってことはなにかがあったはず。
「う〜ん」
両陛下がわざわざ公爵邸にきた理由……
「あ、あぁ、そうだったな。
我々がここに来た目的は2つ。
1つは既に招待状を送ったと思うが、今回の一件を鎮めるために開催する晩餐会の打ち合わせ」
打ち合わせ、ですか。
まぁ、ほとんど第一王子と第二王子それぞれの派閥による王位継承争いの体を成してきてるとはいえ……今回の騒動の根幹にあるのは私が冒険者ソフィーと同一人物だって噂。
ふむふむ、つまり! まったく自覚はないけど、この騒動の当事者でもある私やお父様達と晩餐会についての打ち合わせをするために来たってことね!!
でも……そんなことのために、わざわざ両陛下が公爵邸に足を運ぶといわれると違和感が残る。
ぶっちゃけこの時期に、噂の渦中にいる私や、私の家族と接触するのが他の貴族や世間にどう写るのかは微妙だし。
と、なると……国王陛下達が公爵邸に来た本当の目的は必然的にもう1つの方っ!!
「で、本命は?」
「ヴェルト……お前な、そんな不機嫌な顔をしてるとソフィア嬢に嫌われるぞ!」
「は?」
「すまん、場を和まそうと冗談をだな……」
さすがにこの5年間、何度もお父様と国王陛下のやり取りを見てるからもうなれたけど……
「お父様! 国王陛下に失礼ですよ!!」
「ッ!! ソ、ソフィー……」
「ちゃんと国王陛下に、ごめんないをしてください」
「……エルヴァン、悪かったな」
まったく! お父様ったら。
「ふふふ、流石はソフィーちゃんね」
「っ〜! お、お母様!」
さすがに恥ずかしいから国王陛下達が見てる前で頭を撫でないでください!!
「だが! これだけは言っておく……お前がソフィーにお義父様と呼ばれるなんて、私は認めないぞ!
ソフィーに父親は私だけだっ!!」
「いやだがな、ソフィア嬢とセドリックが婚姻を結んだら」
「そもそも! 私はまだソフィーとセドリック殿下の婚約を認めていない!!」
「認めていないって……もう婚約は結んでいるだろ!」
「仮だ!」
「……」
子供の婚約について揉める父親達。
私はいったい目の前でなにを見せられてるんだろ……セドリックも微妙な顔になってるし。
「いい加減にしなさい」
「ユ、ユリアナ……」
「陛下もです。
これでは話が一向に進みません」
「す、すみません……」
お父様は、まぁいつものことだからいいとして。
国王陛下に対してこんなことを思うのは失礼かもしれないけど……情けないっ!!
「こほん! 話を戻すが、今回我々が公爵邸を訪ねた1番の理由。
本命はヴェルトと言う通り、2つ目の方なんだが……これは機密事項のため、口外無用で頼む」
機密事項……
「昨日の事なのだが……ウェルバーと婚約者であるミネルバ嬢の2人が何者かに呪われた」
「呪い……?」
「そのため、現在2人は昏睡状態に陥っていのだ」
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