第150話 翔子との旅行

 今日から翔子との一泊二日。

 翔子の希望で、二人きりの旅行は、静岡県に行きたいとの事だった。

 なんでも、砂丘を見てみたいんだと。

 

 静岡には、中田島砂丘というところがある。

 今回は、車で移動だ。

 まだ俺はクルマを持っていないから、車両はレンタルする事になっている。

 

「いい天気で良かったですね!」


 翔子は朝から終始笑顔だ。

 今、翔子を見ても、誰もクールビューティなんて言わないだろう。

 俺としても、そんな翔子を見るのは嬉しくなる。


「ああ、取り敢えず、今、三ヶ日インターを過ぎた所だ。のんびりと行こう。」

「はい!総司くんと一緒であれば、どこへでも、なんでも良いです!」


 ルンルンの翔子が助手席で揺れている。

 絶対に事故らないようにしなきゃな。


 浜松市に入り、高速を降りて昼食を取る。

 昼食は、名物のうなぎだ。


 俺はうなぎが大好物だから、テンションが上がる!

 早く食べたい!!


 店に入り、鰻丼を注文する。


「うまい!!」

「美味しい!!」


 二人で舌鼓を打つ。

 いや〜やっぱりうなぎは美味い!

 最高だ!!


「ご機嫌ですね総司くん。お昼のチョイスもうなぎなんて流石です!」


 どうやら、翔子も喜んでくれたようだ。


「いや〜俺うなぎ好き・・・」

「今夜の為にうなぎまで食べてくれるなんて♡もう・・・総司くんったら♡」


 ・・・ん?

 なんか俺が考えている事と少し違うような・・・


「そんなに精力をつけてくれるなんて・・・♡私も頑張りますね♡」


 ・・・違う。

 そっちじゃない。

 俺はあくまで名物の鰻を食べたかっただけなんだ。

 精力を強めるつもりで食べたわけではない!


「私、今日の為に色々と準備してきたんです!ちょっと恥ずかしかったですが・・・頑張って買ってきたんですよ?だから期待して下さいね♡」


 ・・・買ってきた?

 何を?

 一体何をするつもりなんだ?

 なんだか荷物が多いから、何が入ってるのかと思ってたんだが・・・それが入ってるのかよ!!


「お、お手柔らかに・・・」

「駄目です♡」


 笑顔でそう言おうとしても、どうにも頬がひくつく。

 そして、目の前には、満面の笑顔の翔子。

 ・・・どうにも、逃げられないらしい。

 ええい!惚れた女が期待してるんだ!!

 こうなったら、気合を入れて向かい撃つしかない!!


 俺はそうふんどしを閉め直すのだった。




 食事後、中田島砂丘に移動する。

 ビーチサンダルに履き直し、徒歩で砂丘を進む。


「・・・これが砂丘か。凄いな・・・」

「まるで、砂漠を歩いているようですね・・・砂漠に行ったことないですが。」


 海に向かって歩いて行き、後ろを振り向くも、もう砂丘しか見えない。

 これは凄い。

 見渡す限り砂の山。


 こういう景色も面白いなぁ・・・やはり、旅というのは、俺の性にあっているのかもしれない。

 色々な物を見て、聞いて、経験し、その土地土地の物を食べる。

 とても楽しい。

 いずれは一人旅なんかも良いな・・・多分無理だが。

 みんながついてくる未来しか見えない。

 そして、搾り取られるんだ。

 毎晩毎晩、一滴残らず食い散らかされて・・・


「・・・じくん、総司くん!」

「はっ!?」


 隣を見ると、ジトッとした目で俺を見る翔子。

 

「・・・何か変な事、考えてませんでした?」

「い、いや、そんな事は無い。旅は良いなと思っていただけだ。」

「・・・本当に?」

「ほ、本当だとも!」

「・・・ふ〜ん・・・」


 冷や汗を流しながらそう答える。

 翔子は、猜疑的な視線を向けてくる。


「ま、良いでしょう・・・」


 良かった・・・


「ボソッ(夜、聞き出してやります。)」

「え?なんだって?」

「なんでもありませんよ。それよりも、海が見えるところまで行きましょう。」


 途中で写真を撮ったりしながら、海が見えるところまで向かう。

 そこでも写真をパシャリ。


 その後は車に戻り、浜名湖までもどる。

 浜名湖を車で一周し、ちょいちょい降りては写真撮影をする。


 浜名湖ガーデンパークに立ち寄り、花を見ながら散策し、展望台へ。


「ここは、冬なら富士山が見える時があるらしいぞ。」

「へぇ・・・ここから見えるなんて、やはり富士山って大きいんですね・・・」


 どうせなら、冬に連れて来た方が、良かったかもしれないな。

 今度は冬に連れて・・・


「まるで総司くんのアレみたいですね♡」


 ・・・下ネタ挟まないと気がすまないのだろうか。

 もう、色々つっこみ疲れたわ。

 

「突っ込むのは今夜ですよ?」


 心を読まないで下さい。






 

 夕方になり、帰路に着く。

 本当は、俺は静岡県内で宿泊しようと思っていたんだ。

 だけど、翔子が、


『レンタカーで移動ですし、卒業旅行もあります。極力抑えて行きましょう。私は総司くんとお泊りできるだけで、大満足ですし。』


 という事で、愛知県に戻って宿泊する事になっていた。

 愛知県内に戻り、食事を取る。

 そして、宿泊先に向かったのだが、その宿泊先が・・・


「うわぁ!ここが大人♡のホテルですか!!」


 なんとラ◯ホテルだ。

 俺は、きちんとしたところに泊まろうと言ったんだが、翔子はどうしても行ってみたいと譲らなかった。

 そして、自分で宿泊先を見つけて、予約していた。

 凄まじい行動力だ。

 ・・・まぁ、翔子が喜ぶなら良いかな。

 にしても・・・


「・・・広くないか?」

「ええ、なんでもパーティルームなんですって。ちょっと割高ですが、ベッドも3つありますし、その内一つはウォーターベッドなんですって!私、一度寝て見たかったんです。見晴らしも良いですし、最高です!!」


 ・・・まぁ、良いか。

 さて・・・取り敢えず、イニチアシブを取らなければ。

 翔子のペースに任せると、とんでも無いことになりかねない。

 俺は、翔子をベッドに押し倒す。


「あっ♡総司くんたら♡そんなにがっついて♡」


 まずは、シャワーの前に一満足させるか・・・





「ふぅ。」

「・・・汗かいちゃいましたね。総司くん、先にシャワー貰いますね。」

「・・・一緒に入らないのか?」

「それは後にしましょう。」


 珍しい事もあるもんだ。

 いつもなら、率先して入ろうとするのに・・・


「出ましたよ。湯船にお湯張っていますので、どうぞお湯にも浸かって下さい。」

「ありがとう。流石に気が利くな。」

「総司くんの為だから。」


 少しして、翔子が戻って来て、そう言うので、お言葉に甘えて、湯船に入る。

 そして、風呂から出ると、翔子がカバンを持って待っていた。

 ・・・なんか嫌な予感がする。


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