第10話 暮内亮司の見守りの日々(10)

 総司達は夏休みに突入した。


 なんか翔子ちゃんに押しかけられて布団の中に侵入されたりしてたけど、概ね平穏な様子だった。


 そんな総司達は、吉岡くん達からお詫びとして、海旅行に招待されてたんだ。

 そうそう、吉岡くん達は、どうやら付き合う事になったみたい。

 そして、その為か総司を取り巻く女の子達が総司に詰め寄ってたけど。



 そして、海本番。

 

 とても楽しそう・・・だったんだけど、



『え?何言ってんの?私達と総司、吉岡と莉愛で別れるに決まってんじゃん。ねぇ?』

『うん!』『ええ。』『ああ。』『はい!』

『『いやいやいやいや。』』


 いやいやいやいや!

 駄目でしょうそんなの!

 何かあったらどうするの!?

 おじさん、許しませんよ?


 総司と吉岡くんはなんとかならないか相談をかけているけど・・・脅しに屈してしまったようだ。

 というか、この子達、覚悟決めすぎてない?

 怖いよ・・・琴音さんや翼ちゃん達を思い出すなぁ・・・ここまでじゃなかったけど。


 海に出て、みんなで水着に。

 ・・・うん、やっぱりみんな綺麗だね。

 それに、大胆だと思う。

 やっぱり琴音さん達以下略。


 ビーチバレーなんかもしてたけど・・・これ、あんまり僕は見ちゃだめだね。

 目に毒だ。


 ・・・総司?

 多分視線でバレてるよ?


『総司?夜楽しみにしててね?水風船みたいにしても良いから。』

『そーちゃん?私にもドリブルみたいにしても良いよ?でも、出来れば優しくしてね?』

『総司先輩?私はそんなに楽しませてあげられないので・・・大きくなるように、おまじない、して下さい。いっぱい触って下さいね?』

『ソウ、私のも大きさ、感触、ハリ、中々のものだと思うぞ?楽しみにしていると良い。』

『・・・勘弁してください。耐えられません。』

『『『『耐えなくていい(わ)(よ?)(です)』』』』


 ほら〜。

 ・・・しかし、とんでもない誘惑だなぁ。

 僕の時よりも、遥かに凄いよコレ。

 


 そして、まさかの総司と吉岡くんがナンパされるという、セオリーと真逆のおまけつき。

 その結果、総司達は女性陣に折檻を受けている。

 ・・・熱い砂浜での正座はきついよね。

 ・・・わかる。

 だって、僕も身に覚えがあるもん・・・双葉にやられたんだ。


『おい亮司?てめ〜あたしってもんがありながら、何ナンパされてやがるんだ?あ”あ”!?』

『ふ、双葉落ち着いて!僕はちゃんと断ったから・・・』

『正座だ。』

『へ?ここ砂浜・・・』

『正座しろ!』

『はいっ!』


 ・・・懐かしいね。

 目に、ゴミが・・・






 その後は、総司達は宿に戻って、入浴タイム。

 総司と吉岡くんは二人でのんびりと入浴中だ。

 なんというか・・・このタイミングでしか息を抜けないのは、辛いよねぇ・・・ご愁傷さま。



 でも、そんな総司達は、お風呂上がりにすぐに捕まった。

 

『それじゃあ、罰を発表しま〜す!』


 ・・・柚葉ちゃん?

 すっごく楽しそうだね。

 そんなところは、お母さんに似なくていいんだよ?

 


 彼女達の言う罰。

 それは、吉岡くんは三津浦さんと一緒に寝ること。 

 そして、総司は・・・ん?押し入れで寝ること?なんでそれが罰に・・・?

 むしろ、総司的にはご褒美なのでは?


 ああ、裸で寝るのか。

 でも、ちょっと恥ずかしいかもだけど、そこまでじゃないよね。

 総司も笑顔を我慢しようと必死だし。

 


 でも、僕は知っている。

 彼女達はそんなに甘くないという事を。

 だって、身にまとう空気が、双葉が僕を嵌めようとする時と一緒だから!


 総司!油断しちゃ駄目だぞ!

 きっと何かあるから!


 総司が部屋に入りいそいそと押入れに入る。

 そして部屋が真っ暗になった。


 ・・・考え過ぎだったかな?

 僕はどうしよう・・・やっぱり総司と一緒に押入れに入るべきか・・・ってあれ?


 しゅるしゅる

 すとん

 

 なんの音?


 がらっ


 あれ?なんか開いた?


『お邪魔しま〜す。』

『入るね〜?』

『うふふ・・・総司先輩・・・?』

『ソウ、お前は何度も同じ様な手に引っかかるなぁ・・・』

『は・・・?』


 は・・・?

 いま、押入れの中で何が・・・


『お、お、お、お前ら・・・まさか・・・』

『うん♡は・だ・か♡』

『ちょ、ちょっと待てー!!!!なんで入って来てるんだ!?一人で寝るって・・・』

『もう、そーちゃんうるさいよ?迷惑になっちゃうから静かにして!それに、"一人で"なんて一言も言ってなかったし。』


 !!

 これか!!

 なんて策士!

 これを女子高生が考えたっての!?

 こわっ!!


『柚ちゃんの言う通りですよ?・・・それにしても・・・はぁ、総司先輩の身体・・・ごつごつして・・・こんなに密着してたら、色々触っちゃっても仕方がありませんね♡』

『翔子!?お前どこ触るつも・・・もがっ!?』

『おっと・・・ソウ、いかんなぁ・・・大声は。さて、みんな、取り決め通りに、最後までは無しだ。ソウに襲われん限りはな。ソウ?どうしても我慢できなくなったら、押し入れから出てするからな?但し、そのときには、将来の伴侶を決めて貰うからな。それと、寝る場所はちょいちょい変わるから動くぞ?まぁ・・・いくら大きめの押入れだとしても、狭いからなぁ・・・身体が重なるのも仕方がないな・・・なぁソウ?』

『もがもが!もがががが!!!(お前ら!何考えてんだ!!!)』


 やばい!

 総司!頑張れ!

 我慢だ!

 僕はちゃんと押入れの外にいるからね!


『総司・・・総司がいけないのよ?まさか逆ナンされてくっつかれてるなんて・・・だからこれは罰よ、罰。総司・・・頑張って♡』

『そーちゃん・・・大きくなっちゃっても大丈夫だからね〜♡』

『むしろ・・・大きくしてあげましょうか?なんだったら・・・色々お手伝いしますね♡』

『もが!もががもががが!!もががが〜!!(誰か!誰か助けてくれ!!光彦〜!!)』


 ああ・・・総司・・・なんて辛い罰を・・・

 それにしても、末恐ろしいね。

 こんな事を考えるなんて・・・流石はあの四人の娘・・・


『あ、そうそう、総司?これ考えたの、総司のお母さんだからね?』

『もがっ(何)!?』


 何だって!?

 双葉〜!!

 これはやりすぎでしょ!!


 やる方もやる方だけども! 



 総司・・・僕の妻が、君のお母さんがごめんね?

 頑張って耐えてくれ。

 僕は涙で何も見えなくなった。




 朝。

 へろへろの総司と吉岡くん。

 どうやら耐えきったみたいだ。


 それにしても・・・女性陣はみんな平然としてるね。

 凄いや・・・双葉が気にいるわけだ。

 度胸が・・・というか覚悟が半端ない。 


 そして、チェックアウトしてまた海へ。

 

 おお、今度はちゃんと(?)絡まれてる。

 そして・・・ボコボコだなぁ。

 というか、北上さんは本当に強いね。

 双葉とまともに戦えそうだ。


 僕、双葉に勝てる気しなかったんだけどなぁ・・・総司はよく北上さんと引き分けたよ、うん、凄いね。

 かくいう総司も圧倒的な力を見せている。


『・・・光彦くん。暮内先輩、ギャップがひどすぎません?とても4人の女の子に詰め寄られてタジタジになっている人と同じと思えません。』


 うん、三津浦さん、僕も同意見だよ。

 総司・・・あんなに格好いいのに・・・残念な子だよ。


 ・・・僕も、格好悪いところは、人の事は言えなかったんだけどね。

 

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