第124話 クリスマス(3)

「ごちそう様〜!!あ〜美味しかったね〜!!」

「ああ、とても美味だった。素晴らしい。」

「本当ね。お肉も美味しかったわ。」

「堪能出来ました。で、この後はデザートですね・・・じゅるり。」

「・・・」


 デザート・・・って、間違いなく、俺の事だよな。

 う〜ん・・・やっぱり普通逆だよな?

 俺がこいつらを美味しく頂くんじゃ無いのか?

 なんか、俺が頂かれるみたいになってんだけど・・・


「・・・なぁ。」

「何よ?」

「その・・・結局、順番ってのは、どうなったんだ?」

「ああ、それね。」


 シオンは、納得したようにうんうんと頷く。

 そして、顔を上げた。


「一番最初は、黒絵よ。」


 黒絵か。

 どう決めたんだろう・・・


「そんで、次が翔子、その次は柚葉、そして、最後があたしね。」

「・・・どう決めたんだ?」

「そうね・・・まず、黒絵は一番年上だからね。それに・・・総司が一番きつい時に、一緒に居てくれたんでしょ?だからよ。」

「・・・ワタシは、別に気にしなくて良いと言ったのだがな・・・みんながそれで良いと言ってくれたから、甘える事にしたんだよ。その気持ちはとても嬉しかったからね。」


 黒絵が、照れながらそう言った。 


「なるほどな。」

「そして、次の翔子。これは、あなたに一番最初に愛を持っていたからよ。」

「・・・確かにな。」

「・・・私も、一番年下だし、気を使わないでって言ったんですけどね。詩音さんと柚ちゃんが譲らなくって」


 翔子が苦笑する。

 

「だって、一番長く気持ちを持っていたんでしょ?そこはリスペクトしなきゃ。」

「うん、そうだね。私みたいな失敗も無かったもんね。そこはやっぱり翔子ちゃんで良いと思う。」


 シオンと柚葉がそう言って微笑んだ。


「で、次が柚葉ね。理由は翔子と同じかな。このメンツなら、あたしが一番最後。」

「・・・お前、それで良いのか?」

「そーちゃんもそう思う?私もそう言ったんだけど・・・」


 柚葉は申し訳なさそうにしている。

 しかし、シオンは微笑んだままだ。


「良いのよ、あたしが最後で。柚葉は確かに、過去に間違えたのかもしれない。でも、ちゃんと総司が好きだった筈。なら、想いを持つ長さなら、あたしよりやっぱり柚葉よ。」


 確かにそうかもしれない。

 しかし、俺が気にしているのは、そこではない。


「俺が聞いているのは、お前が本心でそれで良いのかって事だ。我慢していないか?」


 俺がそう言うと、シオンは苦笑した。


「まぁ、我慢というか、そりゃあ出来れば総司の最初の相手になりたいわ。でもね?あたし達は、みんなで一緒に生きていくのよ?だったら、みんなで納得出来るようにしていかないと、きっと上手く行かなくなる。だから・・・」

「なら、次に何か大事な事を決めなければいけない時は、シオンを基準に考える。お前ら、それで良いか?」

「総司・・・」


 俺がそう言って黒絵や柚葉、翔子を見る。

 みんなにっこりと笑っていた。


「ああ、それで良いとも。」

「うん。私も良いよ!」

「勿論、私も良いです。優しい詩音さんの事、大好きですから!」

「・・・みんな・・・ありがと・・・」


 みんなの言葉に、シオンは涙を浮かべていた。

 やはり、シオンは優しい。

 本当の気持ちを押し殺して、みんなを優先させたんだな。


 だったら、照れてなんかいられない!

 

 パンッ


「な、何!?」

「え?え?そーちゃん?」

「ど、どうしたんです?急に自分の両頬を張ったりして・・・。」

「・・・くっくっく。ソウ、気合は充分のようだな?」


 驚くシオンと柚葉と翔子。

 黒絵は、俺がどうして頬を張ったか気がついたみたいだ。


「ああ、シオンの優しさに甘えてばかりいられない。シオンが自分の気持ちを抑えてでもみんなを優先させたんだ。これ以上無いほど気合が入ったよ。そんなシオンに負けていられない。これ以上男らしく無いところは見せられない!」


 俺は真剣にみんなを見た。

 みんなは、微笑んでくれた。


 俺は・・・今から、みんなを抱く!


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