第104話 生徒会長

「にゅふふ〜」


『ソフィー……ファナが見たら怒りそうなだらし無い顔になってるわよ』


 むむっ! だらしない顔って、ルミエ様ったら……まったく、そんなはずないじゃないですか!

 なにせ私は僅か一年足らずで公爵令嬢としての淑女教育を終了させて、王子妃教育のご婦人からも既に太鼓判をもらってるんですからね!!


『ふふっ、でもにゅふふ〜って変な笑い声が漏れちゃってるわよ』


「っ!?」


 う、うそっ! ま、まさかこの私がそんな……


『まぁ、友達ができて嬉しいのはわかるけど……人前で、というより男達の前であまりそんな顔をしたらダメよ』


 そ、それは……う〜む、さすがはルミエ様。

 初めての学園生活。

 それもイストワール王国の王立学園じゃないとはいえ、前世の記憶にある乙女ゲームのことがあるからちょっと不安だった学園の入学初日にフィルと友達になれて内心喜んでたことまでお見通しとは!


 そんな顔? ってどんな顔なのかはわからないし、たぶん私の完璧なポーカーフェイスを見破れるのは的確に私の心情を予測する特殊能力を有している家族を除けばルミエ様やファナ達くらいだろうけど。

 ルミエ様がそういうのならわかりました!


『じゃあ私はちょっと席を外すけど……頑張るのよ?』


 もう! ルミエ様まで、私をなんだと思ってるんですか!!


『ふふっ、じゃあちょっと行ってくるわ』


「はい、行ってらっしゃい」


 あぁ〜! パタパタって、猫ちゃんサイズのまま飛んで行っちゃった!!


「ソフィアさん? どうかしましたか?」


「いえ、なんでもありません」


 危ない危ない!

 小声で見送ったのにまさか気づかれるとは……なんていったのかまでは聞こえてないだろうけど、さすがは世界三大学園の教師。


 しかし、やっぱりルミエ様も学園が気になってたのか。

 まぁこんなにも広大な学園だし、冒険……こほん! 探索したくなる気持ちはわかる!!


 けど……むふふっ、広大なオルガマギア魔法学園をお散歩しながら探索なんて、本当にルミエ様は可愛いんだから!

 猫ちゃんサイズで翼をパタパタってはためかせて飛ぶ、すさまじく可愛いルミエ様に声を上げなかった自分を褒めてあげたいわ!!


「以上が、皆さんが所属するSクラスの説明になります。

 ここまでで何か質問はありますか?」


 っと、そうこうしてる間に説明が終わってしまった……

 まぁ、普通の人ならルミエ様と話してて先生の説明を聞き逃してるところだろうけど! 私は並列思考ができるからなにも問題なし!

 ちゃ〜んと、先生の説明も聞いてたのだよ!


 このオルガマギア魔法学園では私が歴代新記録をマークしてしまった入学時に測定する魔力量を第一に、入学試験で行われる筆記試験、実技試験の結果によってクラス分けが行われているらしい。


 それで、魔力量はもちろん筆記、実技ともに優秀な結果を収めた入試上位陣からS、A、B、C、D、E、Fにクラス分けされる。

 まぁ、Fクラスだから落ちこぼれなんてことは全然なくてオルガマギア魔法学園に入学できてる時点でFクラスだろうとエリート!


 実際、例年SからFクラスの生徒にそこまで大きな差はないらしく。

 Fクラスの生徒が飛び級を重ねてSクラスの生徒よりも早く卒業し、逆にSクラスの生徒が落第して退学なんてこともざらにあるからクラスは関係なく頑張らないといけない。


 とまぁ、ここまでの先生の説明を簡単にまとめるとこんな感じかな!

 よし! これで帰ってから今頃、お部屋の準備をしてくれてるファナ聞かれても大丈夫だわ!!


「では、もうすぐクラス担任の先生がお越しになると思うので、それまでは教室から出ないで休憩していてください」


「えっ?」


 担任の先生って、先生が担任の先生じゃないの?


「ふふっ、そう言えばまだ自己紹介をしていませんでしたね。

 私は皆さんの先輩で、生徒会長のカミラと言います」


 先輩っ!? いや確かに、自分で先生とは一言もいってなかったけども!!

 フィルも先生っていってたからてっきり、あの人が担任の先生だと思ってた……


「あの人が生徒会長……」


 ふむ、フィルのこの反応を見る限り、どうやらフィルもカミラさんが先輩だってことは知らなかったみたいだけど……驚いたわ。

 けどいわれてみれば、カミラさんは若い美少女で先生って感じじゃないもんね。


「皆さんの先輩として、皆さんの活躍を楽しみにしていますよ」

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