第91話 ……ぇ?
ふっふっふ〜ん! これが、魔闘法・纏よりも一段ギアを上げた状態。
魔闘法・纏で全身を包み込む魔力を雷属性に変質させて身体能力、反応速度を引き上げたところに、身体強化を重ね掛けすることでさらに身体能力を爆発的に底上げする!!
「ガハッ……まさか、この私が……」
「ふふん! 私はいずれ最強に至る者!!
私が格下だからと油断して、慢心したことがお前の敗因っ!!」
なにがあるかわからない戦場では慢心して、油断を抱いた者から死んで行く。
これが前世の記憶にあるマンガ! 小説! アニメ! 数々の
私流、冒険者心得の第一条! 油断大敵なのだっ!
「油断、慢心……そんな、こと…で……」
「……」
地面に崩れ落ちたナルダバートから広がる真っ赤な血……内臓を焼かれながら胸に大穴を空けられて、この出血量。
ナルダバートから感じる魔力も急速に小さくなってるし、多分もうそう長くない。
身体の端が炭化したように塵になって崩壊し始めてるし……これが八魔王が
戦いに勝った私は最後まで見届けてあげないと。
「魔王ナルダバート」
もう聞こえてるかもわからないし、認めるのは悔しいけど……
「貴方は今の私よりも遥かに強かったですよ。
それにこの敗北を恥じることはありません! なにせ、貴方が負けたのはいずれ世界最強となる者なのですから!!」
「……」
結局最後まで聞こえてるかはわからなかったけど……うつ伏せに倒れ伏してたナルダバートが完全に塵になって消滅する寸前、一瞬だけ安らかな笑みを浮かべたような気がしたし、多分聞こえてたかな?
まぁ、なにはともあれ……
「ふぅ〜、終わった〜!!」
魔王ナルダバート、信じられないくらいの強敵だった。
もしナルダバートが私を格下と断じて、完全に自身の勝利を確信して油断してくれなかったら今ごろ私が地面に転がってたかもしれない。
ぶっちゃけ……今回ナルダバートに勝てたのは、さっき本人にもいった通り、ナルダバートが油断してくれたてからだし。
この勝利はいってしまえば奇跡みたいなもの!
お兄様達とも対等に渡り合えるようになったし。
冒険者ギルドが定めるS級危険領域たる魔の森でもなんともなかったから強くなった気でいたけど……帰ったらもっと強くなれるように修行しないと!!
まぁ、けど今日は非常〜に疲れたし! とりあえずは、ゆっくり寝るとしよう。
というか! 魔王の一角を倒すなんて歴史に残る大仕事をしたんだから1週間くらいはゆっくりしてもいいハズ!!
「ソフィーちゃん!」
「お母様! お兄様、マリア先生、ガルスさんもお待たせしました!!」
さぁ! あとはお父様達が守ってくれてる王都にみんなで転移して帰るだけ……
「ん?」
おかしい。
「これは……」
ナルダバートは倒した。
これは目の前でナルダバートが塵になって消滅したところを確認してるしまず間違いないはずなのに……
「なんで、まだ結界が?」
術者であるナルダバートを倒したらこの結界は消えると思ってたのに。
う〜ん、これはいったいどういう……
「ソフィーっ!!」
ルミエ様?
「どうし──っ!?」
背筋に走った嫌な感覚。
なにが起こっているのか確認するよりも早く咄嗟に身体が動き……半ばから真っ二つに折れた刃が。
私の愛刀の切っ先が、ゆっくり落下して地面に刺さる。
「……ぇ?」
「「「「「っ!!」」」」」
なに、これ……
「なん、で」
お前が……
「クックック、まさか私の分体が破壊されるとは思っていませんでしたよ。
油断し、慢心した事が私の敗因、全くもってその通りです」
「ナルダ、バード……」
ビチャビチャッ
地面に落ちる夥しい量の血。
これは……私の血?
「かふっ……!」
ナルダバートの腕が、お腹に、突き刺さって……
「ですから……今度は油断する事なく初手で終わらせる事にしました」
「ぅ、ぁ……」
「「「「「ソフィーっ!!」」」」」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます