第11章 付き合った事による変化

第114話 報告と修羅場(親) (1)

 文化祭が終わった日、母さんの過去を聞いた後、シオン達は俺の家に泊まる事になった。

 次の日は文化祭による振替休日だったからだ。

 それぞれの親は帰宅した。

 まぁ、仕事だからな。


 その夜、俺達はみんなで話し合うことにした。

 勿論、親への報告についてだ。


 何せ、全員と付き合うなんてとんでもない結論になっちまったからな。

 大丈夫だろうか・・・


「そーちゃん、どうしたの?難しい顔して。」

「ん?ああ・・・まぁ、俺のせいでこんな結論になっちまったからな。果たして、親に受け入れてもらえるのかどうか・・・って心配になっちまったんだよ。」

「・・・大丈夫ですよ総司くん。もし、親が反対したとしても、私は・・・私達は、あなたと共にいますから。」


 翔子は、付き合ったのを期に、また昔のように『総司くん』と呼ぶようになっていた。

 

「翔子の言う通りだぞソウ?お前が覚悟を決めたように、ワタシ達だって覚悟をきめているのだ。そんなに心配しなくて良いさ。」

「そうね。取り敢えず、あたしの家と翔子の家は良いとして・・・黒絵のお父さんと柚葉のお父さんが問題よねぇ・・・」


 シオンの言葉にふと引っかかった。

 母さん達が反対する可能性は考えて無いのか?


「いや、全員だろ?なんで琴音さんや翼さんが抜けてんだよ。」

「・・・それは・・・ま、良いじゃないの。でも、きっとあの二人は認めてくれるよ?安心してなさい。」


 何かを・・・隠された?

 まぁ・・・でも、いっか。

 悪いことでは無いだろう。

 シオンは頭が良い。

 言わないって事は、言う必要が無いって事だ。

 そう思えるくらいには、みんなを信用している。


「はぁ・・・でも、良かったぁ・・・本当に・・・総司がこの関係を選んでくれて。」

「そうだな・・・賭けの部分はやはりあったからな。ソウは以外に硬いからなぁ。」

「でも、これでみんなで一緒にいられるね!私嬉しいよ?だって、みんなの事好きだもん!」

「ええ・・・私もそう思います。もっとも、世間からの目はかなりきつくなると思いますが・・・でも、私達が負けなければ良いんです。その絆はきっとあります。」

「そうね。翔子良いこと言うわね。うん!私達の絆は強いわ!顔の見えない『世間』なんて言うのに負けてたまるもんですか!」


 シオンの言葉にみんなが嬉しそうに笑う。

 俺はそんなみんなを見つめていた。

 その俺に目ざとく気がついた柚葉が、俺を指さした。


「あ〜!そーちゃんが私達を見てニヤニヤしてる!エッチ!!」

「なんでだよ!!俺はただ、お前らが嬉しそうにしてるのを眺めてただけだ!!人聞きの悪い!!」


 まったく!

 微笑んだだけだ!!

 なんだニヤけるって!!


「あ、でも、どうする?アレは?どんな順番で行く?」

「・・・ふむ。それは悩みどころだね。どうするか・・・」


 ん?


「そうですね・・・くじ・・・とか・・・」


 んん?


「・・・それって・・・う〜・・・で、でも、そうだね・・・大事な事、だよね。」


 こいつらなんの事を言ってる?

 なんでこいつらだけ分かり合ってるんだ?


「総司。」

「なんだ?」


 そんな風に小首を傾げてると、シオンに話しかけられた。


「誰から抱きたい?」

「・・・ちょっと待て。」


 こいつ・・・いきなり何言ってんだ!?


「なんでいきなりそうなる!!」


 俺がそう叫ぶと、シオンを含む全員が、俺を何言ってんだコイツという顔で見た。

 え?

 俺がおかしいのか?


「え?だって、あたし言ったわよね?付き合ったら遠慮しないって。」

「た、確かに言ったが、だがな?」

「ソウ、ワタシもいい加減我慢の限界なのだ。今まで色々して来てどれだけ悶々としてきたと思っている。」

「い、いや・・・それは・・・」

「総司くん?私なんて、小学生の時からですよ?どれだけ待たせるんですか。」

「翔子は早すぎる!!小学生からって・・・お前なぁ。」

「そーちゃん・・・私恥ずかしいけど頑張るよ?何すれば良い?おっぱい?おっぱいなの?」

「待て待て待て!柚葉!お前はもうちょっと色々考えろ!後、おっぱいとか言うな!!こっちが恥ずかしくなるだろ!!」


 こいつら・・・がっつき過ぎだろう!!

 普通、男の俺の方が、がっつくもんだろうが!!

 俺はもうちょっと彼女が出来た事の余韻に浸りたいんだよ!

 センチメンタルで悪かったな!!


「良いじゃないの。減るもんじゃないし。むしろ増える。」

「何が!?」

「そりゃ、子供が・・・」

「アホか!!良いか!?俺は親への報告が終わるまで、お前らに手を出すつもりは無い!断じて無い!!子供を作るのも、きちんと働きに出てからだ!」

「「「「え〜」」」」


 なんちゅう奴らだ!

 後先考えなさすぎだろうが!!


 俺の意思が固いと見た奴らは、お互いに目配せする。

 そして・・・


 一斉に襲って来ただと!?


「こら!まさぐるな!!」

「ソウ、抵抗するな。」

「怖えよ!」

「すぐ終わるから。ね?」

「シオン!そう言う問題じゃねぇ!」

「ちょっとぐらい良いですよね?先っぽだけですから。」

「駄目だ!」

「そーちゃん?我慢は良くないんだよ?」

「駄目!」

「良いじゃないの。ほら、総司のここもこんなに・・・」

「言わせね〜よ!?」


 少しの間ジタバタと抵抗する。

 なんで俺のほうが襲われなきゃいけね〜んだ!!

 おかしいだろ!!

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