第151話 翔子との旅行・・・だったのに・・・

「さぁ、総司くん。早速これを使いましょう。」


 翔子の持っていたカバンの中からは・・・まぁ、俗に言う大人のおもちゃ達が出てきた。

 おもちゃの手錠や、目隠しなんかも見える。

 俺が引きつっていると、翔子が俺を見た。


「まずは、総司くん、これをめて下さい。」

「え!?俺が嵌めるのか!?」


 翔子が取り出したのは、手錠だった。

 

「はい。私も興味があるので、後で嵌めて貰って結構ですが、まずは総司くんが嵌めて下さい。どんな気持ちかそれでわかるでしょう?」

「・・・」


 嫌だ。

 俺は攻められるより攻めたい。

 だが・・・目をキラキラさせている翔子をがっかりさせるのも・・・なぁ。

 俺は素直に手錠を嵌められる。

 

「はい、では次は目隠しです。」


 そのまま、翔子に目隠しをされた。

 

「さて・・・最後に、耳栓をつけますね?」

「え”!?そこまですんの!?」

「はい。途中で外してあげますから・・・」


 そして、翔子に耳栓をされた。

 無音の中、突然首筋を舐められる感触がする。 


「ふっ・・・!?」


 そのまま体中を撫で回され、舐め回される。

 ・・・背筋がゾクゾクする。


 もう、俺はすっかりと準備万端になっていた。

 ・・・俺はMっ気もあったのだろうか・・・


 ・・・それにしても、翔子のテクが上がってる気がする。

 なんだか、手が何本もあるように感じるんだ・・・

 やはり、目隠しされて、動きを阻害されているから、感覚にズレがあるんだろうか。


 そんな事を考えていたら、耳栓を外された。


「・・・さて、それじゃあ、ここも限界のようですからね。そろそろ止めをさしてあげましょう。お願いします。」

「へ?」


 そんな翔子の言葉と共に、俺自身に充てがわれた感触があった。


「さて・・・目隠しを外しますね?」


 目隠しを外され、光が溢れ・・・目の間には翔子・・・が大人になった・・・って!?


「翼さん!?」

「・・・うふふ。総司くん、頂きますね?・・・ん♡大っきい♡どうなっちゃうのかしら♡」


 妖艶な顔をしている翼さん。

 俺は横を向く。

 すると、そこには・・・


「・・・ごめんなさいね総司くん。でも・・・我慢できなくて・・・断りきれなかったの・・・♡」


 琴音さんまで!?

 俺は、翔子をバッと振り向く。

 そこには、笑顔の翔子が裸で立っていた。


「総司くん。お母さんと琴音さんも、幸せにしてあげて下さいね♡」


 やられた!!

 いや、いろんな意味でやられる!?


 脳裏に、シオンに以前言われた事が響く。


『・・・もし、総司が、あの二人を抱く必要があると判断したら、その時は・・・遠慮しないで?』

『・・・そんな状況あるかぁ?』

『・・・わからないわ。あたしには、お母さん達の事は、わからない事が多すぎるもの。でも・・・一つ言えるのは、あの二人は傷ついているって事よ。』


 そんな事を思い浮かべていると、翼さんがこちらを寂しい笑顔をしながら見おろしていた。


「総司くん・・・あの子達には私達が謝るから・・・今は・・・私だけを見て・・・どうかお願い・・・前の夫を・・・私を裏切った前の夫を忘れさせて・・・あなたの事が、好きなの・・・」


 涙を流しながら、思い切り唇を吸われる。

 もう、ほんの数センチ腰を落とすだけで・・・


「総司くん、本当にごめんなさい・・・でも、私も翼さんも・・・辛いの・・・辛いのよ・・・夫に裏切られて・・・本当に好きだった人には振られて・・・そして、家族を心から守ってくれたのは、あなただけだった・・・私も、そんなあなたが好きよ・・・だから・・・忘れさせて・・・あの人を・・・私達の、傷を癒やして・・・」 


 耳元で、すすり泣きながらそう呟く琴音さんの声がした。

 その瞬間、頭が真っ白になった。

 この二人の泣き顔が、シオンと翔子と重なる。

 この二人も泣かせたくない!!


 俺はプラスチックでできたおもちゃの手錠を力任せに引きちぎり、そのまま翼さんに覆いかぶさった。

 









「・・・やっちまった・・・」


 翌朝、俺はソファで一人肩を落としていた。

 あの後、翼さんを抱えて他のベッドに移動し、事が済んだら、琴音さんを迎えに行き、他のベッドで事に至る。

 そして、その後、翔子とは、翔子の念願のウォーターベッドで致した。


 その後もそれぞれと致す。


 我に返ったのは、朝が来てから。

 今、3人はそれぞれのベッドで満足気に眠っている。

 

「・・・はぁ・・・素直に謝ろう・・・許してくれるかなぁ・・・」


 そんな風に呟いていると、


「・・・おはようございます。総司くん・・・」

「・・・翔子・・・おはよう・・・」


 バツが悪そうな翔子が起きてきた。


「ごめんなさい。総司くん・・・実は・・・」


 どうも、翔子はあらかじめこうするつもりだったらしい。

 理由を聞くと、たまに仕事終わりに琴音さんが家に来て、翼さんとお酒を飲んでいたらしいが、二人で泣いているのを何度も見たらしい。

 それで、二人を癒やしてあげたいと思って、自分の旅行の時に計画したらしい。


「ごめんなさい。総司くん・・・」

「総司くん・・・ごめんなさいね・・・」


 そんな話をしていたら、琴音さんと翼さんも起きてきた。

 二人共、神妙にしていた。

 

「・・・おはようございます。琴音さん、翼さん。いえ、お二人の事は大好きですので、これが助けになるのであれば・・・あいつらに怒られるのは甘んじて受けます。翔子は一緒に怒られような?」

「・・・はい。許してくれますかね?」


 しょんぼりした翔子が上目遣いでそう問いかけてきた。


「・・・どうだろうなぁ・・・」


 そればっかりはわからない。

 でも、俺は自分のした事の責任を取らなければいけない。

 

「・・・私も一緒に説明するわ。」

「勿論私も。」


 こうして、俺達は帰路に着いた。

 

 そして、レンタカーを返して、家に着く。

 俺達と一緒に、琴音さんと翼さんが一緒にいた事で、察したようだった。

 

 勿論、怒られた。

 それはもう烈火の如く怒られた。

 

 俺達は全員正座をさせられ、怒られた。

 だが、途中で、シオンが俺達側に座って、柚葉と黒絵に謝罪した。


「・・・ごめんなさい。でも、どうか許してあげて?お母さん達はこれまでにもう充分傷ついてるから。それに・・・総司が二人を抱いたのは、多分あたしの言葉もあったから・・・」


 シオンの説明に、柚葉と黒絵ももどかしい顔をして、最後にため息をついた。


「・・・仕方があるまい。ワタシは許す事にするよ・・・おふた方は、ワタシ達の未来の為に尽力して頂いているし、ワタシ達にとってのお義母さまでもあるし・・・おふた方の現状は、ソウに我々の想いが通じなかった未来だとも思うしな・・・」

「・・・はぁ〜・・・しょうがないね・・・私も、琴音さんと翼さん好きだし、お世話になってるからなぁ・・・あ〜あ・・・やっぱりこうなっちゃったかぁ〜・・・」


 お互い苦笑いをしている黒絵と柚葉。

 

「本当に、すまない!」

「・・・もう良いよそーちゃん。」

「ああ・・・まぁ、実はある程度覚悟はしていたのだ。それに、翔子からも二人の事は聞いていたしな。まぁ・・・仕方があるまい。・・・ただし!」


 黒絵はそう言って、俺に指を突きつけた。

 俺はごくりと唾を飲み込む。


「ワタシが許すのはおふた方までだ。これ以上があったら・・・ねじ切るからな!!」

「うん!私もそうだよ!その時は・・・その後にお料理して、そーちゃんに食べさせる!」


 怖っ!!

 ねじ切られるのもそうだが、柚葉のが怖すぎる!!

 

「・・・ごめんなさい。許してくれてありがとう。」

「本当に・・・ごめんなさいね?そして、ありがとう・・・」


 琴音さんと翼さんが泣きながら頭を下げ、そんな二人を翔子とシオンが抱きしめた。


「お母さん・・・良かったです・・・」

「翔子・・・」

「まったくもう・・・お母さんったら・・・せめて、娘には相談してよ・・・親子でしょ?そりゃ、娘の男に抱かれたいってのは相談しづらいかもしれないけどさ・・・それでも、悲しかったわよ?相談されないのは・・・」

「詩音・・・ごめんね?」


 ・・・良かったのか、悪かったのか・・・

 こうして、翔子との旅行は幕を閉じたのだった。

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