第十三話 再び図書館
「あはは♪ なんだか 懐かしい気がしますね~♪」
アーケードを散策しつつ二人が到着をしたのは、図書館だ。
夏休みの最初、七月の間に、亜栖羽が頑張って宿題を肩告げた場所である。
「オジサンのお家とか~、喫茶店とか~、ココとか~♪ アチコチで宿題と戦いましたもんね~♪」
「うん。亜栖羽ちゃん、よく頑張ったよね」
「えへへ~♪ オジサンにビシビシ指導して貰って、宿題は一週間でやっつけましたですしっ!」
「そ、そんなに厳しかった? 僕…」
言われて反省したりする青年が、少女にはちょっと楽しい様子。
「私、宿題の憂いがない夏休みとか、初めてなんですよ~♪ こんなに気持ちが楽なんですね~♪ はあぁ~♡」
温泉の湯に揺られるように、白い両掌をユラユラさせる。
「あはは、一ヶ月の自由とか、本当に楽しいよね」
「はい~♪ ミッキーたちと宿題で集まる時も、私一人だけ、横になってマンガとか 読んじゃいますし~♪」
(マンガ読んで…やっぱり…服装は 半袖とか、ミニスカートとかだよね…)
寝転がる少女の、白い腕や健康的な腿が、チラチラと覗けたりとか、つい妄想。
「そうだね…でへへ」
クッションに身を預けて、アイスを食べたりしながらマンガを読んでいる亜栖羽を想像すると、何とも言えない安心感な姿に。ニヤニヤしてしまう育郎であった。
ここの図書館は、地下のプールや三階四階の図書スペースだけではなく、二階にちょっとしたラウンジがある。
テーブル席が三つほどあって、自販機や軽食の売店などがあり。誰でも自由に利用できた。
夏休みも後半の今日、テーブル席に子供たちの姿はない。
「空いてるね」
「はい♪」
二人で向かい合いの椅子に荷物を置くと、何かドリンクをと、青年が売店へ向かう。
「あ、ここは 私が払いますよ~」
と、少女が青年を引き留める。
「え、いいの…?」
「はい♪ オジサン、何が飲みたいですか~?」
「じゃ、じゃあ…アイスカフェオレで」
少女に奢ってもらうのは、年上男性としてはやはり、申し訳ない気持ちにもなる。
しかし、ご馳走して貰う育郎に対して嬉しそうな亜栖羽の笑顔を見ると、ここは奢って貰おう、と、ちょっとした決心でもあった。
青年が、テーブル席で腰かける地獄の門版のように荷物の番をしていると、少女が髪コップのドリンクを両掌に、戻って来る。
「お待たせしました~♪ アイスカフェオレで~す♪」
「は、はい!」
(亜栖羽ちゃん…ウェイトレス天使だ…っ♡)
笑顔でドリンクを持ってきてくれた亜栖羽はパンク姿だけど、育郎にとっては、それはそれで最高のウェイトレスである。
ちなみに、少女が選んだドリンクも、育郎と同じアイスカフェオレだった。
テーブルの上に置かれたドリンクを手に取って、席に着いた亜栖羽とカンパイ。
「「戴きま~す♡」」
一口戴くと。
「んんん~…美味しい…♡」
愛しい少女が持ってきてくれたというだけで、きっと元の千倍は美味しいだろうと、育郎の全味覚が確信をする。
「それじゃあ、ちょっとプラモデル、見てみてもいいですか~?」
「あ、うん。部品が揃っているかとか、確かめるのも大事だからね」
亜栖羽は、友達のプラモ女子から教わっているらしい、部品確認をしてみる。
「わぁ…このプラモデル、部品 多いんですね~☆」
女の子のプラモデルを開けて、亜栖羽は驚いていた。
「亜栖羽ちゃん自身は、プラモデル、初めてだったよね?」
「はい~。出来るでしょうか?」
「大丈夫だよ。組み立て説明書に従って作ればちゃんと完成するから。何か詰まったりしたら、僕に いつでもなんでも訊いてね」
「はい、頑張りま~す♪」
亜栖羽は微笑みながら、女子プラモの箱を閉じると。もう一つの箱を開ける。
~第十三話 終わり~
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