第7話 暮内亮司の見守りの日々(7)

 それは、総司たちが、双葉たちの事について話している時に起きたんだ。


ガラッ


 ドアのスライドする音、そして・・・


『お邪魔しまーす!』

『私も〜』

『入るわね。』

『・・・仕方がありません。何かあったら止めねばなりません。ええ、そうですとも。だから仕方が無いのです。他意はありません。ええ、ありませんとも。』

『総司〜?どれくらいぶりかしらね?あなたと一緒に入るのは!お母さんちょっと嬉しいわ!瑞希も誘ったんだけど、流石に嫌だって言われちゃった!てへっ♡』


 琴音さん、清見ちゃん、翼ちゃん、葵ちゃん、そして双葉がバスタオル姿でお風呂場に現れたんだ。

 総司たちは固まっている。

 そして僕も固まった。

 ・・・思わず凝視しちゃう。

 凄い・・・特に琴音さんと清見ちゃん・・・

 ・・・はっ!?

 い、いかん!

 こんなの後でバレたら双葉に・・・


 今は、総司が必死に琴音さん達を問いただしているけれど・・・あ〜これは酔ってるね。

 そして、総司のトップシークレットについて清見ちゃんたちがバラしている。


 琴音さんも違和感に気がついて、矛先を清見ちゃん達に向けたけれど、すぐにその状況に納得している。

 どころか・・・


『詩音?何をそんなに怒ってるのよ?それより、総司くんをもっと誘惑なさいな。そして大きくなったところを見せてよ。』

『何言ってんの!?』


 めちゃくちゃだ!

 そりゃ、西條さんも叫ぶよ!


『柚葉!あなたの武器を使う時よ!!そーちゃんを攻めなさい!!大丈夫!男はみんな巨乳好きよ!!そーちゃんもきっとそう!!』

『お母さん!?恥ずかしいからそういう事言わないで!!・・・でもやっぱりそうなのかな?・・・これでそーちゃん堕とせるかな?』


 清見ちゃんまで!

 ・・・うん、柚葉ちゃんは流石に清見ちゃんの娘なだけはあるね・・・じゃなくて!!


『翔子、分かっていますね?こんなチャンスは中々ありません。しっかりと誘惑して、総司くんに意識させなさい。大丈夫です。もし総司くんの総司くんが大きくなった場合は、私が手ずから、どうしたら良いのか実演しますから。』

『お母さんありがとう!私がんばります!その時は、教えて下さい!・・・でも、総司くんの初めてはちゃんと私に下さいね?』


 翼ちゃんはもうどうしようもないね!!

 それに完全に育て方を間違えてるよ!!

 

『黒絵・・・翔子さんと翼は危険です。はしたないですが、私が許可します。あなたのその美貌で、総司くんを他の女の子に目を向けさせないようにしなさい。良いですね?』

『は、母上・・・しかしだな?その・・・流石にこの状況でそれは無いかと・・・』

『愚か者!あなたは、私と同じ想いをしたいのですか!今でこそ夫がいるから傷も癒えましたが、当時はかなりショックを受けました。あなたにはそんな想いをして欲しく無いのです!!』

『母上・・・そうですか。それほどまでにワタシの事を・・・わかりました!ワタシも北上の女です!勇猛果敢に攻めて見せましょう』

『それでこそ自慢の娘です!』


 ・・・駄目か。

 北上さんも葵ちゃんにひっぱられてる。


 あっ!?

 総司が逃げ出した! 

 って葵ちゃん!?

 なんで捕まえてるの!?

 どころか、翼ちゃんまで!?

 

『そーちゃん!逃げちゃだめよ!ここから出たくば私達を倒してから行きなさい!』

『ひぃっ!?き、清見さん!?見える!見えちゃうから!!』


 清見ちゃん!?

 意味がわからないよ!?

 それに、見えちゃうよ!?・・・ごくりっ・・・て駄目だ!!

 あれは翔一くんのもの!あれは翔一くんのもの・・・


 琴音さんまで総司にしがみついてる。

 総司はちょっと前かがみだね・・・うん、仕方がない。

 それは仕方がない。


『あはははははははははは!!!』


 双葉はなんで笑ってるのさ!!

 助けてあげなさいよ!


 痺れを切らした西條さんたちが助けに入り、総司がもみくちゃにされてる。

 ・・・いや、これ、僕このまま見てたらまずいんじゃ・・・


 あっ!?

 その瞬間、僕の視界をとんでもないものが埋め尽くした。

 はらりと舞う4枚のバスタオルと、肌色。 

 ・・・うわぁ・・・

 ごくりっ・・・


 ゾクッ!!


 ひっ!?

 今、背筋に冷たいものが!?


 僕は、咄嗟に斜め後方にいる双葉を見る、

 ・・・何故か、双葉が僕がいる方向を見ているような・・・というか目があってるような・・・おかしい・・・見えてない・・・よね?

 なんか・・・プレッシャーが・・・


『『『『『『『『あ』』』』』』』』』

『あ〜〜〜〜〜〜〜〜!?』


 そんな叫び声で、視線を総司達に戻すと、総司は海パンが脱げた状態だった。

 なんでそうなったの!?


『あはははははははははは!!』

 

 ・・・双葉からのプレッシャーが無くなった。

 ・・・あれは、なんだったのか・・・


 そして、気がつけば、総司は琴音さんと清見ちゃんの胸に挟まれ、顔を押しつぶされていた。

 ・・・どうしたら、そうなるの?

 僕、そこまで美味しい目・・・じゃなかった、大変な目に遭ったことは無かったよ?

 ・・・ずるい総司・・・


 ブッ!!


 あ・・・


『『『『あ〜!?またぁ!?』』』』

 

 ・・・あ〜あ・・・総司また・・・


 この後、総司はすぐにお風呂から出されたんだけど・・・


『にしても・・・これが噂の・・・確かに凄いわね・・・あのバカ夫とは比べ物にならないわね・・・』

『琴音センパイ、でしょう?びっくりしますよね?』

『・・・おっと手が滑りました。』

『こらっ!翼!しれっと撫でないの!!』


 ・・・君たち、本当に何やってるのさ・・・

 良いのかい?

 そこの四人・・・というか、三人の怒りのボルテージが凄く上がってるよ?

 めちゃくちゃ怒ってるっぽいよ?


 

 それに・・・


 ・・・ねぇ、瑞希。

 僕は気がついてるよ?

 そこで、隠れて見てるよね?


 で、その顔は何?

 なんで、ハンカチを噛みながら悔しげにしてるの?


『・・・ズルい。私だって触ったこと無いのに・・・』


 ・・・お父さん、心配だよ・・・君の将来が。

 





 案の定、琴音さんたちは、その後、自分の娘たちに説教されるっていう恥ずかしい目にあっていた。

 もちろん、目を覚ました総司も、双葉を叱っていた。


 総司のあまりの怒りっぷりに、みんな冷静になったのか、総司をなだめているね。

 総司も落ち着いたみたいだ。

 お互いに、罪の相殺をしたみたい。


『琴音さん達といる時の母さんは本当に楽しそうで、子供として俺も嬉しいんです。父さんが死んでから、こんなに楽しそうな母さんは初めて見ました。だから・・・ありがとうございます。どうか、これからも、母さんと仲良くしてあげて下さい。』


 ・・・うん。

 僕からもお願いします。

 どうか、双葉と仲良くしてあげて下さい。


 その言葉に、琴音さん達は感動しているみたいだ。


『総司。』


 双葉が、潤んだ目で総司を見ている。


『あなたは、私と亮司の自慢の息子よ?どうか、そのまま優しく良い子でいてね?そして・・・ちゃんと自分の幸せを大事にして?それがお母さんと・・・お父さんからのお願いよ?』


 ・・・その通りだよ。

 総司、君は僕の自慢の息子だよ。

 だから、君も君の幸せを大事にしてね?



 母さんは微笑んでそう言った。


 その言葉に、総司の表情も改まった。

 どうやら、きちんと決断したようだね。


 がんばれ!

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