第123話 教えてあげましょうっ!!
「ほらね、だから言ったでしょ?」
「うん」
よかったぁ〜、私の試合を教室で観てたせいで本来の実力を発揮しきれずに負けちゃったらどうしようかと思ったけど……まさかヨーグさんが本当に勝っちゃうとは。
しかも、見た限り危なげなく勝利を収めたみたいだ!
うむうむ、さすがは十傑の1人だわっ!!
いやでも、そこまで大きな差はないとはいえ、もともとSクラスには入学試験での成績優秀者が集まってるわけだし。
そこに大賢者たるマリア先生の指導があったら、他のクラスの人達を引き離すくらいこの1ヶ月間でみんなの実力が急成長しててもおかしくない……のかな?
「まぁ、僕達はこの1ヶ月間、ソフィーと一緒に過ごしてたわけだしね。
ぬるま湯に浸かってた他のクラスの人達には、そう易々と遅れは取らないよ」
「へっ?」
まったく……フィルったら、なんでそこで私が出てくるの?
普通そこは私じゃなくてマリア先……
「ソフィーちゃんっ!!」
「っ!?」
ビ、ビックリしたぁ〜。
「もうっ、ミラさん!
ちょっとビックリしちゃったじゃないですか!」
「ふふっ、肩がビクっ! ってなってたもんね」
「ッ〜!!」
フィ、フィルめ! 覚えてなさいっ!!
あとで絶対にフィルのこともビックリさせてやるんだから!!
「そんな事より!
ソフィーちゃん、アナウンスよりも前に大丈夫だったって言ったわよねっ!
どうしてヨーグ君が大丈夫だったってわかったの!?」
「えっ、あの」
どうしてっていわれても……
「確かに……」
「言われてみれば……」
「アナウンスよりも前に大丈夫だったみたいって言ってたような……」
「っ!!」
なんかこっちを見てくるみんなの視線がギラついてる気がするんですけどっ!?
「ふふふふ、さぁソフィーちゃん?
お姉さん達に教えてくれる?」
ひぃ〜っ! ミラさんの視線も怖いっ!!
「まぁまぁ、みんなちょっと落ち着いて。
ほら、ソフィーが怯えちゃってるでしょう?」
おっ! 怯えっ!?
「フィル……そうね、ちょっと食い気味だったわね。
ソフィーちゃん、怖がらせちゃってごめんね?」
「い、いえ」
べ、別に怯えてないし!!
「実は昨日の予選でマリア様……マリア先生もアナウンスより先にソフィーちゃんの勝利を言い当てたの」
「マリア先生が……」
まぁ、マリア先生ならそのくらいできて当然だもんね。
「まっ、そう言うわけで、みんなソフィーがどうやってアナウンスの前にヨーグさんの勝利を知り得たのか興味津々なんだよ」
「なるほど〜」
確かに傍目からすれば未来予知に見えても不思議じゃないし、みんなが気になるのも頷ける。
まぁ、フィルだけは私がアナウンスよりも早くヨーグさんの勝利を知ることができた原理に気づいてそうだけど。
「えっと……私のやってることとマリア先生がやったことは違うかもしれないけど、それでもいいですか?」
残念ながら前世の記憶にある乙女ゲーム以外のことで私には未来を知り得ることはできないけど……大賢者たるマリア先生なら本当に未来予知ができるかもしれないし。
「もちろん!
それでそれで! ソフィーちゃんはどうやって、ヨーグ君が勝った事を知ったの?」
おぉ〜、ミラさんをはじめ、みんな興味津々って感じだ!
「ふふ〜ん!」
そこまで知りたいのなら教えてあげましょうっ!!
「実は別に難しいことはなにもやっていません」
どうして実況の人によるアナウンスよりも早くヨーグさんが試合に勝ったことを、試合会場から離れたこの場所で知ることができたのか……答えは簡単!!
「私はヨーグさんが勝利を収めるところを、この場所から実際に観ていたのです!!」
だから、アナウンスよりも早くヨーグさんが勝ったことがわかったというだけのこと!
「この場所から観ていた……?」
「いかにも! これは魔法ではないのですが……魔力制御系のスキル・魔力感知で試合会場の様子を見てたというわけです!!」
「まぁ、普通はここから試合会場までの広範囲を魔力感知でカバーできないんだけどね……」
別にそんなことはないと思うけど……
「あっ! それよりも!!
ヘレンさん! 急がないとそろそろ次の試合が始まっちゃいますよ!!」
第六席のヘレンさんは第三試合に当たってるのに、ヘレンさんもほとんど準備できてないんじゃ……!
「っと、そうね。
ソフィーちゃん! 試合が終わったらその魔力感知についてもっと詳しく教えくださいね!」
「わ、わかりました!
ヘレンさん、試合頑張ってください!!」
「ふふっ、任せてください。
ソフィーちゃんと当たるまで負けるつもりはありませんから」
お、おぉ〜! ヘレンさんがカッコいいセリフを残して転移して行った!!
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