第103話 友達!
金色の髪に、淡い青色が混じったような綺麗な銀色の瞳。
そして……年は私と同じくらいで、まだ幼さが残るものの深い知性を感じさせるびっくりしちゃう程に整った容姿!
確実にどこかの国の貴族、それもたぶん高位貴族!!
「初めまして、私はソフィアです。
こちらこそよろしくお願いします」
よし! 貴族の礼儀作法は知らないけど、普通に礼儀正しくて失礼に当たらないこの感じ!!
むふふっ、我ながら完璧だわっ!
「ソフィアさん、僕が貴族だからって別に気にする必要はないよ?」
「え?」
「ふふ、僕達のクラスを案内してくれる先生はあの方だから、とりあえず先生について行って教室に向かいながら話そうか」
「わかりました」
くっ! このイケメンめっ!!
けど残念! 確かに今の爽やかな微笑みならば、並大抵の人なら赤面するだろうけど……この私には通用しないのだ!!
「オルガマギア魔法学園は外の身分制度から隔離された空間。
全ての生徒は実力主義のもとに平等に扱われるから、例えどこかの国の貴族や王族でも関係ないんだ。
入学説明会でも説明されたし、校則にもちゃんと載ってるから安心して 」
「それは……そうですけど」
確かにオルガマギア魔法学園には〝王侯貴族であろうとも、この学園内では全ての生徒は平等〟って校則はある。
まぁ実力主義の学園だから、優秀な者は魔塔で研究室を持てるとか実力面での優遇はあるんだけど……とにかく!
イストワール王国の王立学園にも学園では身分は関係なく生徒は平等って原則がある。
けど、そんなのは所詮、耳障りのいい建前にすぎないし。
いくら校則や原則として平等を謳われていても、はいそうですかっておいそれと真に受けるわけにはいかない!
「まぁ、ソフィアさんの言いたい事もわかるよ。
僕だって他の学園ではこんな建前をおいそれと真に受けたりしないけど、このオルガマギア魔法学園や他2つの三大学園は違う。
なにせ、ここ……と言うより、三大学園はあのお方の肝入りだからね」
「あのお方?」
大賢者たるマリア先生や、冒険王であるガルスさん達のことかな?
「まっ、しいて言えば実力主義のこの学園では身分じゃなくて優秀な者、強い者が偉い。
つまり! 僕達の学年で一番偉いのは新入生総代のソフィアさんだよ」
「私、ですか?」
ま、まぁ、自分でいうのもなんだけど確かに私は結構強い!
ふっふっふ〜ん! そりゃあ、こう見えて世界中で話題のAランク冒険者だし。
そこらへんの一学生とは一線を画した実力はあると思うけども!!
「それに、ソフィアさんも僕と同じ貴族だよね?」
「ぇ……」
な、ななななんでそれをっ!?
そんなバカなっ! 私が貴族だってバレる要素はどこにもなかったはずっ!!
「あははっ、ちょっとした所作もそうだけど、答辞の時の堂々とした態度を見れば流石にわかるよ」
「そんな……」
普段から無意識にもれ出ちゃう優雅さはもう仕方ないとして。
まさか、ビシッとかっこよく決めたのが裏目に出るなんて……!!
「しかし、まさか僕よりも上がいるとは思ってなかったから次席だったときは驚いたけど……ソフィアさんなら、新たな英雄と名高いAランク冒険者ソフィーなら納得だよ」
「なっ!?」
私が貴族ってことだけじゃなくて、私が冒険者ソフィーだってことまでバレてるっ!?
「ど、どうして……」
「あはは……ごめん。
ソフィアさんは銀髪の10歳くらいの女の子っていう同じ冒険者として伝え聞く話題の新人冒険者ソフィーの容姿と一致してるし。
その上、僕よりも魔力量が多そうな同年代の人物といえば……それに、その反応を見ちゃえばもうね」
「うぅ……」
た、確かに動揺しちゃったのは明らかに私のミスだけど……
「ちょ!? そんな泣きそうな顔をしないで!!
誰にも言わないから!」
「っ! な、泣きそうな顔なんてしてません!!」
「と、とりあえず! 学園内では身分は関係ないとはいえ同じ貴族同士、冒険者同士だし、仲良くしてくれたら嬉しいな」
「冒険者どうし?」
そういえば冒険者ソフィーだってバレちゃったことで取り乱しちゃったけど、さっきも同じ冒険者としてって……
「そうだよ、実は僕もソフィアさんと同じAランク冒険者なんだよ。
それに、僕も本来の身分は隠してるし、境遇が似てるソフィアさんとは友達になりたかったんだ」
「友、達……!」
「うん、そういうわけだからソフィアさん、僕と友達になってくれる?」
「わ、わかりました!
これから私とフィルさんは友達です!!」
「よかった〜、じゃあとりあえずフィルさんってのはやめてフィルでいいよ。
あと敬語もなしで!」
「じゃ、じゃあ……フィ、フィル! 私もソフィーでいいよ!!」
あぁ〜! 友達の名前を呼び捨てにしちゃったっ!!
「じゃあ改めて、これからよろしくね! ソフィー」
「うん!」
『ふふっ、微笑ましい青春だわ〜』
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます