第133話 2月のイベントと言えば?(1)
前書き
ちょっと思いついたので、突発イベントと被りましたがバレンタインです。
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「さて、総司。覚悟は出来ているかしら?」
「・・・」
今、俺は追い詰められていた。
完全に抵抗できなくされている。
何があったか・・・俺は記憶を思い返す。
今日は、バレンタインデーだ。
今年のバレンタインは、明日が土日という事もあり、みんな俺の家に泊りがけで来ている。
そう、泊りがけだ。
泊まりのメンバーはシオン、柚葉、翔子、黒絵・・・そして、琴音さんと翼さんだ。
清見さんと葵さんは来ていない。
なんでも、娘がいない事もあり、それぞれ旦那さんと仲良く過ごすそうだ。
怖いのは・・・二人からの伝言だった。
『そーちゃんハッピーバレンタイン!私からのチョコは、柚葉から受け取ってね?・・・それより、今日、お泊りなんでしょ?琴音センパイと翼には気をつけるのよ?あの二人は、何をしでかすかわからないから。パクっと食べられないように気をつけなさいね。』
『総司くん、バレンタインのチョコレートは黒絵に渡してあります。受け取って下さいね?それと・・・今日はストッパーである私と清見はいません。肉食獣が二匹紛れ込んでいますから、くれぐれも気をつけるのですよ?黒絵にも口うるさく言ってありますが、この件に関しては、双葉先輩もあちら側の可能性が高いです。隙を見せないように。』
・・・俺はこの言葉を電話で聞いた時に、だったら泊まりに来てくれませんかと聞いてみたのだが・・・
『愛する旦那とラブラブするから・・・ごめんなさいね?』
『たまには、子供抜きで夫婦の時間を過ごすという事になっているの。ごめんなさい。』
うん・・・それは仕方がない。
双牙さんも、翔一さんも嬉しそうにしているらしいし、俺のわがままにはつき合わせられないよなぁ・・・
それにしても、バレンタインか・・・
俺は先日見た夢を思い出す。
と言っても、断片的にしか覚えていないのだが・・・
その夢の内容は、何故か俺は大学生で、あいつらと一緒に暮らしていた。
そして、バレンタインデートをする事になり・・・その途中で見知らぬ女性に話しかけられ、浮気を疑われて・・・!?頭痛が!?
何か大変な目に遭ったような気がする。
何せ、起きた時に汗でびっしょりだったからな。
・・・あれが、現実にならない事を祈る。
「ソウ?聞いているのか?」
「・・・ああ、聞いている。」
俺は、現実逃避をやめ、黒絵達の話に耳を傾ける。
「そーちゃん?百歩譲って琴音さんと翼さんからチョコを受け取るのは良いの。お母さんも渡してたし。でもね?だからと言ってあれは無いと思うの。」
「・・・俺が頼んだわけではなかったんだが・・・」
「総司、だからと言って、あれは許せないわ。」
三人が怒っている事。
それは、夕飯後、シオン達が入浴中に遡る。
シオン達は、みんなで風呂に行っていた。
相変わらず仲が良い。
俺は、自室に向かおうとして・・・がしっと肩を掴まれた。
振り向くと、そこには瑞希が居た。
「なんだ瑞希?」
「お兄ちゃん、私があげたチョコ、もう食べた?」
「悪い、まだなんだ。すまない。」
「ううん。良いの。お義姉ちゃん達のもあるだろうし。なら、ここでちょっと食べない?私も食べたかったんだ〜。」
・・・まぁ、そうだな。
折角、可愛い妹がくれた奴だし。
俺は、ソファに近づき、瑞希と並んで座る。
「はい、お兄ちゃん。あ〜ん。」
「あ〜ん。」
俺が自室から持ってきた、瑞希がくれたチョコを開けると、一つつまんで俺の口元に持ってきたので、遠慮なく食べる。
・・・上手いなコレ。
結構、良いやつなんじゃないか?
「はい、じゃあ交代ね?」
「は?」
瑞希はそう言って立ち上がると、すぐさまそこに琴音さんと翼さんが俺を挟むように座り込み、肩を組んできた。
まさか!?
俺がバッと瑞希を見ると、笑顔で、
「どうしたのお兄ちゃん?」
「お前・・・まさか・・・」
「あ、私用事があるから部屋に行くね?ごゆっくり♡お母さん、後よろしくね!」
「み、瑞希〜!!!」
嵌められた!!
また、俺を売りやがった!!
しかし、そんな風にしていても、現状は改善しない。
俺達を見る母さんが凄くニコニコしている。
そして、携帯をこちらに向けている。
面白がってやがる!!
「さて・・・じゃあ、次は私達のね?」
二人から肩を組まれ、匂いや感触にドギマギしていると、二人は懐・・・というか、胸の谷間から包装されたチョコを取り出した。
どこに仕舞ってるんだ!!
「総司くん、はいどうぞ♡」
翼さんが包装を解き、そして手でつまんで俺の口元に持ってくる。
さ、流石にこの状態で食べるのは・・・
俺が躊躇していると、琴音さんがニヤッと笑った気がした。
そして、天国と言う名の地獄は加速する・・・
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