第121話 それから

 食事会の後、その日はお開きとなり、全員は帰宅した。

 それぞれ、自宅で親としっかりと話をしたそうだ。

 勿論、深刻なものでは無い。

 これからの心構えや、どうしたいか、どうするのかを話あったそうだ。

 当然、うちも。

 母さんは基本、俺の・・・俺達の意思に任せてくれるらしい。


「総司達、もう同棲しちゃう?」

「いや、まだしないよ。流石に、高校在学中は親と一緒に居た方が良いと思うから。」

「わかったわ。じゃあ、大学に行ったら、大学の近くでみんなで住むと良いわ。」

「そうだな・・・考えとくよ。みんなとも話し合わないとだしな。」

「そうね。」


 こんな感じだ。


 後日、それぞれの家での話合いの結果を元に、みんなで話し合うと、高校卒業後、翔子が高校を卒業した段階で、みんなで住む事に決まった。

 一応、進学先についても話し合ったが、みんな俺の志望する大学に行くそうだ。

 ここなら、それまでに自宅から通うのは難しい事は無い。

 柚葉は、気合を入れて勉強するって言っていた。


 その先については、俺とシオン、翔子は琴音さんの会社に就職を目標とし、黒絵は迷っているようだ。

 柚葉も、まだ考え中。

 

 急いで決める必要は無い。

 まだまだ時間はあるからな。


 

 


 その後の学校生活でも変わりない・・・と思ってたんだがなぁ。

 変わった事がある。

 というか、俺は気が付かなかったが、光彦に指摘された事で分かった。

 それはこんな言葉だった。


「お前ら、もうヤッた?」

「ヤッてねぇよ!なんでだ!!」


 いきなり何聞いてんだ!っと最初は思ったが、続く言葉に納得してしまった。

 

「いや・・・あいつらと、お前に余裕あるから。もしかしたらって思ってな。」


 ちなみに、光彦には既に俺達の事は言ってある。

 そして、光彦達も仮の付き合いをやめて、本格的にカップルになった事を聞いた。

 そんな中、この発言だ。

 

「・・・ああ、それはな〜・・・」


 あいつらに余裕があって、俺にも余裕があるのは何故か。

 それは、あいつらとある約束をしたからだ。


 俺達は、もうすぐ来るクリスマスに、5人だけで旅行に行くことになっていた。

 黒絵が受験だから、どうかとは思ったのだが、


「全然問題無い。まず、落ちることは無いからな。」


 という事らしい。

 恐ろしい奴だ・・・

 流石は、完璧生徒会長なだけはある。


 ちなみに、この旅行は、親の許可は取ってある・・・というよりも、親たちから、お祝い代わりに、プレゼントされたものだ。


 温泉旅館で、3泊4日。

 そこまでは電車だ。

 この温泉には珍しい事に、離れとして、温泉付きの個別の建物があり、今回奮発してくれたのか、その部屋を取ってくれたみたいだ。

 とても嬉しい。

 いいきっかけになると思ったからだ。

 兼ねてからのあいつらの希望していた事への、な。


 俺達はそこに行って・・・関係を進める。

 そんな約束をしたのだ。

 それを聞いたあいつらは、とても嬉しそうに、


「・・・わかったわ!ついに総司が覚悟を決めてくれたのね!楽しみ!!」

「うん!・・・わ、わたしもいよいよ・・・うう・・・恥ずかしいけど頑張るよ・・・」

「・・・長年の夢がついに叶うのですね!それまでに妄そ・・・イメージトレーニングをして、失敗しないようにしなければ!」

「ソウと・・・楽しみだな!・・・ふむ。ならば、ワタシ達はそれまでに、順番を決めねばいけないな。詩音、柚葉、翔子、今度四人で話し合いをしよう。」


 そう言った。

 

 それ以降、あいつらは引っ付く事はあっても、無理やりどうこうというのは無くなった。

 そして、それを伝えた時の光彦が苦笑した。


「・・・なるほどなぁ。どこも一緒だな・・・」

「・・・お前もか?」

「ああ、うちも莉愛が、ガンガン来て、たじろいでいたんだが、クリスマスに一緒に過ごす事になってな?そこで一晩共にする事になったんだ。それで・・・まぁ・・・そんな感じの約束をしたら、それからはパタッと・・・な?」

「・・・なるほど。」


 それで、どこも一緒・・・か。

 俺も同じ様に苦笑する。


「・・・覚悟決めねぇとなぁ・・・」

「・・・そうだなぁ・・・」


 俺の呟きに、光彦も同じ様に呟く。


「だけど・・・これ、普通逆じゃね?」

「・・・だよな。」


 続く光彦の言葉に、同じ様に返した。

 やっぱそうだよな?

 普通、男女逆だよな?


 





 そして、期末試験を済ませ・・・俺達は冬休みへ突入する。

 俺達が旅行に行くのは、24、25、26、27の4日間だ。

 

 それまでに宿題や勉強を済ませて・・・当日を迎えた。

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