第十四話 痴態鑑賞
後ずさりからの逃走に、アっという間で追いついたスズメバチたちで、全身が取り付かれてしまう二人。
「「ぅおぉ…っ!」」
悲惨な未来しか想像できない映像に、係官たちが驚いた、次の瞬間。
「「……おや?」」
巨大スズメバチに襲われたマコトとユキの、ただでさえ少ない衣装面積が凄い早さで失われ、スーツを食べられて全裸化。
(来ましたわ…!)
(~~~~っ!)
「「「………っ!」」」
あまりに想像から外れた映像で、係官たちの思考が一瞬遅れて、そして認識をして、若い男性係官だけが真っ赤になって、戸惑った。
犯罪担当の係官は、やはり性的とは違う興奮を魅せる。
「あ…あぁああっ、ハ、ハチたちはっ、なんと…っ!」
対して、生物担当の係官は、興奮しながらも的確に話す。
「ほほおおおおおおおおっ! サベージ・シンリン・スズメバチは、人間の衣服っ、つまり繊維質を食べる習性があるワケですなああっ! これはっ、素晴らしい新発見ですぞっ!」
対応してくれる若い男性係官は、男性の礼儀として映像から視線を逸らしたいものの、魅惑的過ぎる二人のヌードに、つい視線をクギヅケにされてしまう。
しかし、特に生物担当の係官は、初めて確認された食物に関する決定的な証拠映像に興奮し、モニター壁へと食いついて、地球型人類の雌類の裸どころではない様子。
(……情熱的ですわ)
(……いいけどね)
ヌードを見られるのも恥ずかしいけれど、他の生物に注目されるのも、ナゼかモヤモヤするのが、自分たちでも不思議なマコトとユキである。
二人の裸に、蜂たちの興奮エキスが吐き付けられて、解放された二人が安心をして、見つけた湖で首輪のみの全裸となって、清水で肢体を洗浄。
(そう言えばさ…この時ボクは、ドローンカメラの存在を、すっかり忘れていたよ)
(私もですわ。あの小ささで、存在を忘れさせる程の無音仕様の機体だなんて、なんとも優秀なドローンですわ)
そのおかげで恥ずかしい映像を撮影されてしまったのに、メカヲタクとしては、ドローンの性能に愛しさを感じるらしい。
「あの液体は、あのまま湖で、洗い流してしまわれたのですか?」
と、生物担当のフクロウ似な係官が、訊ねてくる。
「はい」
当然の如く答えたら、生物研究者としては、なんとも悔しいご様子。
「あああっ、勿体ないですなぁ…! 私たちも初めて存在を確認できた、貴重なサンプルでしたのにっ!」
本気で悔しがる生物担当のフクロウ係官に、若い男性係官が、報告をする。
「ああ…あの液体ですが、ブーツの裏側、ヒールの間に、僅かですが付着しておりましたモノを、洗浄マシンが感知しました。未知の物体という事で、自動サンプル採取をし、現在は保管庫にて厳重保管されております」
「おおおっ、本当ですかっ! いやお二人のおかげでっ、貴重なサンプルが入手できましたぞっ!」
心の底から嬉しそうだ。
犯罪担当の係官も、思うところがあるらしい。
「ふむ…なるほど。ブーツの裏側で、巧妙に密封されて持ち出されてしまったら、洗浄マシンでも発見できないかもしれませんね。いや貴重な体験データ、ありがとうございます」
大の男二人が、ケモ耳美少女たちの首輪全裸沐浴シーンを差し置いて、丁寧な礼をくれていた。
モニターでは、湖の水藻をビキニ代わりとして裸身に纏い、再び宇宙港を目指す二人の姿が。
風が吹くと水藻が捲れてお尻が覗けて、格好良いとは言えない感じである。
(…これはこれで ヌードとは違う恥ずかしさだね…)
(…ええ。この水藻は全く、ファッショナブルでは ありませんですわ)
このシーンにおいて、マコトとユキでは、恥ずかしさの基準が違うようだった。
森を歩く二人の背後に、ヌイグルミのような熊たちが現れる。
生物担当の係官が、再び熱く反応をした。
「んん…こっ、これはっ! シンリン・チャイロ・クマではないですかっ!」
「おおぉ…まさか、生息が確認されるなんて…っ!」
この小型な熊たちは、一世紀ほど前に最後の個体が姿を消して以降、存在が確認されなかったらしい。
「既に絶滅してしまったかと思われておりましたが…っ、まさか、生息していたなんて…ううう…っ!」
フクロウ似の生物担当係官が、熊を見て感涙している。
絶滅種の再発見という、まさに歴史的発見と快挙な、マコトとユキである。
「それにしても、まさかこの生物まで 生存確認が…おや?」
犯罪担当係官が二人の行動を称賛しようとしたら、その二人はモニターの中で熊たちから逃走をして、水藻が枯れて散って、裸へと剥かれつつあった。
再び、首輪とグローブとブーツのみの裸となった二人が、頑丈な蔦を利用した振り子運動で谷越えをして逃げ切って、森の中で芋虫に集られたりしながら、岩山へと到着。
裸で開脚をして岩間を登る姿が、せめて上からのカメラアングルだったのは、僅かとはいえ救いであった。
(…ほ…)
(ですが、マコト)
岩間を登る二人が頂上から垂れる蔓草を掴んだら、裸体に絡まれて持ち上げられる。
(あ、そうだったよね…)
蔦植物によって、二人は大の字に拘束をされて、何やら樹液を吐きかけられてゆく。
カメラのアングルに蔦の本体が映り込むと、やはり生物担当の係官が、三度の興奮でモニター壁へと食い入った。
「! なっ、なんですかっ、この植物生命体はっ!? サベージ・ヒマワリ、の変種…ではないし…いやっ、まさか…っ!?」
言いながら、二人へ振り向く。
「? い、いかが されました…?」
そつなく問うユキに、フクロウ似な係官は、これまでにない興奮で伝えて来た。
「しっ、新種ですよっ! これまで確認されていたザベージ・ヒマワリに似てますがっ、全くの新種ですよこれっ!」
「おおおっ、確かにっ!」
犯罪担当の金属生命体係官も、興奮でモニターを仰視している。
そんなモニター内では、大の字拘束をされ樹液まみれにされた二人のケモ耳美少女捜査官たちが、植物の葉っぱで全身を舐られて、更に崖下へと、恥ずかし過ぎる放尿行為。
((~~~~っ!))
あまりの羞恥レベルに、見ないでくださいの声も出せず、二人は冷静な美顔を必死で保ちながら、全身の肌が羞恥の汗に覆われてしまっていた。
記憶から消してしまいたい映像なのに、やはり生物担当係官たちは、全裸開脚ではない別な処へと、強く興味。
「あっ、あの樹液とかわはっ、ぉお持ち帰られませんでしたのですかっ!?」
もう興奮しすぎて、言葉がメチャクチャである。
「ええと…」
少なくとも、ここのシャワーで洗い流してしまっているだろう。
と想ったら。
「あの樹液ですが、お二人がステーションへと帰還された際に、肌へと付着して乾燥していたようでして。シャワーで洗い流された湯の中に、未確認の物質を感知した自動濾過システムによって取り出され、現在は丁寧にサンプル保存がされております」
「「なんとっ!!」」
感動している男性係官の二人だけど、むしろシャワーの湯から色々と取り出されているマコトたちは、ボクたちの恥ずかしさにこそ気づいて欲しいと、心底から願ったり。
ステーションの空気や水は貴重品なので、濾過して再利用が当たり前ではあるものの、あらためて目の前で、自分たちの使用した湯に関して語られると、恥ずかしくて消え入りたくなる。
「新発見の生物から、そのサンプルまでっ! なんとも実に素晴らしいご活躍っ!」
「まったくですよっ! 流石はっ、銀河に轟くホワイトフロール殿ですなあっ!」
「はぁ…」
恥ずかしいうえ怪我の功名でしかない気もするけれど、研究者の人たちがここまで喜んでいる笑顔を見せられると、なんとも言えない二人であった。
それから、下山する際の岩の巨大目玉をスルーしながら宇宙港へ到着をして、管制施設で発進の準備をしていたら、巨大なツノゴリラに捕らえられて。
((…あぁ…))
二人揃って、逆さづりの百八十度開脚責め。
ドローンは頭上で撮影しているから、天上へと向けられた二人の開脚裸腰は、まさしく真正面の恥ずかし過ぎるアングルである。
しかも、恥ずかしがる媚顔や大きな双乳から、秘すべき恥処の前後全てまでが、二人揃ってカメラに収められていた。
((~~映像、止めて…!))
そしてやはりというか、中年男性係官の二人は、恥ずかしい開脚責めなマコトとユキの痴態よりも、野生生物の様子に、超注目。
「ツノゴリラが…人類の女性に、繁殖欲求を覚えてますぞ…っ!」
「これは…なんとも初めて観測された、珍しい生態ですな…っ!」
二人は、ツノゴリラの様子や繁殖欲求を示している部分に注視しているけれど、モニターではケモ耳美少女捜査官たちの恥ずかしい姿も、どアップであり。
(……もう 逃げようか……)
(…できることでしたら、そうしたいですわ…)
恥ずかし過ぎて消滅してしまいたい気持ちの二人であった。
それから、ツノゴリラが麻酔銃で昏倒をして、しかしすぐに目覚めて、マコトたちがポッドで脱出。
無事にステーションへと帰還したところで、映像は終わった。
「以上です。検証作業、お疲れ様でした…こほん」
映像を再生した若い男性係官も、それ以上の言葉が出ない。
「「…………」」
男性たちと一緒に映像検証をさせられたマコトとユキも、凛々しい美顔と無垢な愛顔を必死に美しく維持しているものの、ピンと立つケモ耳ケモ尻尾は恥ずかしさで震えている。
ツルツルの頬やうなじ、首の後ろや鎖骨、更には剥き出しのパツパツ腿までもが、羞恥で上気してしまっていた。
そんな二人は、ある意味、更に恥ずかしい事実を知る事となる。
~第十四話 終わり~
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