第18話 ミスリル
冒険者としては、上から二番目の位だ。
俺は大陸に七つある月の迷宮を攻略した事により、現在
ミスリルの上には
現在、この大陸に存在するオリハルコンランクの冒険者は2人。
どちらも
要は、エンシェントドラゴンレベルの魔物を倒さないとたどり着けないランクと言う訳だ。
因みに、魔物の狂乱で倒されたエンシェントドラゴンは全部で四匹だ。
討伐したのは現在のオリハルコン冒険者二人に、英雄王と呼ばれる父のガンドール。
それに大陸北部にあるサラマン帝国所属の騎士、シェランの四名。
この個で有りながらも一国に匹敵する程の武の持ち主4人を、人々は尊敬と畏怖の念を込めてこう呼ぶ。
大陸四天王と。
ラノベとかだと如何にもな噛ませ称号になる訳だが、残念ながらその実力は本物だ。
今の俺がチート全開、体二つで戦っても勝ち目は薄い。
「ようこそおいで下さいました。ソウセイ様」
ゼグス家の従者が、邸宅へと訪れた俺に恭しく頭を下げた。
今の俺は、この家と友好を築いている。
二年前、半身解毒後から、俺はゼグス家の治める領内へと活動の場を移していた。
目的はもちろん、ゼグス家との関係を結ぶために。
従者に連れられ、広い邸宅内の一室へと俺は通される。
そこは家主の執務室だった。
室内には当主であるマーカス・ゼグスが執務机に座っており、その机の横には、もう一つの体の叔父にあたるマルクが立っている。
「お待たせした様で申し訳ない。この穴埋めは必ず」
本来訪れる筈だった時間を少しオーバーしていたため、俺は2人に謝罪する。
遅れた理由はなんて事はない。
以前オーク討伐で組んだ疾風の面々とばったり顔を合わせ、少し話し込んでしまったせいだ。
まあ大遅刻と言う訳ではないので、この程度で俺へ信頼が失われるという事はないだろう。
因みに、疾風のリーダーであるペンテはプラチナランクに今年昇格していた。
二十五と言う若さを考えると、彼女も中々に優れた冒険者と言えるだろう。
「何をおっしゃりますか。アドル王子の件で無理をして頂くのですから、どうぞお気になさらずに」
「ははは、そう言って貰えると助かります」
マーカスの腰は低い。
彼が穏やかな言動の人物と言うのもあるが、俺が
ミスリルは冒険者のトップでこそないがその数は少なく、この国では俺を含めて二人しかいない。
しかも片方は高齢で、もう半引退状態だった。
つまり、実質俺一人と言う事だ。
その数が圧倒的に少ない事からも分る通り、ミスリルランクは超が付く程の狭き門となっている。
当然、そこに上り詰められる者が優秀で有る事は疑いようがない。
そのため、冒険者ギルドでの発言権は強く。
また、貴族からの扱いも別格な物となっている。
大陸でも数の限られるミスリル冒険者を召し抱える事が出来れば、貴族にとっては大きなステータスとなるからだ。
当然それは俺も例外に漏れず同じで、ミスリルランクに上がって直ぐに国内は愚か、国外の貴族からも仕えないかというオファーが大量に来た程だ。
もちろんそのお誘いはゼグス家からも届いていた。
まあ流石に士官は断ったが――所属はフリーの方が色々と出来るから――可能な限り領内に滞在し、依頼があれば優先的に受けるという形で彼らと契約している。
それから二年。
せっせと仕事を受けて信頼度を上げ続け、更に王子の体側からも俺に強い興味を示しす事で、今ではゼグス家を通してもう一つの体と頻繁に手紙をやり取りできるラインを繋げる程になっている。
え?
手紙なんてやり取りする必要はないって?
そらそうだ。
何せ同一人物だからな。
この世にこれ以上完璧なツーカーなどないのだから、手紙による意思疎通など不要極まりないと言える。
だが、これは無意味な行動では決してなかった。
その意図は一点。
冒険者である俺が、王子と無理なく接点を持つ事だ。
いきなりなにもなしに親しく絡みだすのは、不自然極まりないからな。
だからコツコツと手助けしても不自然にならない様に、地道にコツコツ積み上げて来たという訳さ。
「では、アドル王子がお待ちですので」
俺はマーカス達に案内され、自分の元へと向かう。
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