第13話 さわとやすチャンネル②

「さぁ実はこの公園の奥に祠があるらしいんですが、そこがちょうど霊の通り道になっていて様々な霊現象が起こるらしいんです。では皆で行ってみましょう」


 泰文がそう言うとカメラを各々が回しながら、皆比較的自由な感じで歩き出す。


 そして暫く歩いた所で祠らしき物が見えた。

「あっ、ひょっとしてアレが例の祠かも。行ってみましょう」

 佐和子が祠を見つけ小走りで駆け寄る。


「古そうだけど思ったより小さな祠だねぇー」

 朱美ちゃんが近付いてまじまじと見ている。


「ちょっとアケンちゃんそんな近付いて大丈夫?何か出て来たりしないよねぇ?」

 美優が少し遠巻きに見ながら問いかける。


「多分大丈夫だと思うんだけどなぁ」

 朱美ちゃんは此方を向き首を傾げる。


「とりあえずデジカメで写真撮ってみましょう」

 佐和子がそう言って何枚か写真を撮るが、特に何も写ってはいなかった。


「とりあえずここでは何も起きないかな?まぁ次々行ってみましょう」

 泰文がそう言って皆その場を後にする。


 俺は自分のカメラを一旦止め、美優に囁くように話しかける。


「なぁ、美優。ちょっといいかな?」


「どうしたの?撮影中だよ」


「いや、どう?何か感じたりする?」


「ふふ、そういう事?大丈夫。特に何も感じないかな」


 美優は少し霊感があり、たまに霊が見えたりもする。

 その美優が特に何も感じないって事はこのスポットはガセって事だと思われる。

 まぁ心霊スポットなんてだいたいそんな物だ。

 本当にヤバい事なんてそうそう起こるもんじゃない。

 俺はこの時はそうたかくくっていた。


 俺達は今回、文字通り10箇所を巡らなくてはならないので1箇所にいれる時間は限られている。


 それでも1日で10箇所は無理があるって事で2日に分けて撮影する事になっていた。


「さてと次は、D市の川か。じゃあとりあえず出発するか」

 皆が乗ったのを確認して、俺は車を発進させる。


 道中、次の川ではどういう感じで撮影するか相談しながら車を走らせる。


 そして川に着き特に何も無いまま次の目的地へと向かう。

 結局そんな感じで公園から始まり川、池、空き家と回り今日最後の撮影場所『Sの森』にやって来た。


「はい次はSの森に来ています。実はここ、戦国時代の処刑場らしいんです」

 佐和子がここでは声のトーンを落とし説明をする。


「そしてですね、このSの森、ポツンと存在してますよね?」


 そうこの『Sの森』周りは一面田んぼが広がっているのにここだけが生い茂った森になっているのだ。

 近くを走る幹線道路からも確認出来るがここだけが浮いた場所になっているのは確かだった。


「実はこの『Sの森』昔、この辺りを開発しようとした時に事故が起きたそうなんです。この森の奥には御神木がありその木を切ろうとしても何故か重機等が謎のトラブルを起こし、工事が進まなかったそうです。それでも無理やり切ろうと1人の従業員が斧を振りかぶり木に向かって振り下ろすと、その瞬間心臓発作で倒れて亡くなられたそうなんです」


『まぁよくある祟り系の話かな?』

 俺はそう思いながら泰文がこの場所の歴史を説明しているのを聞いていた。

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