第16話 Sの森③
一方はぐれた他のメンバーも健太と美優を見失って焦っていた。
「いやあの2人何処行った?」
泰文が皆に問いかける。
「え、『ちょっと見に行こう』って言って少し先に行っただけなのになんで!?」
佐和子も流石に焦っている様だ。
「まさかふざけてる訳じゃないよな?」
ノブが問いかけるが
「美優と健太君がそんな事するとは思えないんだけど・・・佐和子ちゃん。まさかドッキリ企画とかじゃないよね?」
朱美も何が起きているのか理解出来なかった。
「まさか!?そんな企画用意する時間なんてなかったし、皆が協力してくれるだけで有り難いと思ってるのに」
とりあえず暫く周辺を捜索するが2人は見当たらなかった。
「じゃあもうとりあえず進もうか。美優と健太君も御神木目指してるかもしれないし」
皆、朱美に従い歩みを進める。
途中、脇の方へ行けるような小道はないか、茂みにうずくまって倒れたりしてないか、皆で注意を払いながら進んで行く。
「美優ー!健太君ー!」
「おーい!健太ー!」
道中声をかけ続けてもやはり返答はなかった。
「ねぇあれって御神木?」
佐和子が巨木を見つけ問いかける。
皆巨木の周りに集まりまじまじと観察する。
その巨木は明らかに
これが目指していた『御神木』である事は誰の目にも明白だった。
「結局、美優ちゃんと健太君いないんだけどどうしよう?」
佐和子が元気なく呟く。
「少しだけ、5分だけここで待っていよう」
泰文が提案し、全員が沈黙のままその場にしゃがみ込む。
「なぁ、この森入ってから健太達が先に行くまでの動画、確認してみようか」
ノブが提案し、泰文も「そうだな」と言ってカメラを確認しだす。
あの時カメラを撮っていたのはノブと泰文のカメラだった。
泰文のカメラにはその時の朱美と佐和子のやり取りが録画されてるだけで健太と美優は映ってなかった。
ノブのカメラには朱美と佐和子のやり取りの後に先に進んで行く健太と美優が微かに映ってはいたが2人にしっかりとピントを合わせてた訳でもないので映像は不明瞭な物だった。
「あぁ、ダメた。ヒントも何もない」
ノブが落胆し、皆途方に暮れていると
『ガサッ、ガサガサ』
4人から御神木を正面に見て左側の茂みから物音がする。
4人が息を飲み、そこに集中していると
「おい、君たち!こんな夜中に何してるんだ!?」
茂みの中から男性が出てきた。
「きゃーーー!」
「うわぁぁぁ!」
皆叫び、その場に崩れ落ちる。
「あ、いや、すまない。でもここはN建設の管理地なんだ」
そう言って謝ってきた男性の上着にはN建設の文字が刺繍されていた。
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