第六話 また一難
逃走を続けている二人の葉っぱビキニも、乾燥して細かく崩壊を続けている。
走るに合わせて乱舞する巨乳を支えきれず、ビキニトップの下が既に失われて、弾む双乳の先端をギリギリで隠している状態だ。
ボトムも端から塵と化し、巨尻に叩かれる後ろは、ほぼなくなっている。
乳房の先端が、弾むに合わせて葉っぱに擦れて、サリサリとした微細な刺激を受け続てもいた。
「マコトっ、まだ追いかけてきますわ!」
「繁殖期の牡はしつこいって、先輩も言っていたけれどさ!」
女性の先輩捜査官たちの、男性に対する例えが、頭を過る。
森の端まで辿り着くと、目の前は広い地溝が横たわっていた。
「あ…!」
大地を引き裂いたような溝は、もはや谷と呼べる深さで、底が見えない。
逃げ道も見当たらず、背後からは熊っぽい生物たちの興奮した吠え声が、近づいて来ていた。
向かい側の大地に逃げられなければ、繁殖ヌイグルミたちの餌食にされてしまう事は確実である。
(どうする…!)
一か八かで、熊たちと戦ってみるか。
勝算の無い戦闘に覚悟をしようとしたタイミングで、ユキが気づいた。
「マコト、あれですわ!」
ウサ耳捜査官が指した左の先には、対岸から斜めに伸びた大樹と、その枝からこちらの森へと引っかかっている、蔦である。
「行こう!」
マコトとユキは走って、森の樹に絡まっている蔦を解く。
と、二人を追いかけていた興奮の熊ヌイグルミたちが、獲物を見つけて襲い掛かってきた。
–ゴアアアアッ!
可愛い見た目からは想像もできない、悪魔のような咆哮で、マコトの巨乳やユキの裸尻を目掛けて、飛び掛かってくる。
「えいっ!」
モフモフの手に取りつかれる寸前、マコトの合図で二人の脚が崖を蹴って、ケモ耳の美少女捜査官たちは幅のある地溝を、振り子のように渡って逃走。
ユキのヒップへと伸ばされたヌイグルミの爪で、ザックに引っかけてあった麻酔銃が弾かれて、谷底へと失われてしまった。
蔦で振られる二人の肌へと風圧が掛かり、残された葉っぱが散り散りに崩壊をして、地溝へと散ってゆく。
そしてマコトの脚が対岸の地面をシッカリと捕らえて、二人とも無事に着地。
「ふぅ…」
裸に剝かれながらのロープアクションで対岸へと辿り着いたマコトとユキは、再び、グローブとブーツと首輪とバックパックのみという、恥ずかしい半裸姿にされていた。
「ユキ、大丈夫?」
「ええ。ですが、麻酔銃を はたき落されてしまいましたわ。マコトは お怪我はありませんか?」
「うん。それにしても」
さっきまで逃走をしていた対岸を見ると、ヌイグルミの熊たちが、寂しそうに二人を見つめて、クゥンクゥンと可愛く泣いている。
なのに下腹部は、繁殖欲求を全く隠してなどいなかった。
「外見詐欺だよね」
正直、もう見た目がどれほど可愛くても、穢れたイヤらしい中年男性のようにしか感じられない二人だ。
「本当に、危ないところでしたわ」
流石のユキも、セクシー関係なジョークが出る気分ではないらしい。
繁殖のヌイグルミたちは、獲物が戻ってこないと解ると、スゴスゴと森の中へと消えて行った。
二人はホっとして立ち上がり、まだ少し続くらしい森を、宇宙港を目指して歩み始める。
「くすくす」
「? どうしたの?」
愛らしいお姫様の無垢な笑顔で、コロコロと笑うユキ。
「あのヌイグルミさんたち、よほど マコトが魅惑的なようでしたから♪」
安心をしたら、いつものセクシージョークが出て来た。
「ユキに対して 情熱的だったんじゃない?」
中性的な王子様そのものな美顔で、優雅に呆れ顔を魅せるマコトだ。
森を進む二人の裸身が、樹々の間からの木漏れ日で、立体的に彩られる。
歩くたびにタプっタプっと弾む巨乳や、艶めかしく左右に振られる大きなヒップが、影と木漏れ日に通られて、チラチラと白く照らされる艶めきの肌。
愛らしい美顔や引き締まった細いお腹、タップリと広がる少女腰の曲面やスベスベの下腹部や艶めく腿まで、森の日差しで扇情的に陰影を浮かせ、裸である事を無自覚に主張していた。
「?」
ブーツに護られていない腿の辺りで、何かモゾ…と柔らかい感触を感じるマコト。
見ると、指三本分ほどの太さで、掌よりも少し大きな芋虫のような虫が、地面から這い上がって来ていた。
「虫…? うわぁ…」
「? どうかいたしまして?」
パートナーの、驚きというより嫌気のような声で、ユキも振り向く。
「これ」
自分の腿を指さしたネコ耳捜査官は、ピンと立ったネコ耳とネコ尻尾の黒い体毛が、軽く逆立っている。
パツパツの内腿を這い上がっていた芋虫は、体表がツルツルで淡く可愛いピンク色で、小さい黒目が愛らしい感じ。
しかし、頭のすぐ後ろからお尻の方に向かって、まさしく男性器そのものな、卑猥極まる形状をしていた。
「あら…あら?」
ユキも自分の腿に感触を覚えて、見ると、前からも後ろからも、卑猥な弧形の芋虫が這い上がってきていた。
柔腿を這う虫たちは、二人の秘すべき箇処へと、前後構わず真っ直ぐに、モゾモゾと登ってきている。
「…やはり、この虫さんたちの目的は…」
「だろうね。なんかこの惑星って、そんな生物ばっかりだよね」
呆れながら、グローブに包まれた指先で、なるべく触りたくない心情を隠す事なく、芋虫たちを一匹ずつ摘まみ取って、近くの繁みへと乗せてゆく。
繁茂の上に乗せられた卑猥芋虫たちは、獲物から引き離されて惜しそうに、身体を反らせて二人を見上げていた。
「油断も隙も無いって、この惑星のことだよね」
「ですが、マコトのヒップは お好みのようですわ」
ユキのメゲなさに安堵しながら軽く呆れつつ、マコトが足下を見ると、更に色艶も様々な多数の卑猥な芋虫たちが、上を目指して這い上がってくる。
「まったく…こんな森 早く出よう」
ブーツの芋虫たちを全て取り払うと、裸の二人は速足でジャングルを駆けて行った。
「ふぅ…抜けたね」
森が終わると、目的の岩山の麓へと出た。
高さだけでも三十メートルはある岩山は、まるで壁のように東西へと連なり、端は見えない。
しかも、どこもほぼ垂直か、それ以上に反ったオーバーハングだ。
岩肌はあまりゴツゴツしておらず、訓練を積んでいる二人でも、ボルダリングのように登る事は、出来ないだろう。
「いかが いたしましょうか」
とにかく、ステーションへ上がれる宇宙港へと辿り着くには、この岩山を超えるしかないのだ。
上る手がかりはないかと岩肌を見回すも、しかし風で削られたらしい岩は、どこも凹凸が低くてスベスベしている。
マコトが少し歩いて、大きな溝を見つけた。
「ユキ、ここから行けないかな?」
二人で見上げたのは、岩山の壁が天辺まで割れたような、やや幅のある溝。
このまま溝の底を歩いて、向こう側まで越えられないかと思ったら、行き止まりはやはり、反り返って登れない崖になっていた。
溝の左右の内側にマコトが両手を着くと、少し肘が曲がる程度の幅である。
訓練された目測では、溝の幅は天辺まで、ほぼ一緒だ。
「これなら 上がれるよね」
「ですわね…あら、マコト」
ユキが気づいてマコトが見上げると、崖の頂上から中腹辺りまで、植物の蔦が十数本と垂れ下がっている。
観察をすると、色も艶も元気が感じられて、枯れてはいない。
「あれが使えれば、もっと楽に上がれるだろうね」
「ですわね。行きましょうか」
二人は、腕を広げて溝の左右に両掌を着いて身体を支えると、軽くジャンプをして、そのまま両脚を広げて左右の崖に突っ張った。
「んん…うん。上がれるね」
「ええ」
マコトとユキは、左右に広げた手足で溝の岩肌を慎重に捉え、登り始める。
腕を突っ張るたびに裸の巨乳がプルっと揺れて、足を進めるたびに裸のお尻から清純な秘処までが、風に撫でられた。
「ん…ん…ユキ、大丈夫?」
お互いの状態を確認し合う意味でも、二人は向い合せで溝を登る。
「ええ…ですが、同僚の方々には 決してお見せ出来ない姿ですわ」
「本当にね」
とか言いながら、笑う余裕が二人の心にはあった。
中腹あたりまで登ると、さっき見つけた蔦を、調べてみる。
「ん…大丈夫みたいだね」
マコトが引っ張って、全体重をかけても、蔦はビクともしなかった。
「これで頂上まで登れれば、楽々ですわ」
ユキも、蔦に手を伸ばして掴まって、体重をかけて引っ張って、使用に耐えうる十分な蔦だと判断。
「それじゃ…!」
蔦をロープ代わりにして、溝を登り始めた直後。
「! な、何これっ!」
緑色の蔦がニュルニュルと蠢いたと思ったら。二人の両手首が、強い力で絡め捕られてしまった。
「マコトっ–きゃああっ!」
「ユキっ–あああっ!」
更に他の蔦たちが、二人それぞれの両脚にも絡みついて、捕獲にかかる。
両腕を頭上に拘束された裸の二人は、ナゾの蔦植物に捕らえられて、頂上まで攫われていった。
~第六話 終わり~
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます