第127話 クリスマス(7)シオンの場合

「そーちゃん・・・好きぃ・・・」

「ああ、俺もだよ。」


 俺は今、柚葉に腕枕し、頭を撫でている。

 柚葉は結構痛かったようなので、最後まで優しく動いた。


 ・・・もっとも、最後の最後だけはそうは行かなかったが。

 

「・・・ねぇ、そーちゃん。」

「ん?なんだ?」

「後、詩音ちゃんだけでしょ?いっぱい愛してあげてね?」


 柚葉の言いたい事はわかる。

 シオンは、自分が我慢して、みんなを優先させた。

 とても優しい奴だ。

 なら、俺に出来ることは一つ。

 俺の愛情を持って、その優しさに報いる。


「わかってるさ。」

「・・・うん。それにしても・・・やっぱ痛かったなぁ・・・最後だけだよ。気持ちよかったの。」

「・・・そうか。下手ですまん。」

「ち、違うよ!?そーちゃんのせいじゃないよ!!それに・・・ちゃんとこれから、気持ちよさを、教えてくれるんでしょ?」

「・・・ああ。勿論だ。」

「うん。私も頑張るね。これの使い方も、もっと勉強するから。」


 そう言って、自分の胸をムニムニと動かす柚葉。

 ・・・ごくりっ


「・・・あれ?・・・あ!!そーちゃんったら!三回もしてるのに!!えいっ!」

「イテッ!?こら!指で弾くな!!いて〜だろ〜が!!」

「うふふ・・・これなら、詩音ちゃんとも、大丈夫そうだね。さぁ、そーちゃん!頑張ってね?」

「ああ・・・頑張るさ!」


 こうして、俺はまた風呂で身を清める。

 シオン・・・今の俺の考え方を変え、前に進ませてくれた女の子。

 

 感謝しか無い。

 その感謝の気持ちを、しっかりとぶつけよう。





side詩音


「・・・ふ〜・・・終わったよ〜・・・」

「ゆ、柚ちゃん大丈夫!?」


 翔子が柚葉に駆け寄った。

 明らかに柚葉は疲れて見えた。


「思ったより、痛かったよ〜・・・気持ち良かったのも、最後だけ・・・これからそーちゃんには頑張って貰わないとね〜・・・」

「痛かったんだ・・・」


 あたしは、その言葉に、少しだけたじろぐ。


「でも、そーちゃんのまだまだ頑張れそうだったよ?だから・・・詩音ちゃん。しっかりと愛して貰って来てね?」

「・・・ええ!」


 続く柚葉の言葉に、気合が入った。

 大好きな総司のなら、なんだって受け入れてやる!


「詩音。」


 黒絵が真剣な表情であたしを見る。


「何?黒絵?」

「ありがとう・・・多分、詩音が居なかったら、我々はこのような形で想いを成就する事は出来なかったと思う。礼を言うよ。」

「黒絵・・・」

「詩音さん。私もそう思います。本当にありがとうございました。」

「翔子・・・」


 翔子があたしに頭を下げた。

 そして・・・


「詩音ちゃん。」


 柚葉もあたしの前に来て、手を握ってきた。


「ありがとね?優しい優しい詩音ちゃん。大好きだよ!」

「柚・・・葉・・・あた・・・しも・・・みんなじゃ・・・なきゃ・・・駄目だった・・・と・・・思う・・・ありがとう・・・大好きよ・・・」


 あたしは、その言葉が嬉しくて、涙が出てきてしまった。

 思えば、あたしの人生で、ここまで気心の知れた友達っていなかった。

 だから凄く嬉しかった。


「ああ、ワタシも大好きだぞ。」

「私もです。詩音さん。」

「み・・・んな・・・」


 みんなで抱きしめ合う。


「・・・シオン。」


 総司の声が聞こえて、振り向く。


「総司・・・」

「俺も聞こえていたよ。ありがとう。さぁ、来てくれ。」


 総司があたしに手を伸ばす。

 あたしはその手を掴む。

 もう、離さない!


「みんな・・・行ってくるわね。」


 あたしは総司と寝室に向かった。

 愛し合うために。




side総司


 俺が敷布団に近づくと、ドンッと衝撃が来た。


「シオン?」


 シオンが後ろから、抱きついてきたからだ。


「総司・・・やっと・・・やっとあんたと一つになれる・・・」

「シオン・・・待たせて悪かったな・・・」


 俺がそう言うと、シオンは俺の前に移動してきた。

 そのまま上目遣いで俺を見る。

 その目には、涙が浮かんでいた。


「本当よ!って言ってやりたいけど、良いの。総司が、あたしの望みを叶えてくれたから。」

「望み?」

「ええ、みんなで・・・初めて出来た大事な友達と、一緒に幸せにしてくれるって望み。」

「・・・シオン、それは違うぞ?」

「え・・・?」


 俺の言葉に、驚いた顔を見せるシオン。

 俺は微笑んでシオンを見た。


「今、この状況は、お前が自分で叶えたものだ。呪縛に囚われていた俺を救い、柚葉には勇気を与え、翔子を優しく包み、黒絵と協力してここまで来たんだろ?だから、礼はこちらが言わなきゃいけない。ありがとう、シオン。」

「総司!」


 シオンは俺を押し倒した。

 そして、熱烈に、情熱的にキスをする。

 ややあって、プハッと唇を離すと、照れたように笑い、


「ファーストキスなのに、凄く濃厚になっちゃった♡」


 その表情があまりにも可愛くて。


「シオン!」

「きゃ!?あ・・・」


 俺は思わず、シオンの浴衣を脱がせてしまった。

 月光で光るシオンの裸体。

 とても綺麗で・・・とても淫靡だ。


「シオン・・・俺は、お前が欲しい。」

「総司・・・来て・・・あたしを、あんたの女にして!」

「シオン!愛してる!!」

「総司!愛してるわ!!世界中の誰よりも!!」


 俺はシオンの身体を触る。

 シオンも、俺の身体をまさぐる。

 キスはずっと続けている。


「総司!チュっ!総司!チュッ!ああ!総司ぃ!!好き!好きよ!愛してる!愛してるの!!」

「シオン!俺もだ!好きだ!愛してる!」

「総司!来て!来てぇ!!」

「シオン!」

「あうっ・・・くっ・・・かはっ・・・おっき・・・くぅ・・・総司!最後まで!最後まで来てぇ!!」

「ぐぅっ・・・シオン!!」

「ああっ!!・・・はぁ・・・」

「シオン・・・良く頑張ったな・・・」

「これで・・・あたし・・・総司の女に・・・なれたのね?」

「ああ・・・お前は、俺の女だ。誰にも渡さない。」

「嬉しい・・・来て、総司・・・あたしにどんどんぶつけて!あなたの気持ちを!!」

「シオン!」


 シオンに俺の愛をぶつける。

 涙を流しながら、全て受け入れてくれるシオン。

 ああ、シオン・・・愛している・・・

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