第109話 新人戦

「はい、これでSクラス30名全員の自己紹介が終わったわね」


 終わった……確かにクラスメイト全員の自己紹介も、入試結果の発表も終わったけどもっ!!


「……」


 ミラさんも。

 その次の四席のケルンさんも。

 五席のアルバートさんも、六席のヘレンさんも、七席のダンさん、八席のセリナさん、九席のムオーラさん、十席のヨーグさんも!


 私とフィルを省いた上位10人をはじめ……他のクラスメイト達も!

 全員、魔力量が20万台じゃんかっ!!

 こ、これっていったい……それにさっきマリア先生がいってた魔力量の平均が約10万って!?


「さっきも言ったように、この世界における個人の魔力量平均は約10万ほど。

 これは一般人だけじゃなくて私やその他の強者達も含めた数値で、一般人や普通の兵士達だけに限定すると1万を切るわ。

 まぁ、魔力量平均は魔法使いを志す者にとっては常識だから貴方達も知っていると思うけど……ねっ、ソフィーちゃん?」


「えっ! そ、そそそうですね!!」


 いや! そんなの初耳なんですけどっ!!


『ソフィー……テンパりすぎよ』


 だって! 魔力量の平均値なんて初めて聞いたもん!

 魔法使いを志す者にとっては常識って……お兄様達の授業でも、マリア先生の授業でも絶対に聞いたことないっ!!

 というか、いつの間にかサラッと呼び方がソフィーちゃんに戻ってるし!


「ふふっ、それに比べて貴方達は最年長でも16歳にも関わらず全員が20万以上の魔力量を有している。

 まぁ、若干2名ほど規格外がいるけれど……」


「ぅ……」


 そ、そんなこといわれても……私も自分の魔力量がこんな異常だなんて知らなかったし。


「凄まじい倍率の入学試験を突破し、この学園に入学できた時点で貴方達の実力は確かなものよ。

 それに例年に比べても貴方達は優秀といえるわ」


 うんうん、確かに。

 マリア先生の話によれば、この世界全体での魔力量平均は約10万。

 マリア先生やガルスさんのような一部の突出した存在を省いた一般的な平均値なら1万以下らしいし。


 このクラスのみんなは最年長でも16歳までの少年少女!

 それなのに、全員が20万以上の魔力量を誇ってるとなると……小国ならこのクラスだけでも落とせる程の大戦力にすらなり得る!!

 十分にトップクラスのエリートだもん。


「だからといって努力を怠る事なく、魔法使いとしての……オルガマギア魔法学園の生徒だという自信と誇りを胸に研鑽を重ねなさい」


「「「「「「「「「はいっ!」」」」」」」」」


「ふふっ、入学式でも言ったけど、貴方達の成長を楽しみにしているわよ」


 さ、さすがはマリア先生!

 この短時間でもうクラスメイト達の心をしっかりと掴んでる!!

 私も……私も、自己紹介でやらかしさえしなければ……


「さて、ではここからは連絡事項よ。

 これは学外にも広く知られているから知ってる子もいると思うけれど、オルガマギア魔法学園では毎年この時期に貴方達、新入生がその実力を競う新人戦が行われているの」


「ん?」


 新人戦……?


「開催日は今日から1ヶ月後。

 出場するかどうかは貴方達の自由だけど、例年入学試験で上位10人の十傑には出場してもらう事になっているわ」


 ということは、首席……新入生総代で今年の第一席である私は出場決定ってわけか〜。


「まぁ、魔力量が規格外のソフィーちゃんやフィルが出場するとなると貴方達が気後れするのも当然でしょうけど……ふふっ、魔法の実力は魔力量で決するものではないのよ?

 現にソフィーちゃんは魔力量で劣る相手との手合わせで何度も敗北した事があるしね」


「っ!? マ、マリア先生! それはっ!!」


「事実でしょう?」


「そ、それはそうですけど……」


 アルトお兄様にも、エレンお兄様にも訓練では何度も何度も……それこそ数えきれないほど負けたし。


「この新人戦で一躍注目されるようになった人物は、これまでに何人もいるわ。

 例えば……弱冠15歳という最年少で賢者の1人になったアルト・ルスキューレ。

 彼もこの大会で過去に優勝した者の1人よ」


「っ!」


 アルトお兄様が!?


「この大会は言ってしまえば、魔法使いの登竜門。

 たとえ優勝できなくても上位入賞者には賞品もあるから……開催までの1ヶ月、しっかりと実力を高めて是非挑戦してみてほしいわ」

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