第149話 みんなでの同棲の開始
「・・・さぁ、入りましょう?」
俺達は、今みんなで住む家に来ている。
現在は、玄関の鍵を手に、入る前にみんなで写真を撮っていた所だ。
勿論、今日までに、既に中には荷物の搬入の為に入っている。
だけど、本格的に住み始めるのは今日からだ。
翔子の受験が終わった翌日、翔子の家具や雑貨はみんなで買いに行ったのだが、
それが、今日届くのだ。
だから、今日から住む事にしたんだ。
鍵を解錠し、玄関ドアを開ける。
「ここで・・・みんなで住むんだね・・・」
柚葉が嬉しそうに呟く。
「はい。ようやく・・・ようやくみんなで住めるのですね・・・お待たせしてしまい申し訳ありませんでした。」
翔子が、申し訳無さそうにする。
そんな、翔子の背中をポンと叩く。
「何言ってるんだ。翔子が申し訳無く思う必要は無いだろ。」
「そうだな。これもまた必要な事だったのだろうよ。みんなで心待ちにして、それぞれの生活能力を向上させるためにな。」
「そうよ翔子。あたしも総司もアルバイトに慣れる必要があったし、柚葉も家事全般の修行が必要だったしね。みんながみんな慣れない事にいっぱいいっぱいじゃ、多分どこかで不満が爆発してたでしょうし。」
「翔子ちゃん、気にしちゃ駄目だよ?それよりも、みんなでお祝いしよう!その方が楽しいよ!」
俺の言葉に、黒絵、シオン、柚葉が続く。
翔子はそんな俺達を見て、一瞬呆気にとられたが、すぐに微笑んだ。
「・・・ありがとう、ございます。」
「良いさ。さて、簡単に掃除をしてから、それぞれの部屋を確認したら、今日は居間でパーティしよう!」
「「「「お〜!!」」」」
共用部分をみんなで掃除していると、翔子の荷物が届いた。
業者の組み立てが終わると、みんなで届いた荷物を開け、片付ける。
その後、自分の部屋をそれぞれ確認してから掃除し、居間に集まる。
居間で少し話合い、その後みんなでそれぞれ手分けして買い出しに出た。
夕方前には戻り、料理を始める。
「おお・・・柚葉、かなり腕を上げたな・・・」
「えっへっへ〜!頑張ったんだぁ〜!!」
柚葉は、たどたどしかった包丁捌きが無くなり、スムーズに料理を作っていた。
鼻歌まじりに調理をする柚葉。
かなり努力したんだと思う。
俺達を支える為に・・・ありがたい話だ。
少しして、ダイニングに設置した6人がけのテーブルの上には、様々な料理が並んだ。
全員で席につく。
「さて・・・家長として、ソウ、お前が乾杯の合図にをすると良い。」
「そうね。そうしなさい、総司。」
「そうだね・・・私達の中心はそーちゃんだよね!」
「ええ・・・総司くん、お願いします。」
みんなの視線と言葉が集中した。
俺は咳払い一つしてグラスを掲げる。
「それじゃあ、簡単に。俺達は結婚していない。だが、家族だと思っている。みんな・・・俺と家族になってくれてありがとう。これからはずっと一緒だ。乾杯。」
「「「「かんぱ〜い!!」」」」
みんなでグラスを交わし、一気に煽る。
と、言っても、酒を飲んでいるのは黒絵とシオンだけだ。
俺と柚葉は飲んでいない。
というか、俺も飲もうとしたんだけど・・・
『ソウ、今日は記念すべき日だ。止めておけ。』
『そうね・・・その後使い物にならなくなっても困るし。』
という、二人から止められて、渋々飲むのを止めたのだ。
・・・使い物にならないという意味がよくわからなかったのだが・・・まぁ、いい。
まだ、酒の良さも良くわからないしな。
パーティは楽しかった。
これからは、みんなで過ごせるのだ。
大いに騒いだ。
受験のストレスがあったのか、翔子は珍しくテンションが高かった。
しかし、その事について尋ねると、
「違います!去年はあまり一緒に居られなかったからストレスが溜まったんです!!もう!なんでわからないんですかぁ!!」
と、怒られてしまった。
そんなこんなで夜もふける。
黒絵とシオンはほろ酔いだ。
「さて・・・片付けは俺がやっておくから、お前らは順番に風呂に入ってこい。」
「・・・いや、今日はこの家に住む初日だ。一番風呂はソウが入れ。家長としてな。」
黒絵にそう言われ、シオン達を見ると、3人とも頷いた。
「じゃあ、お言葉に甘えるよ。」
「いってら〜。」
シオンの言葉を聞きながら、俺は浴室に向かった。
ここの風呂は少し大きい。
二人ぐらいでなら入れそうだ。
風呂から出ると、片付けは終わっていた。
俺は、お礼を言ってから、みんなで居間でのんびりと過ごす。
その間に、黒絵、シオン、柚葉、翔子の順番で入浴を済ませ、気がつけば午後10時だ。
「結構広いお風呂だったから、これからは二人ずつ入りましょうか。」
「うん!そうしよ!その方が時間も短縮できるしね!」
シオンと柚葉の意見にみんな賛成して、就寝準備。
おやすみを言った後、自分の部屋へ行く。
どうやら、今日はゆっくりと寝させて貰えそうだ。
布団に入ろうとした所で、ノックがあった。
「どうした?」
「・・・総司くん。」
翔子だ。
どうしたんだろう?
翔子は俺の方に近寄ってきて、抱きしめてきた。
「総司くん、みなさんが1番最初を譲ってくれました。」
「・・・ん?」
1番最初?
「というわけで・・・」
「うっ!?お、お前どこ触って・・・」
・・・すぐさま身体が反応してしまう。
「・・・あは♡」
翔子に押し倒される。
そしてそのまま・・・
「いただきま〜す♡」
「こ、こら!翔子!うはっ!?」
・・・ええ〜い!やってやる!!
「・・・はぁ・・・はぁ・・・」
「・・・♡」
一線を終え、翔子は満足そうにしている。
俺はそのまま寝てしまおうと目を閉じ・・・
「次はあたしね〜?翔子、交代よ。」
「・・・はーい。総司くん、頑張ってね〜。」
・・・待て。
まさか、全員ってわけじゃ・・・
「あ、勿論、その後は柚葉で、最後が黒絵ね?」
「やっぱりか!!」
「初日だから無いって思った?甘いわね!初日だから燃えるのよ!!明日は休日だし、頑張りましょうね♡」
シオンの言葉にため息をつく。
だが、しかし、俺だってみんなとの生活を待ち望んでいたのだ。
こうなったら徹底的にやってやる!!
「・・・くっそぉ!こんなこったろうと思った!!ええ〜い!!かかってこい!!」
「あん♡総司ぃ・・・これからぁ・・・はぅっ!!・・・よろしく・・・ねぇ・・・?ひぃん!?」
・・・結局、記念すべき初日の夜は、一睡もさせてもらえませんでした・・・がくっ。
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