第7話 旧友との再会⑦

「いや、ちょっと待ってくれ。何を手伝ってほしいんだ?何か案を出せばいいのか?それとも編集とかか?」

 このままではコイツらのペースになってしまう。

 少し場を落ち着かせなくては。


「いや、ズバリ俺達と一緒に動画に出てくれ。そしてどういう動画にするかとか、シナリオ的な事も一緒に考えてくれ」


「はぁ?何を言ってるんだ?それじゃあお前達と一緒に動画配信するような物じゃないか」


「おおそうだよ。上手く行ったら一緒に動画配信で一気に稼いで行こうぜ」

 泰文はアルコールのせいもあるのか、どんどん興奮状態になって行く。


「いやいや、ちょっと待て。そんな上手く行く訳ないだろ。だいたい・・・」

 とりあえず泰文を落ち着かせようとしていると美優が

 入ってくる。


「まぁまぁ、それでノブ君はどう思うの?」


「え?まぁちょっと手伝うぐらいならいいかな?面白そうだし」

 ノブは確かに満更まんざらでもなさそうだった。


「おおノブ流石だな。よしまずノブの名前を考えよう。・・・『ノブックス』とかどう?」


 完全に舞い上がってる泰文に呆気に取られていると


「はは、まずい流れになっちゃったね。まぁ諦めてさ、1回だけ限定で『ゲスト』みたいな感じでさ、顔だけは隠して手伝ってあげたら」


 美優も少し困った様な笑顔でそう提案してくる。


「マジか・・・」

 俺はそう言いながら言葉を失っていた。


「ちょっとノブ。本気で手伝う気?大丈夫なの?」

 朱美ちゃんも少し怒り口調で呆れている。


「まぁ1回だけだしいいだろ?健太の所も美優ちゃんがOK出してくれたし」


「いや、俺に拒否権はないのか?」

 俺はなかば諦めていた。


「・・・ふぅ。もうこうなったら仕方ない。1回だけとりあえず頑張ってみるか」

 俺ももう諦め心を決めた。


 佐和子が顔の前で手を合わせながら

「本当にごめんね。助かるよ~。じゃあ次は『ゲストが来てくれました』みたいな感じでいいよね?」

 と言って笑って問いかけてくる。


「まぁ一応それでいいんじゃないか?っで、次はどんな動画にするつもりなんだ?」


「まだちゃんと決めてないけど、せっかく6で撮るんだから6全員が生きるような動画がいいなぁ」

 そう言って佐和子は楽しそうに笑っている。


『・・・ん?6人?』

 俺が疑問に思い美優の方を見ると、美優も不思議そうな顔をしてこっちを見ていた。


「・・・え?ちょっと待って佐和子ちゃん!6人て誰?私と朱美は入ってないよね!?」

 美優が慌てて佐和子に問いかける。


「え、勿論入ってるよ。こんなに美人が揃ってるのに出さなきゃ勿体ないじゃん。むしろ彼女2人の方がメインなぐらいだから。絶対動画伸びるって。それに絶対楽しいから」


 佐和子はそう言って笑っている。


 どうやら俺とノブの方がおまけみたいな物のようだ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る