第116話 報告と修羅場(親) (3)

 まだ身体の関係の無い、付き合っている彼女達と、エロいDVDを鑑賞するという、地獄の様な時間が過ぎ去り、就寝へ。

 ・・・何が地獄かって、あいつら解説を求めてくるんだ!!

 何が悲しくてそんな事せねばならぬのか!

 恥ずかしいにも程がある!


 ・・・この夜、何があったのかは言いたくない。

 勿論、最後まではしていない。

 していないが・・・恥ずかし過ぎる!

 頬を赤らめて色々触れ合っているあいつらが俺の・・・あああああ!駄目だ!

 叫びたくなる!!



 ・・・今は翌日の朝だ。

 みんなで朝食を取っている。

 母さんは出勤し、瑞希も学校に行った。

 家には俺達だけだ。


 にしても・・・こいつらの顔を見ると、昨夜の事をまた思い出してしまう。

 ぐ〜っ!まさかあんな目に遭うとは!!

 こいつらは羞恥心がねぇのか!!


 そして、俺がそう言った時のシオンの言葉がこれ。


「何よ。総司もいい思いをしたから良かったでしょ?それにしても・・・やっぱり変な味ね。」


 ・・・信じらんねぇ。

 そりゃ、確かに俺もいい思いした。

 それは間違い無い。


 あんな風になるのか・・・


 はっ!?

 い、いかん・・・朝から何考えてんだ俺は!!


「どうしたソウ?百面相をして。」

「・・・なんでもねぇよ。」


 俺は黒絵からの指摘にそっぽを向く。

 言えるかっての!

 しかし、そっぽを向いた方にも翔子がいる。


「どうしました総司くん?もしかして・・・思い出してたり?」

「あっ!そーちゃんのエッチ!」


 いや、エッチなのはお前らだからな?

 最初は恥ずかしそうにしてたくせに、途中から興味津々になってたの知ってるからな?

 ・・・これで、関係を持ったらどうなるんだ?

 俺・・・保つのか?


 ・・・いかん。

 先の事は未来の俺に任せよう!

 うん、そうしよう!


 こうして、食事を終え、みんなで作戦会議。

 勿論、親への挨拶についてだ。


「まず、考えなきゃいけないのは、一度に全てを終わらせるか、それとも個別に行くかの2択ね。どうしようか?」

「ふむ・・・ワタシは、一度に終わらせた方が良いと思う。」

「黒絵ちゃん、なんで?」

「個別に行けば、味方はいない。しかし、一度に済ませれば・・・」

「少なくとも、お母さんと、琴音さんがお父さん達を説得する味方になる可能性が高い、というわけですね?」

「翔子の言うとおりだ。というより、主な敵は、父上と・・・」

「私のお父さんだよね。」


 ・・・敵・・・敵っておい・・・


「そうね。黒絵のお父さんと柚葉のお父さんをどう切り崩すか、それが問題よね・・・」


 ・・・真剣な顔で考え込む四人。

 というよりだな、


「なぁ、ちょっと良いか?」

「何?そーちゃん?」

「なんで母親側は味方みたいな言い方してんだ?むしろ、普通は心配しそうな気がするんだが・・・」

「「「「それは心配無い(わ)(よ)(です)」」」」

「・・・なんで?」

「「「「・・・・・・」」」」


 無言かよ!

 なんでそんな自信があるんだ!?

 俺にも教えてくれよ・・・


「ソウ、本当に、そちら側は大丈夫だ。ワタシ達を信じろ。」

「・・・わかったよ。」


 そんな風に言われたら、信じるしかねぇじゃねぇか。

 ・・・まぁ、良い。反対されたら、された時だ。

 元々、俺は認めて貰うまで、何度だって頭を下げに行くつもりだった。


 これは、シオン達が望んでいた事だとしても、俺が決めたことだしな。

 そこは、男の責任を果たさなきゃいけないと思う。

 だから・・・


「俺の話を聞いてくれるか?」

「・・・何?総司。」

「あのな?俺は・・・素直に正面から話したい。」

「・・・なんでですか?作戦を考えて、説得できるようにした方が良いのではないですか?」


 翔子が、俺に小首を傾げて尋ねて来た。

 

「相手は、親だ。大事な娘を持つ親なんだ。俺達は、お互いに気持ちを持っている。そして、今はお互いが望んだ関係ではある、だが、将来を見据えれば、親父さん達は、大事な娘が、普通じゃない関係になるのは、絶対に納得出来ない事だろう。」

「・・・それで?総司はどう考えてるの?」


 シオンの言葉に、俺は四人を真剣に見据えて口を開いた。


「大事な娘を貰うのに、隠したり、騙したり、嵌めたりしたくない。少しでも心配をさせないように、誠実でありたい。殴られようが、断られようが、俺は絶対に諦めるつもりはない。何度だってお願いに行くさ。だから、正面からぶち当たって、俺達がこの関係を望んでいるってのを、わかって貰いたいんだ。頼む!これはお前らを貰う事になる、俺の意地なんだ!それに、無理やり認めさせて、お前たちと親の関係が拗れて、疎遠になったりして欲しくないんだ!」


 そう言って頭を下げる。

 

 この関係は、絶対に世間から後ろ指を刺されるだろう。

 だからこそ!俺はみんなを守れるような男でありたい!

 その為に、後ろめたい気持ちを持ちたく無いんだ!


 常に全力を出せるよう、せめて気持ちだけはしっかりとしておきたい。


「・・・まったく。ソウ・・・お前という奴は・・・どこまで行ってもソウはソウだな・・・だが、だからこそワタシ達は・・・」

「本当にそうね・・・根回しとか色々考えてたのに・・・はぁ、仕方がないわね・・・でも、それならあたし達だって出来ることよね。だから・・・」

「そうだね!私達だって分かって貰えるように頑張ってお願いするよ!」

「ええ、そうですね。頑張りましょう!」

「・・・すまん。俺の我儘で。」


 俺が頭を上げてそう言うと、四人とも微笑んでいた。


「何言ってるのよ。そういう総司だから、あたし達は、一緒になりたいって思ってるのよ?」

「詩音の言う通りだな。ワタシもそうだ。ソウ、お前はそれで良い。それで良いんだよ。問題が出来たら、みんなで頑張れば良いさ。」

「私だって頑張ります、それに、お母さん達もいます。大丈夫ですよ?総司くん。きっと大丈夫。」

「そうそう!そーちゃん!頑張ってお父さん達に認めて貰おう?ね?」


 ・・・ありがとう。


 こうして、その週の週末、全員の親を集めて、打ち明ける事になった。

 これには、各々自分の親にLINをし、集まって貰うことの了承を得ている。

 会場は、俺の家だ。

 

 何故、俺の家かと言うと、シオン達の言葉に感銘を受けたからだ。


「総司、総司のお父さんにも聞いてもらおう?」

「そうだね!そーちゃんパパもきっと見守ってくれるよ!」

「・・・はい、私もそう思います。それに、私も総司くんのお父さんには可愛がってもいました。聞いていて貰いたいです。」

「ワタシはお会いした事が無い、しかし、真っ直ぐなソウの父親で、母上達のような人たちが取り合った方だ。素晴らしいお人だったのだろう。ワタシも是非、一緒に聞いていて頂きたい。」

「お前ら・・・あり・・・がとう・・・」


 不覚にも涙が出てきてしまった。

 そんな俺に寄り添ってくれるシオン達。


 父さん・・・俺は、良い子達に出逢えたよ・・・

 絶対に幸せにする・・・そう心に誓うのだった。




 そして、運命の週末を迎える・・・

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