第152話 翔子との卒業旅行
「今回の旅行、しっかりとソウに満足させて貰わねばな。」
「本当だよ!それに、もう、つけなくて良いんじゃないかな?」
「・・・黒絵に関しては、あたしは何も言えないわね。実際、総司を焚き付けたようなもんだし・・・柚葉に関しては賛成よ。いい加減、いくら大入りのバラエティパックを買ってるからってお金勿体ないし。」
「・・・ごめんなさい。私も詩音さんに同じです。でも・・・柚ちゃんにも賛成です。」
今日は翔子の卒業旅行だ。
場所は熱海だ。
・・・渋い。
こいつらが言っている”つけなくて”っというのは・・・説明しなくても分かると思う。
以前、薬に頼ってつけずにというのはやっていた。
やっていたが・・・やはり、身体への負担が心配になり、一年程でやめてしまった。
それ以降は大入りのバラエティパックを購入しているんだが・・・
いや、わかる。
わかるぞそりゃ。
段違いだからな。
気持ち良さが。
だが、やはり、リスクがでかい。
そう思うと、つけないという選択肢は選びたくない。
しかし、こやつらはそれが不満らしい。
危険な日以外は全てナシを希望というストロングスタイルなのだ。
当然拒否してぶ〜ぶ〜言われる。
閑話休題。
今回の旅行先が何故熱海かというと、やはり温泉でゆっくり過ごしたいと翔子が希望したからだ。
受験大変だっただろうからな。
その気持ちもわかる。
宿はきちんとした宿を借りた。
借りたのだが・・・やはり一部屋。
なんとなくこいつらの思惑が透けて見える。
おそらく、こいつらは、俺の耐性を下げ、そしてなし崩し的に全員でしようと画策しているのだろう。
・・・なんだか、もう、いい気もしなくは無い。
しなくは無いが・・・そうなったら、つけないとかそういう判断基準も吹っ飛びそうで、どうにも前向きにはなれない。
やはり、どこかで理性的である必要があると思うのだ。
全員でしたら、絶対に理性を飛ばす自信がある。
それくらい、背徳的で、欲望に忠実な行為だと思う。
だから、せめて俺だけでも理性的でありたい。
そんなこんなで、みんなでレンタカーで熱海に向かって、現在は箱根だ。
なかなかの急勾配だな。
運転する側も面白い。
景色も良いしな。
途中、湯ネッサンという水着着用の温泉施設に立ち寄った。
ここは、ワイン風呂やコーヒー風呂なんていう面白い温泉があるみたいだ。
個人的には、死海風呂というのが面白かった。
春休みの平日という事もあり、どちらかと言えば、若いカップルや学生旅行に来ている人が多いようだ。
そして、そうなると・・・
「・・・すっげぇ・・・なんだあれ・・・」
「お、おい、声かけるか?」
「いや・・・気後れするな・・・レベルが高すぎる・・・」
「てゆ〜か・・・あの一人だけいる男にべったりだぞ?どんな関係なんだ?」
こうなる。
周囲から凄まじい視線。
まぁ、シオンも柚葉も翔子も黒絵も、その辺のアイドルや女優、モデルなんかよりもずっと綺麗だからな。
パンッ!!
あ、また一組、喧嘩・・・というか、カップルの男が、女の人にビンタされてる。
見惚れすぎたんだろうなぁ・・・
「ほら、総司!何ぼ〜っとしてんのよ!」
むにゅっ
「そうですよ総司くん。ちゃんと私達を意識して下さい♡」
むにっ
「そーちゃんったら・・・まさか他の女の人に見惚れてたり・・・しないよねぇ?」
もにゅん
「何?ソウ。それは我々への宣戦布告と受け取って良いのか?公衆の門前でどこまで出来るのか確かめようと言うのか?ん?」
もにゅん
「・・・そんな事は、一ミリたりとも考えてね〜よ。」
今の俺の状況は、湯船に浸かりながら、左右に黒絵とシオン、背後から柚葉が抱きしめ、正面から翔子がまたがっている状況だ。
多分、聞こえて来る周囲の声に対する意趣返しなのか、思い切り俺に胸を押し付けている。
・・・あんまりくっつかれると、反応しちゃうのでやめてくれませんかね?
「・・・なんだこれ!?AV!?AVなのか!?」
「でも、どこにもカメラねーぞ!?」
「・・・てことは、あれ、全部あいつの女なのか・・・?嘘だろ・・・?」
血の涙を流しそうなくらいこちらを凝視している男たちが多数いる。
まぁ、もう特に思うことも無い。
今更気後れすることも無いしな。
だが・・・
「・・・あ♡もう・・・総司くんったら・・・こっそり入れます?」
「入れません!」
これは別だ!
そこまで羞恥心が無いわけじゃないし、公衆の門前で行為に及んで他人に迷惑かけようとは思わない。
不衛生だとも聞いた事がある。
というか、そんな性癖は無い!
だからその期待した顔はやめろ!!
周囲に、多大な爪痕を残しつつ、温泉を後にし、宿へ行く。
今回は今日を含めて二泊三日だ。
のんびりとしよう。
・・・ま、出来るわけが無いんだがな。
俺だけ。
「さぁ、翔子、卒業おめでとう!まずは翔子からだな。」
「その次はどうしようかしら・・・誰か希望ある?」
「あ、じゃあ私でも良いかな?」
「ああ、ワタシは良いぞ。その後は詩音、お先にどうぞ。」
「あら?良いの?お言葉に甘えようかしら。」
「ちょっと今回は勉強も兼ね、しっかりと
・・・ちょっと待て。
今、見に回るって言ったか?
言ったよな?
目隠ししてる筈だよな?
・・・くそっ!
だんだんと隠さないようになってきやがった!
そのうち目隠しすら不要と言い出しかねない・・・なんとしても防がねば!!
駄目でした。
二日目、重い体を起こし、熱海を散策、そして土産物なんかを買い込み、夜には宿で食事、そして二日目の夜となったが、一人目である黒絵が終わった後、ふと振り返ると、全員が目を開けじ〜っと見ていた。
「なんで目隠ししてねぇんだ!!」
俺が思わずそう叫ぶと、なんでもない事のように、
「勉強の為よ。」
「勉強の為だよ。」
「勉強の為です。」
「・・・ふぅ。ソウ。これはワタシが許可した事だ。もっとも、ワタシも許可を貰っているがね。」
そんな風に言いやがった。
・・・いかん・・・刻一刻とその時が近づいているようにしか思えない。
だが、毅然とした態度で挑まねば!!
断固拒否だ!!
「お前らな?もうちょっと羞恥心ってものを・・・むぐっ!?」
「さぁ、そーちゃん始めましょうね〜?次は私だよ〜♡・・・あは♡もうこんなになちゃって♡」
・・・ちくしょう!
駄目だ!
・・・こいつらには勝てなかったよ・・・
こうして、背後からの視線と、段々と近寄ってくる全員プレーの足音を聞きながら、俺の意識はこいつらに溺れていったのだった・・・
あ、全員ではしてない。
してないからな?
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あとがき
思った以上に長くなってしまっています(泣)
ですがようやくカウントダウンです。
今話が終わり、後9話です。
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