試し切り


 早速ダンジョンに潜って試し切りがしたいと二人にごねられ、ローズ、サラも連れてダンジョンにやって来た。猫二人も食事会以降打ち解けたらしく雰囲気は悪くない。


「シャルの新しい剣、すごそうニャ」

「マリアの槍も強そうだぜ」


 猫二人にも作ったらどうか話してみたら今日の試し切りの具合を見てからにする、と言われた。まぁそのほうが良いだろうな。


 試し切り相手として『木人』が選ばれた。

 見た目は木だがかなり硬い、剣の腕次第では鉄剣でも斬れるが。シャルはもちろん出来る。


「まずはワタシね」


 火竜鱗剣をスラリと抜き構える。木人の動きは早くない、のそのそ歩いて向かってくる。


「ハッ!」


 シャルの気合一閃、袈裟斬りに振る。火竜鱗剣はなんの抵抗も無く木人を通過し、勢い余って床に切先が突き刺さる。木人がキラキラして消滅した。シャルは理解が追いついていない。


「木人を切った感触が無かったわ、勢いを誤って床に刺さるなんて」


 床から抜くと欠けも刃こぼれも微塵も無い。


「次は私ね、それっ!」

木人に突き刺さる時も抜く時も鋭すぎて感触を感じないので感覚が追いつかないようだ。軽く振っただけでスパッと切れる。


「今までの槍と感覚が違いすぎて慣れるまで危ないよ」


 猫二人も心が決まったようだ。


「うちも作ってもらうニャ」

「あちしもナイフ作ってもらおう、旦那連れてってくれよ」


「ああ、良いよ」


 行く時はニコイチウィスキーを持参した方がいいんだろうなぁ、と思った。


 ダンジョンの外に出てきた、マリアの槍の固有技を試すためだ。

 目標は『デスイーグル』、平原や山地を飛び回る冒険初心者の天敵だ。

 空を飛ぶので弓の上級者もしくは魔術師などがいないと倒すのが難しい強敵だ。


「ドラゴンダイブ!」


 マリアが叫ぶと共に大ジャンプ、それこそデスイーグルよりも高く。そして空中で槍を一閃しデスイーグルの首を刎ね飛ばして無事に着地した。


 かっけぇ~、F○シリーズの竜騎士のジャンプみたいだ。


 降りてきたマリアに声を掛ける。


「マリア! スゴイ技だな! 強いしカッコイイ!!!!」

「‥‥‥かった」


「え?」

「ごわがっだよ~!!!!」

大泣きで抱きついてきた、どうした?


「高い所怖い‥‥‥高い所ヤダ‥‥‥」


 マリアはどうやら高所恐怖症らしい。勿体ないがこの技は封印だな。

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