第十話 まさしく最大の危機!


「は、離してよっ!」

 巨大な掌で片腕を掴まれたマコトとユキは、そのまま巨体牡の目の前へと、裸身を吊り下げられる。

「いやぁん! この子、凄く見てますわ!」

 片腕だけでは隠しきれないマコトの巨乳やユキの裸尻が、野生の牡による強い欲求の視線に、遠慮なく晒される。

 白い乳房先端の、ツンと上を向いた桃色の媚突や、引き締まった下腹部で隠しきれない秘すべき綴じ目へと、繁殖欲求の視線と熱が突き刺さってきていた。

 ツノゴリラの顔が赤く上気し、本格的な繁殖欲の高まりを、裸のケモ耳美少女捜査官たちにも教えている。

 しかも股間部分では、繁殖の為の準備が堅く確認されていた。

 このままでは、本当に、ある意味で食べられてしまう。

 しかも相手は、人間ですらない。

 いろんな意味での危機に、ネコ耳捜査官が必死の抵抗を試みる。

「わ、悪いけれどっ!」

 裸身を捻って全身をねじり、後ろへと下げた右足で思いっきりキック。

 捜査官の護身術として、男の犯罪者に対する攻撃手段の「金的蹴り」を、ブーツの先でドカっと見舞った。

 –ッグガアァッ!

 牡の急所を蹴られたツノゴリラが、驚いて二人を手放す。

 マコト自身、急所を攻撃したのなんて、訓練相手のドロイド以外では初めての経験である。

 綺麗に着地をした二人の双乳が、タップんと弾んで柔らかく揺れた。

「うん!」

「マコトっ、あちらにっ!」

 視線で追っていた、少し離れた後方で転がっている麻酔銃とスパナへ向かって、全力でダッシュ。

(もう少し!)

 麻酔銃さえ手に入れば、今度こそは外さない自信があった。

 逆に言えば、これを手に出来なければ、ツノゴリラを撃退できる方法はない。

 唯一の希望である麻酔銃が、もう目の前。

 上体を低くして、マコトは転がっている麻酔銃へと、手を伸ばす。

「麻酔銃っ–ああっ!」

 マコトが麻酔銃を掴む直前、ユキの指がスパナへと届くその直前、二人の脚がツノゴリラの怪力で掴まれて、転倒させられてしまった。

 急所を蹴られた痛みや、二人の走る速さなど、追いかけられても十分に間に合う自信があった。

 しかし興奮に高ぶるツノゴリラは、見たことも無い魅惑的な繁殖相手を、絶対に逃さない決意だったようだ。

 いつもの二本足ではなく、六本腕までフルに活用をした特異な獣走りで、二人のお尻を追いかけて、アっという間に追い付いて来たのだ。

「は、早いですわっ–きゃあっ!」

 ユキの左足首がツノゴリラの左腕に、マコトの右足首が右腕に捕まえられて、身動きが取れない。

 獲物を捕まえた牡の個体は、ウホウホと嬉しそうだ。

「このっ…ま、麻酔銃が!」

 マコトもユキも、掴もうとした武器に指先は届いているものの、掴めたり引き寄せられたりするには、ギリギリで遠い。

 ツノゴリラの怪力で、二人は後方へと持ち上げられて、麻酔銃ともスパナども距離が離され、もう手にする事は完全に不可能とされてしまった。

「いっ…いやですぅっ!」

 裸の二人は、それぞれ左右で片足だけで、釣り上げられる。

「こ、この牡…っ!」

 全力で蹴られたはずの急所が、特に何のダメージも受けてなさそうな程の力強さを見せていた事に、二人は驚かされる。

「マ、マコトの初体験を、無碍にも!」

 金的蹴りの事を言っているユキだ。

「妙な意味に聞こえるよ! ああっ–やっ止めてよっ!」

 脚を掴むツノゴリラの腕を解こうと、逆さづりの上体を持ち上げて手を伸ばしたら、左右の手首を纏めて、巨大な掌で掴まれてしまう。

「マコトっ–ゃあぁっ!」

 ユキも同じく、逆さづり状態で両手首を掴まれてしまった。

 上下を逆にされる二人の乳房が揺れる姿は、ツノゴリラにとって、獲物を手にした勝利の喜びと感じられるようだ。

 抵抗が困難な姿勢にされた二人は、本能的に、それぞれの自由な脚で必死に秘処を隠そうと、裸身をくねらせて藻掻く。

 –ゴフフッ!

 そんな抵抗にも征服欲を刺激されたのか、ツノゴリラは左右それぞれの残された腕で、エモノの自由な足首をも捕まえる。

 性としてもっとも興味のある部分を隠され、それを暴くのは、征服欲を更に刺激されるらしい。

「っ–ちょっと…っ!」

「ぁああ…っ!」

 二人の両脚が、牡ゴリラの怪力で限界まで、左右に大きく開かれてしまった。

 訓練の賜物で全身が柔軟な二人の両脚は、百八十度の開脚でも苦痛は無い。

 それでも。

「くうぅ…!」

「ぃや、ですわ…っ!」

 逆さづりでの完全開脚で、二人の恥処の全てが、真上で輝く太陽の光に晒される。

 普段は閉じられている柔肉が、開かれる美脚に引かれて左右に開かれ、普段は隠れている内部や清楚な純潔の証までもが、太陽とツノゴリラに鑑賞されていた。

 開かれた秘処の、小さく敏感な桃色の芽や、前後の排泄器官、清純桃色な女孔まで、全てを強制公開させられて、閉じる事も出来ない。

「ユキ…っ!」

「マ、マコト…っ!」

 中性的な王子様のようなマコトの美顔が。無垢なお姫様のようなユキの愛顔が、恥ずかしさと悔しさと危機感で、美しく苦悶する。

 黒いネコ耳やネコ尻尾が、純白のウサ耳やウサ尻尾が、危機感でピンと立ちながら、ピクピクと小さく震えていた。

 そんな危機的な表情が、野生の牡ですら魅了しているっぽい。

 マコトとユキの、それぞれの秘処を交互に眺めて、ツノゴリラは涎を垂らして興奮していた。

 二人の危機感を更に絶望へと追い込んでくるのが、目の前で蠢く牡の繁殖器官である。

 魅惑的な繁殖相手を二体もゲットしている事実に、牡としての自尊心が、強く刺激をされているらしい。

 繁殖欲求を高めていた生殖器官が、更に大きく、硬そうな艶を張って起立していた。

「こ、このまま、だと…!」

「私たち…この子の、お相手として…!」

 ケモ耳とはいえ人類としては、絶対に避けたい悲劇である。

「離してよっ–な、何を…っ!」

 興奮が高まったらしいツノゴリラは、左右それぞれで得物を積ん掴んでいる合計六本の腕を、器用に動かした。

「い、いったいっ…やぁん!」

 裸の二人は、向き合うような姿勢にされると、両手首同士と、左右それぞれの足首同士を、合計四本の腕で纏めて掴まれてしまった。

 まさしく「土」の姿勢にされて、向き合って拘束をされるマコトとユキ。

「こ、このような、姿勢にして…」

「どうする、つもりさ…!」

 裸で抱き合わされるマコトとユキの巨乳同士が、むにゆり、と柔らかく重なり合って、敏感な先端同士もこすれ合う。

「く…ユキ…!」

「マコト…んぅ…!」

 二人の秘処を隠そうとしたマコトのネコ尻尾も、ツノゴリラの腕で掴まれて、開脚の中心を隠せないように引っ張られた。

 更に残った二本の腕で、二人の裸腰が纏めて掴まれ、裸のヒップが牡の腰へと、近づけられる。

 まさに、お嫁さんにされてしまう危機。

「いっ、いやですぅっ!」

「ゃめてよっ!」

 エモノの叫びなど意にも介さないツノゴリラの下腹部へと、裸身の純潔が捧げられてゆく。

「ユキ…」

「マコト…」

 もう助けも呼べない絶対の危機に、二人はお互いへの想いだけを、確認し合っていた。

 –グフゥウウッ!

 繁殖欲求に猛る器官が、穢れを知らない二人に触れようとした、その瞬間。

 –ゴフ…。

 盛るツノゴリラの気の抜けた声が聞こえたような気がしたら、手足や裸腰を掴む六本腕が緩んで、二人は着陸ポートへと転がり落ちた。

「痛い!」

「きゃん!」

 起こった事態が認識できず、それでも現状を素早く確認した美少女捜査官たちは、急いで立ち上がり、危険から距離を取りつつ背後を確認する。

「「! …あ」ら?」

 二人が見たのは、仰向け大の字で倒れたツノゴリラ。

 注意しながら確認をすると、頭の天辺に、麻酔銃の針が刺さっていた。

「……ああ」

 銃器に明るいマコトは、麻酔銃を弾かれたと同時に撃ち出されていた麻酔弾が、上空へと飛ばされて、ピンポイントで落下して命中。

 と推理。

「あ、危なかったよ…うわ…」

「助かりましたわ…まぁ…」

 ホっとした二人の視線に飛び込んで来たのは、興奮したまま眠るツノゴリラの幸せそうな寝顔と、太陽に向かって堅くそびえる繁殖器官だった。


                      ~第十話 終わり~

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