第101話 懺悔の朝 そして 無反省の夜
「「「・・・ごめんなさい」」」
「・・・何が?」
みんなで一階に降りると、母さんと琴音さん、そして翼さんが正座で謝罪してきた。
そして、その後ろには、葵さんと清見さんが仁王立ちしていた。
「この三人は、そーちゃんを酔わせて、襲おうとしていたのよ。」
「清見・・・あれは、たまたまお水と間違えて、お酒を渡しちゃっただけで・・・」
「双葉先輩?言い訳しない!」
「・・・はい。」
葵さんに睨まれて、シュンとする母さん。
「琴音さん?それに、翼。あなた達は、酔ってるからってメチャクチャしすぎです。娘の想い人になんて事をするつもりだったんですか?」
「そうです!そーちゃんだって相手を選ぶ権利があります!」
「「ごめんなさい。」」
同じく、シュンとする二人。
そして、葵さんと清見さんは俺たちを見た。
「・・・そーちゃん?こんな人達だけど、許してあげて?」
「ええ、色々プライベートの事なんかで、はちゃけただけなの。黒絵も、詩音さんも、柚葉さんも、翔子さんも、勘弁してあげて。」
そう言って、すまさなそうに頭を下げる。
・・・よくわからんけど、友人の為に頭を下げる事が出来るのは、尊敬できると思う。
「・・・よくわかりませんが、俺は許そうと思います。誰だってむしゃくしゃする事はありますし・・・お二人の事情はわかっているつもりですから。」
「「総司くん!!」
「あ、母さんは後で説教ね?」
「そんな!総司!お母さんも許してよ!!」
「許さないとは言ってない。だけど、注意はさせて貰うぞ。」
「そんなぁ・・・」
俺の言葉に、がっくりしている母さん。
しかし、そんな俺の肩をポンと叩く黒絵。
「まぁ、ソウ。そんなにお母様を怒ってあげるな。」
「いや、しかしだな?」
「そうよ総司。それを言ったら、お母さんだって、メチャクチャやったしさ。」
「詩音・・・」
「そーちゃん?そーちゃんママを許してあげて?」
「・・・まぁ、お前らがそう言うなら・・・」
「お母さん?これからは、私達がいる時以外、手を出してはいけませんよ?」
「翔子!ありがとう!これからは気をつけるわ!!」
・・・翔子はちょっと違う。
いや、大分違う。
駄目だよね?
お前らが居ても駄目だよね?
「翔子は・・・もう!」
「・・・げに恐ろしきは翔子か・・・」
「翔子ちゃん・・・本当にブレないねぇ・・・」
シオン達も呆れた様にそう言っている。
そんなこんなで、取り敢えず朝食となった。
「そういえば・・・瑞希は起きて来ないな。」
「あ、そうね・・・ちょっと呼んでくるね?」
「私も行きます。」
ふと思い出して、そう呟くと、勝手知ったる柚葉と翔子が2階に瑞希を呼びに行く。
そして、少し待っていると・・・
「ふぁぁあああ・・・おふぁようごじゃいしゅ・・・」
瑞希が起きてきた。
そのまま洗面所に行き、顔を洗って目をシャキッとさせ戻ってきた。
「・・・お前、よくあんだけ騒いでる中で、寝られたな。」
「ふぇ?私、一回寝ちゃうと気にならなくなるんだよ。あ、でも、寝る前に、お兄ちゃんの部屋からキャッキャとした声が聞こえてたのは知ってる。」
「「「「っ!!」」」」
その瑞希の言葉に、シオン達の顔が強張った。
・・・やっぱり、何か隠してんなぁ。
「・・・お前ら、俺に何か謝る事あるか?」
俺がそうジト目で問いかけると、全員が目をそらした。
「な、何も無いわよ?」
「う、うん・・・そーちゃんは気にしないで?」
「・・・そうです。総司先輩が気にする事ではありません。ちょっと話してただけです。」
「そうだ。ちょっとソウの事について、な。聞きたいか?」
「・・・いや、いい。」
聞きたくない。
自分がどう話されたのかなんて。
しかし、何かを誤魔化されてる気もするんだよなぁ・・・
だが、これ以上は追求は無理か。
証拠が何も無い。
こうして、食事を終え、また勉強に移る。
瑞希は遊びにでかけたようだ。
なんでも、友人と集まって、昨日入手した写真(スマホでの俺たちを撮影したもの)を自慢するそうだ。
・・・やめてくんねぇかなぁ。
今回は、清見さんや琴音さん達も一緒に写ってるから、テンション激上がりだった。
そりゃ、確かにみんな美人だけどさぁ。
やれやれ・・・
こうして、夜まで勉強して、瑞希も帰宅し、夕食となった。
今日はアルコールも無く、平穏・・・とは言えないかこれは。
「そうなのよ!もうね?腹が立って腹が立って!」
「琴音さん、大変なのね〜。流石は社長。なかなか無い悩みだわ〜。」
「でも、羨ましい気もします。私は、仕事は夫に任せて、家を守っていたので、そういう悩みは無かったから・・・」
「あら?でも、翼さんも離婚をするつもりなのよね?だったら前に言ったように、ウチで働きなさいな。あなたは優秀だって双葉さんからも聞いているし、当時も非凡な感じだったし。どう?」
「・・・よろしいのですか?で、あれば、前向きに考えます。」
「ええ、勿論よ。あなたであれば、秘書でもやっていけると思うし。今度面接に来て?」
「わかりました。」
「翼!良かったわね!琴音さん!翼をよろしくお願いします!」
「本当に。よろしくお願いしますね琴音さん。」
「ええ、勿論よ。」
「・・・清見、葵・・・心配してくれてありがとう。」
まぁ、とはいえ、いい話ではあるな。
素晴らしい友情だと思・・・
「あ、それなら前に言ってた通り、翔子ちゃんと一緒に家に住む?」
ん?
母さん?
「・・・でも・・・」
「大丈夫大丈夫!総司も可愛い女の子と住めるなら喜びしか無いだろうし!!」
んん?
「でも・・・折角、総司先輩に女の子として見てもらえる様になったし、また妹みたいに見られそうで・・・」
「大丈夫よ、翔子さん?日中は義妹・・・しかし、その実態は、夜は総司くんの専属メイド。入浴からお休み、おはようまでばっちり。・・・これでいけるわ!」
「な、なるほど!琴音さん流石ですね!じゃあ良いです!!」
「いやいやいやいやいや!何言ってんですか!?」
翔子も、じゃあ良いです、じゃないよ!
「いっその事、詩音とも一緒にお邪魔しようかしら・・・」
琴音さん!?
「あ、悪くないわね、それ。」
「シオン!?」
お前も何納得してんだ!?
「ちょ、ちょっと待って琴音センパイ!それはズルいです!というか・・・危険しかないじゃ無いですか!!」
「そうです!琴音さんと翼を総司くんと一緒に住まわせるなんて・・・食べられる未来しか見えません!却下です!!」
「「「「「ええ〜?」」」」」
琴音さん、翼さん、母さん、翔子、シオンが文句を言っている。
・・・そんな猛獣ばかりの家に住めるか!!
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