もう一人の「彼女」
俺には大切な彼女がいた。俺は彼女の為ならこの身を投げ出しても構わないと思っていた。だが、彼女はいなくなってしまった。
朝、家まで迎えに行くのが日課だった。その日もいつも通り迎えに行った。
だが、返事はなかった。普段なら飛び出してくるのに今日は来なかった。
不思議に思ってドアの取っ手を握ったが開かなかった。いや、半分くらいは開いた。鍵はかかっていないのになにか重い物体が邪魔しているようだった。
これはマズい、なにかの事件に彼女が巻き込まれているかもしれない、と焦った。急いでタックルするとドアは簡単に開いた。同時に俺は絶句した。
そこには冷たくなった彼女が倒れていた。
俺はどうしたらいいか分からず死体を家の押し入れに隠した。
そして気が済むまで泣き叫んで、八つ当たりして、気が付いたら夜になっていた。頭の中は彼女を殺した犯人捜しでいっぱいになっていた。そして、俺が唯一憎むべき奴を見つけた。そうだ、奴が殺したに違いない。
俺は彼女に変装し、仇をうつことにした。
次の日、彼女はこう供述した。「前日一緒に練習しただけです。」
そして、彼女は待ち続けた。奴が来るのを。
”それは「彼女」なのだから”
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます