第90話 全力とは言っていない!!
「はぁっ!!」
魔闘法・纏!
全身に纏った魔力を雷属性に変質することで全身に雷を纏い、反応速度を極限まで高めて身体能力を底上げする……この状態になった私のスピードはまさしく雷鳴!!
「なのに……」
「貴女の本気はこの程度ですか?」
「むぅ〜」
最初の一閃から続く連撃……その全てを一歩もその場から動くことなく簡単に捌かれるなんて!
さすがは世界に八柱しかいないのに不可侵存在として恐れられる魔王の
というか……
「その黒い剣……」
当然のように私の神炎の太刀を受け止めるとか!
神炎の太刀は普通の剣なんて一瞬で両断する、超大国たる帝国の守護神の。
現人神と呼ばれる皇帝陛下の技なのに……
「これは私の魔力を凝縮して構築した黒い剣、原理は貴女の神炎の剣と同じですよ」
つまり……ナルダバートは私が使ってる神炎の太刀を見ただけで、真似してあの黒い剣を作り出したと?
「このチーターめ!」
「魔力の物質化は高等技術ではありますが、この程度は我ら魔王クラスなら誰でもできる事です。
それに、皇帝の技を一目見て習得した貴女には言われたくありませんね」
「むっ」
なぜそれを……
「しかし……特異点たる愛子とはいえ、やはり所詮はこの程度ですか。
多少期待はずれではありますが……まぁ、いいでしょう。
お遊びはこのくらいにして、そろそろ終わらせるとしましょうか」
終わらせる、ね……
「ふふっ」
確かにナルダバートは私よりも強い。
それは認めるけど……
「ふっふっふっふ〜! 魔王ナルダバート、いったはずだぞ!!
この私を……」
「っ!?」
一足でナルダバートに肉迫して懐に潜り込んで……
「ナメるなよ!!」
驚いたように目を見張って間抜けな顔をしてるナルダバートの腹部に回し蹴りを叩き込む!
吹っ飛んだナルダバートの背後に先回りして……
「閃っ!」
神炎の太刀を一閃!!
むふふっ! 私のことを甘く見た罰だ! いくら魔王といえどこれをくらえばただではすむまい!!
油断大敵! このまま身体を真っ二つに両断してやるわっ!!
ギィッン!!
「っ!」
ほう、さすがは魔王。
まさかあの状態から空中で身体を捻って、黒い剣で私の一閃を受け止めるとは。
「けどっ!」
私の得物は神炎の太刀だけじゃないっ!!
ナルダバートに弾かれた神炎の太刀をそのまま手放すとボワッと炎に戻って空気中に消え……
「グッ!」
元々、腰に差していたもう一本の。
私のメインウエポンたる愛刀で、神炎の太刀を防ぐために無理に空中で身体を捻ったせいで空中で体勢を崩しているナルダバートをすれ違いざまに下から刺し貫く!!
「轟け!」
バチィィィッ!!!
耳をつん裂く轟音が。
けたたましい雷鳴が鳴り響き……魔王城の天井を、魔王ナルダバートの胸部を焼き焦がして消し飛ばした。
「確かに本気の戦闘スタイルとはいったけど、アレが全力とはいっていない!!」
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