第143話 話し合い
「ソフィア? 説明もなしに連れ出してごめんね?」
アイザック様は眉尻をさげ申し訳なさそうに私をじっと見つめる。
あの後、アイザック様達のお部屋に招待され、私達はここで夕食をとる事となった。
「美味しい料理を沢山用意して貰ってるから、ねっ? 機嫌直してくれないかい?」
ジーニアス様は、私のテーブルの前に色々な料理を並べてくれる
。
私はアイザック様やジーニアス様に対して怒ってなどいない。
あのええと……ルルーチン嬢に対して怒っているだけで……言いたい事を言わせて貰えなかった事に対しては、どうして? っと思ったけど。
「あの……私は怒ってないです」
そう言うとアイザック様とジーニアス様はパアッと花が咲いた様に笑った。
「本当に? 怒ってないんだね? 僕はソフィアに嫌われたら生きていけないから……良かった」
アイザック様は、私の目を切なそうに見つめると、生きていけないと言う。
幼少期に私がご飯を食べさせてあげたりしてたから? そんな事思うのかな? 大袈裟だよアイザック様は。
「あの……怒ってはいないんですが一つ気になる事があって」
「気になる事?」
「はい。どうしてぺぺルーチン令嬢と話をしていたあの時、逃げる様にレストランを出て行かないとダメだったんですか?」
私は、シャルロッテに対して謝罪させる事が出来なかったのが、本当に悔しかった。
だからこそ何でそんな事をしなくちゃいけなかったのか、理由が知りたい。
「そうだよね。その事をちゃんとソフィアに話さないとだよね。ええと少し話が長くなるんだけど、僕はこの街について調べる様に言われていてね」
「えっ……? この街を?」
「そうなんだ。国王様が治世を知る良い機会だからと、自分でどのような問題が起こっているのか、確認してみろって言われててね」
「えっこの街に問題が?」
「うん。カチャ街というか、この街に関わっている貴族に一番問題があるって、先に調べが上がっていて……」
「……貴族に問題が?」
貴族に問題があるって事は、さっきのぺぺーチン令嬢も何か関係してるとか?!
アイザック様は頭を上下させて頷くと。
「うん。実はあの時辺境の村に魔獣か押し寄せなければ、この街の潜入調査をする予定だったんだ」
そうか……私と一緒に辺境の村に来てしまったから、調査が途中のままだったのね。
だからアイザック様は、この街に入る時に王子としてではなく、商人として入ったんだ。
でも服装は商人だけど、そのムダにキラキラしたオーラは健在ですけどね。全く隠しきれてませんよ?
「アイザック様の言いたい事が分かりました。レストランでお会いした。ペリーチン令嬢の前で目立つ事はしちゃダメだったんですよね。なのに……私。カッとなってしまってすみません」
「いやいやっ! ソフィアが謝る事なんて何もないんだから! 悪いのは街に入る時ソフィアに、何も伝え無かった僕が悪いんだ。それとプルーチン伯爵令嬢だね」
あっプルーチンだった。
ぐるぅぅぅぅ~
どうでもいいからと、名前をずっと間違えてたなと思った次の瞬間、私のお腹の音色が盛大な音楽を部屋中に鳴り響びかせた。
「あわ……!?」
またなの? 最近の食いしん坊なこのお腹はどうなってるの。
うう……恥ずかしい。
恥ずかしさの余り、みんなの顔が見れなくて俯いていると、アイザック様は何も気にしてない様子で、優しく笑い食事を進めてきた。
「ソフィア? 先ずは食事を済ませてから、後でゆっくりみんなで詳しく話し合いをしよう。だから今は美味しい食事を食べよう」
「……はい」
この後、お腹いっぱいになった私は、そのままこの部屋でうたた寝してしまい、話し合いが出来なかったんだけども……なんだかすみません。
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