第107話 王立騎士団
ブブッブヒィーーーーーー!!!!
ドスドスドスドスドスドスドスドスドスドスドスドスドスッ!!!
ビックボア達は、けたたましく鳴くと、踵を翻し来た道を一目散に戻っていた。
「これって……もう大丈夫って事?」
去っていくビックボアを呆然と見つめていたら、正気に戻ったアイザック様が私の所に駆け寄って来た。
「ソフィア!何だあの恐ろしい魔法は!?」
「え? そのう……いつもの草を刈っている風魔法の威力よあがれーって強く思ったらあんな事に」
「はぁっ……規格外すぎるよ」
アイザック様は座り込んでしまった。
驚かせてしまってごめんなさい。
私も本当ビックリしたから、精霊王様にいつも言われてる魔力調整をしっかり覚えなくちゃ。ヤバイってこう言う事だったのね。
私とアイザック様が討伐したビッグボアを見ていると村の方角から
激しい馬の蹄の音が聞こえてくる。
「アイザック様この音って……」
「ああ、やっと到着したみたいだな」
数分もすると馬に乗った騎士の甲冑を着た人達が集まってきた。
騎士団の人達が到着し、村でジーニアス様からビックボアの事を聞いて、急いで私達の援護に来てくれたらしい。
「アイザック様、王立騎士団三番隊隊長グレイです」
短髪の武骨な男性が、アイザック様の前で跪く。
「グレイ! あなたが来てくれたんですか。楽にしてください」
どうやらアイザック様とこの男性は知り合いらしい。
私が不思議そうに見ていたら、アイザック様が紹介してくれた。
「ソフィア、この人は僕の剣の師範でもあり、王立騎士団三番隊隊長のグレイだよ」
私はグレイ隊長にニコリと笑い挨拶をする。
「こりゃまた……ものすごい別嬪さんだ。宰相殿がひた隠しにするのも頷ける。だが! アイザック殿下? こんな危険な所に連れてきては駄目じゃないですか」
「ええっと……」
私を連れて来ては危険だと言われ、アイザック様はなんて答えたら良いのか返事に困っている。
そりゃそうだよね。どちらかと言うとアイザック様が付いてきたんだから。
もごもごと言葉を濁すアイザック様を見兼ねて、グレイ隊長は話しを変える。
「……それでビックボアの群れはどこに? さっきまで感じていた大きな気配が全くしない! この目の前にいる死骸の三頭だけじゃ無いはずだ」
グレイ隊長はどうやら、百メートルほど先で死骸となり倒れているビックボアの集団に、気づいていない。
そりゃそうだ。
まさかあんなにいたビックボアの群れが、既に討伐されているなんて思わないよね。
「……ええと……あそこに」
アイザック様は言いづらそうに口ごもり、グレイ隊長と目も合わせず、遠くで倒れているビックボアの死骸を指差した。
「………あそこ?」
グレイ隊長はアイザック様が指す方角をじっと見据え……数分後。
「ええーーーーーーー!?!!!ちょ? なっ……なんで全滅してる!!」
いや正確には半分は逃げたんだけど。
「アイザック様! 一体何があったんです?!」
グレイ隊長は興奮気味にアイザック様に詰め寄る。
「……ええと? そのう……ソフィアが」
「ソフィア様?」
「そのう……魔法で」
「魔法で?」
「……ちょちょいっと倒しちゃったんだ!」
「ちょちょいっと倒した」
グレイ様はオウム返しした後、少し沈黙し。
「はっはぁぁーーーーーーーーー!!??」
ビックリして固まってしまった。
ええと……なんかすみません…….。
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