第8話 暮内亮司の見守りの日々(8)

 お説教の後は、北上さんとの時間だ。

 二人は、連れ立って・・・え?隠し部屋?

 そして・・・き、北上さんが総司を襲って・・・!?

 って・・・そっか・・・北上さん・・・君は琴音さんから話を聞いて・・・僕には、何も言えないね、これは・・・というか、言う資格が無い。

 でも、総司であれば・・・


『・・・黒絵。お前のそれは、別に浅ましく無いし、卑怯でも無い。普通なんだ。誰だって考える普通の事だ。』

『俺だってそうだ。口では、近いだの離れろだと言っても、お前らに触れられるのは内心喜んでいる。だが、恥ずかしいからそう口にしているだけだ。』

『人は怖がりで臆病だ。でも、それは自分を守るためには必要なものだと俺は思う。だから・・・』

『そんな事で嫌いになったりしないさ。それに・・・こういう姿を見せたのも、自分をもっと知って欲しいと思っての事だろう?なら、お前はちゃんと勇気があるさ。』


 ・・・総司。

 君は、僕よりもよっぽど頼りがいがあって、格好いい男だと思うよ。

 僕はそれが嬉しい。

 とても嬉しいんだ。

 そうやって、きちんと受け止めてあげられる君が誇らしい。





 そして、夜・・・

 う〜ん・・・さっきの格好良さがどっか行っちゃってるなぁ・・・

 今、総司は北上さんと西條さんに挟まれて・・・というかくっつかれて、うろたえている。

 ・・・まぁ、仕方が無いだろうけど。

 というか・・・琴音さん達よりも、娘さん達の方が、数倍積極的だなぁ。

 ・・・総司、大変だろうけど、頑張って。



 そして、朝。

 総司が焦っている気配で気がついた。

 というか・・・最近、僕の意識がたまに飛んでいる時がある。


 理由はわからない。

 でも、気がついたら時間が経過しているんだ。

 どういう事なのか・・・ってそれよりも、総司はっ!?て・・・あ・・・


 僕は、総司の状態を見て絶句してしまった。

 完全に・・・それ系のDVDか本にあるみたいな状態になってる!?

 

 なんでそうなってるの!?

 ていうか、このままじゃ総司は・・・早く離して・・・あっ・・・



 僕は、そっと総司から目をそらした。

 これ以上見るのも、語るのも、総司の名誉に傷がつくだろう。


 その後、総司は逃げるように部屋を飛び出し、その・・・処理をする。

 そして、洗面所に向かうと、二人の話し声がした。


 その話は、中々にセンシティブなものではあったけど、それ以上に、


『にしても・・・不思議な匂いよね?良い匂いでは無いけど・・・』

『・・・ああ、不思議と言うかなんというか・・・この・・・また嗅ぎたくなるというか・・・』

『分かる!・・・これってやっぱり、好きな人のだから、よね・・・』

『ああ、おそらくな・・・だが、ソウはまた落ち込んでいる筈だ。あんまり触れてやるなよ?』

『分かってるわよ・・・慰めてあげないとね。』

『そうだな。一番恥ずかしい思いをしたのはソウだ。だから、気にしてないとちゃんと伝えてあげないとな。』


 総司を気遣う言葉。

 その言葉を、総司は気がつかないふりをした。

 そして・・・


『何があっても、どんな情けないところを見せても、総司からは離れないから。』

『それはワタシも同じだよ。それに、そういう面を見れるのは、実は結構嬉しいものなのだな。だから、気にするな。』


 その言葉に、僕は本当にこの子達が良い子だって分かったんだ。

 この二人だけじゃない。

 柚葉ちゃんも翔子ちゃんもだ。

 そして、僕はこの子達のだれかが、総司のお嫁さんになってくれたらと、切に願った。


 こうして、総司たちの旅行は、とても楽しんだ様子で終わった。

 ・・・んだけど・・・


『3日間お疲れ様でした。大変だったと思います。おうちに帰ってから使ってください♡     あなたの翔子より♡』


 翔子ちゃん・・・君は・・・おじさん、ちょっと心配になって来ちゃたよ・・・







 旅行を終え、また一つ総司が変わった。

 身だしなみをしっかりと整えるようになったんだ。

 そして、総司は注目されるようになっていた。


 そうそう、総司は格好いいんだよ!

 みんなが知ってくれて、僕も嬉しい!



 そして、驚くべきことがあった。

 なんと、総司にラブレターが来たんだ。

 

 総司がそこに行くと、凄く可愛い子が総司を待っていた。 

 三津浦と名乗るその子は、総司に告白したんだ。

 

 総司は、断っていたけどね。

 ・・・ちょっと解せないのは、その子はあまりショックを受けていないように見えること。


 なんか気になるね・・・

 

 どうやら、同じように告白された西條さんも、変な感じだったらしい。

 ちょっと気になる・・・

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る