彼女の恋人
俺には大切な彼女がいる。彼女は吹奏楽部の部長だ。俺はそんな彼女をサポートするために副部長を務めている。
さかのぼって半年前、俺は勇気を振り絞って告白した。部長はすましつつも少し照れて承諾してくれた。俺はそんな彼女の為ならこの身を投げ出しても構わない。
今日も彼女の為に練習場所を探していた。屋上を使わせてくれと工事のおっちゃんに頼んだが、断られた。食い下がったが、彼女は
「もういいでしょ、別の場所に行きましょう。」
と言った。俺はそれに従い、別の練習場所を探した。
たまたま開いてそうな教室を見つけ、
「この部屋にしよう。」
と言いながら部屋を開けた。そこには一人の少女が居た。やらかした…と思ったが、彼女は気が引けるという程度だった。それに彼女は、同じく吹奏楽部でトランペットを吹くその女子のことをいつも気にかけていた。
その女子には兄が居り、兄と彼女は同じクラスである。時々彼女からその話を聞くたびに、その女子の兄に取られたりしないかと心配になる。
いつも一緒に帰るが、彼女は
「誰かにつけられている気がする。」
と言っていた。俺はつけているのはその兄だと思っている。いつか尻尾を掴んで捕まえてやろう。
練習が終わり、部長は飛び出していった女子の分まで片付けて、女子の荷物を預かることにした。部長は本当優しい人だ。
いつも通り一緒に帰った。分かれ道で彼女は言った。
「じゃあね」
”ベルは赤く染まっている”
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