第11話 動画撮影開始③
「なぁ泰文。俺の名前が『ケンケン』なのはまだいいとしてお前が用意したこのサングラスと帽子はなんだよ?」
「お、いいだろ?顔隠したいって言ってたからそのサングラスかけてキャップ被ったらヒップホップぽくてちょうどいいかなと思ってよ」
「いや夜に街灯もない真っ暗な心霊スポットでこんな真っ黒なサングラスかけたら何も見えないんだよ!」
「・・・!!そっか。気づかなかったわ。ははは、でもそれしか用意してないからなんとか頑張ってくれ」
泰文はそう言って笑っている。
悪気はないんだろうが何をどう頑張れと・・・
「ねぇ、ケンケン私の浴衣どう?短過ぎない?」
美優が少し笑いながら問いかけてくる。
「いやケンケンて言うな」
思わず笑って返してしまう。
改めて見ると狐面を被り膝上丈の短い浴衣姿の美優は妖艶な雰囲気を醸し出している。
「あぁ良いな。・・・いやちょっとエロいな」
一瞬見とれてしまったがすぐに我に返る。
「なんかねぇ、佐和子ちゃんはもっと胸元開けて肩も出してって言ってたんだけど断ったんだよね」
美優は少し困り顔で笑っている。
「おい佐和子、人の彼女を見せ物にするなよ」
傍にいた佐和子に注意を促す。
「えぇ、でも朱美ちゃんは結構ノリノリで答えてくれたよ。ほら」
佐和子が指差す方を見ると膝上丈の浴衣を身にまとい胸元を開けて肩を出してる朱美ちゃんがいた。
「うわぁお」
思わず見とれていると
「あぁ、私もあんな感じにすれば良かった?でもごめんね。私、朱美ほど胸無いんだよねぇ・・・」
耳元で美優が優しく囁く。
「いやいや、そんな事ないから。美優は今のままで十分です」
慌てて弁明するが美優は冷たい目をしながら微笑んでいる。
「おお、朱美。色っぽいなぁ」
ノブが少し興奮しながらカメラを向けている。
「ふふふ、アケンでありんす。旦那様どうかわっちと遊んでおくんなまし」
「ふっふっふ、良かろう。さぁこっちへ来い」
「なんか小芝居始まったよ」
美優が楽しそうに笑っている。
「おい、ほっといたら動画が違う方向性にならないか」
俺も呆れながら笑ってしまう。
程なくしてノブと朱美ちゃんの小芝居も終わり皆集まる。
「よし。じゃあカメラテストも兼ねて動画撮影始めようか」
佐和子もかなり張り切っている様子だった。
ひとまず俺と泰文がカメラをまわす。
「はい、どうもーサワワです。ヤッスーです。さわとやすチャンネルへようこそ!」
動画撮影が始まり、今に至る。
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