第125話 白銀VS黄金 衝突

 実況によって試合の開始が告げられた瞬間──


「「「「「「「──っ!!!」」」」」」」


 観客席にいた大勢の人々がどよめく。

 驚愕に目を見開いて目の前で起こっている光景に、ただただ愕然と固唾を飲んで見入られる。


「おぉ〜」


 まぁ、観客の人達が驚くのもムリはない。

 なにせ、私達の目の前では……フィルから吹き荒れる膨大な魔力が大気を震わせ、大地を揺らす!

 フィルを中心に渦巻き状に膨大な魔力の奔流が吹き荒れてるわけだし。


 今年の新入生は、特に実況の人がいってたように決勝トーナメントに24人も出場したり、ベスト8を独占したりと前代未聞の結果を残したSクラスを始め!

 全体的に例年に比べて非常に優秀でレベルが高い、らしい。


 当然、予選でも決勝トーナメントでも高いレベルの魔法戦が繰り広げられてきたわけだけど……さすがに新入生でこんなことができるのはフィルと私くらいだろうし。

 まぁ、フィルの実力を考えると、この程度はできて当然だけど!


「いくよ」


 瞬間──試合会場を震わせていた膨大な魔力の奔流がフッと掻き消え……



 ドゴォォ……



「雷候」


 空が暗く、それにこの音は……?


「っ! これは……」


 さっきまでは晴天だったのに!

 空を埋め尽くす、身体の芯に響くような音を立てながら無数の紫電を走らせる雷雲っ!!


「天候操作……」


「ご名答!」


「っ!」


 まさか、そんな……フィルは私と同い年でまだ10歳なのに天候を操れるなんてっ!!


「さぁ……降り注げ! 天雷っ!!」



 ッ────!!!



 光が弾けて、視界を真っ白に塗り潰す。

 他の音を掻き消すような耳をつんざく雷鳴が鳴り響いいて、試合会場が揺れ動く!


「天雷はその名の通り、天から降り注ぐ不可避のイカズチ

 並大抵のモノなら一瞬で塵にする……んだけどね」


「ふふ〜ん!」


 まっ! 確かにすごかったよ? だがしかぁ〜し!!


「この程度の攻撃なら私には通用しないのだ!!」


 ドドンっ!!


「にゅふふっ」


 ビシッとカッコよく決まったわっ!

 焼け焦げて、ところどころ真っ赤に染まって焦土と化した地面のど真ん中……ポツンと存在する無事な地面に無傷で佇む私!!

 いいっ! 我ながら素晴らしい絵面じゃないかなっ!?


「フィルにはいってなかったけど……残念ながら! 雷系統の魔法は私も得意なのだよ!!」


 あとは一回戦でも使った氷系統とか火系統も得意。

 まぁ、属性魔法は五大基本属性、七大上位属性をはじめ、複合属性とか私が知る限りの属性は全部使えるんだけど。


「うん、あとは氷系統と火系統も得意だよね」


「っ!?」


 な、なぜそれをっ!!


「この1ヶ月間、僕達がどれほどソフィーと修行してきたと思ってるの?

 まぁ、そのおかげでみんなの実力はメキメキと伸びたわけだけど、クラス全員ソフィーの得意な魔法系統くらい知ってるよ」


「っ!」


 ま、まさか私の得意な魔法系統がばれていたとは……!

 いやまぁ、隠してたわけでもないから別にいいんだけども。


「まぁ、そんなわけで今のはただの小手調。

 尤も、まさか一歩も動かずに無傷で防がれるとは思ってなかったけどね……」


 ふふん! このくらいは当然なのだよ!!

 さて、フィルの初撃は防いで見せたし、観客に私のすごさを見せつけることも十分にできた!

 てなわけで……次はこっちのばんだっ!


「っ!?」


「むふっ!」


 フィルが驚愕に目を見開く!

 空気中にある水分が蒸発して空気が乾き、地面から炎が燃え上がって融解する!!

 さぁ! 逃げ場のない灼熱をくらうがいいっ!!


「炎域っ!!」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る