第123話 クリスマス(2)
「・・・もう、良いか?」
「は〜い。良いわよ〜。」
俺は、後ろを振り向き、縁側から露天温泉に出る。
湯船には既にシオン、柚葉、翔子、黒絵が入浴中だ。
お湯はにごり湯のため湯の中は見えない。
というか、見えなくて助かった。
もし見えてたら、おそらく反応してしまっただろうからな。
こんなタオル一枚くらい余裕で押し上げて丸見えになってしまうところだ。
・・・もう、既に血が集まって来ている感じはしなくもないが。
本当は、一緒に入る予定だったらしいが、俺がなんとか説得して先に入って貰った。
じゃないと、お互い丸見えで、とんでも無い事になってしまうからな。
俺のが。
この時のシオン達の言葉が耳に残る。
『総司、どうせ、今日の夜には全部見るし、見られるのよ?今更じゃないの。まだ覚悟決まってないの?男らしくないわよ?』
・・・ぐうの音も出ない。
そして、何故こんなにこいつらは覚悟が決まってるのか・・・
『ソウ。ワタシ達は、この関係になった時から、既に覚悟を完了している。お前だってそうだろう?』
『そーだよ!だいたい、こうなるまでに、色々な事したよね?なんで今さらそこまで照れてるの?そーちゃんよわよわだよ?』
『総司くん、そんな総司くんを愛でるのも面白いかも知れません。私のここにキュンキュンきます。じゅるり。』
・・・黒絵と柚葉は良い。
翔子・・・やっぱお前はブレないな・・・こわっ!
そんな事を思い返しつつ、俺はかけ湯をして、簡単に汚れているだろうところを洗う。
「そーちゃん!早く〜!」
「わかったわかった。」
柚葉に答えながら、湯船に浸かる。
「ふ〜・・・あ”〜・・・」
「総司くん、気持ちよさそうですね。」
「ああ、気持ち良いぞ〜・・・やっぱ風呂は良い・・・」
翔子にそう答えてから、目を瞑って空を見上げ、足を伸ばす。
「そうだな・・・受験のストレスが消えていくようだ・・・」
「・・・お前、受験のストレスあったのか?余裕そうに見えてたが。」
「ん?勿論あるとも。と言っても、普通の受験生のストレスとはちょっと違うだろうがな。」
「と言うと?」
「受験のせいで、あまりソウ達に構っていられん。」
「・・・そうか?」
充分構っていると思うが・・・
「そりゃそうよね。折角しっかりとした恋人になったんだもの。いつも一緒に居たいわよね。」
「流石シオン、分かっているでは無いか。」
そういう事か・・・
それでも、しょっちゅう一緒には居ると思うが。
「ま、これからよね。」
「そうだね〜。」
「差し当たっては、そろそろしっかりと洗いましょうか。総司くんの身体を。」
「ああ、そうだな。今回の旅行・・・しっかりとストレスを解消させて貰うとしよう。なぁ・・・ソウ?」
一斉に俺に視線が押し寄せる。
じとぉっとした粘着質な視線。
・・・まぁ、約束したからなぁ・・・希望は叶えるって。
「・・・分かった。どうすりゃいいんだ?」
という事で、希望を叶える為に、湯船から出て椅子に座る。
そして、俺を取り囲むシオン達。
「・・・なんでタオルを巻かない!?」
「ほら、早く目をあけなさいよ。」
「うう・・・そーちゃん、早く〜・・・」
くっ!?
いきなり大ピンチだ!
「べ、別にこのままでも良いだろう!?俺は洗われるだけなんだよな!?」
「ほぅ・・・ソウ・・・ならば、良いだろう。そのまま目を閉じていると良い。」
「ええ、そうですね。総司くん?それじゃ洗いますね?」
ぬるっとした感触が、そこら中から感じられる。
「ん・・・はぁ・・・」
「く・・・ふぅ・・・」
「ふぅ・・・ふぅ・・・」
「う・・・くっ・・・ふぅ・・・ど、どうだソウ。きちんと洗えているだろう?」
・・・ちょっと待て、これ、ちゃんと手で洗ってるか?
なんか手の平の感触じゃないような・・・
「・・・なぁ、これ、ちゃんと手で洗ってる?」
「洗って・・・るわよ・・・あっ♡」
「嘘だよな!?」
「うっさいわね!柚葉!行きなさい!!」
「・・・えいっ!!」
「何を・・・うぶっ!?」
こ、この柔らかくもすべすべとした感触・・・やっぱり!?
「や”、や”べろ”!!」
「あん♡そ、そーちゃん喋らないで!振動するでしょ?」
くっ!?
流石にやめさせないと・・・て、うわっ!?せ、背中に柔らかい感触が!?
「うっ♡ソ、ソウ・・・駄目だぞ抵抗しては。はぅ♡・・・ちゃんと洗われると良い。」
黒絵か!!
また羽交い締めにしやがって!!
お前、自分がどんな格好してるか、分かってんのか!!
「さ〜てっと・・・そろそろ、ここも洗いましょうかね〜。」
「ええ、そうしましょうそうしましょう。ではでは!」
シオン!?翔子!?
うひぃっ!?
やめ、やめろぉぉぉぉ〜!!!!
・・・・・・・・
・・・・・・・
・・・・・
・・・・
・・・
・・
・
「はぁ〜!いいお湯だったわね〜!」
「うん!良かったね〜!」
「素晴らしかったです。色々。」
「ああ、良い、予行練習だったな。」
「・・・」
こいつら・・・
はぁ・・・
・・・取り敢えず、飯までに心を落ち着けよう。
うん、そうしよう。
だが、その後いよいよ・・・かぁ・・・
そういえば・・・結局順番はどうなったんだろう?
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