第3話

父が居てくれていたら、笑顔で無条件に喜んでおめでとう、一緒に乾杯しようって言ってくれただろと無意味な想像をしている自分に気づいた。


どうして側にいてくれないの?どうして助けてくれないの?どうしてこんなに早く死んでしまったの?その時は悲しみではなく、怒りが自分の中で湧き上がっていることに気づいた。自分の立場が悪くなった時だけ父親に当たるなんて、本当に子供な私だ。


その後は無事に結婚し、息子を授かった。

初めての出産というのは不安はあったが楽しみの方が大きかった。ただ出産と言うのは最後までどうなるか分からないのが出産だ。

私は息子を出産した後、すぐに救急搬送されたのだ。意識が薄れていく中で私は思った、

息子を抱けないのか?主人にもう会えないのか?そして、お父さんのところに行くのか?






  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る