第100話 鬼×4、あらわる

「とりあえず、下に行くとしよう。」

 

 黒絵の言葉に引きつる。

 今、下には、下着姿の母さん達が・・・


「あ、や、止めておいた方が良いんじゃね〜かな。もうちょっとここでゆっくりしてよう!うん!」


 俺の言葉に、全員が目を細めて、俺を凝視してきた。


「・・・ソウ。何故止める?・・・そう言えば、先程ソウは、下に水を飲みに行ったと言ったな?」


 あ、やべ!?


「・・・総司、ねぇ?ちょっと教えて欲しいなぁ・・・下で何があったの?」


 シオンが、にじり寄ってきた。

 目は一切笑っていない。


「・・・別に、何も、無いぞ?」

「・・・そーちゃ〜ん。嘘だよね〜?だってそーちゃん、嘘つく時のクセが出てるもんね〜?」

「何?」

「総司先輩は、嘘をつく時、目尻がピクピクするんです。」

「マジで!?」


 俺は思わず目尻を触り・・・ん?

 特に動いてねぇけど・・・は!?


「当然嘘です。でも、馬脚を現しましたね。」

「・・・語るに落ちたな、ソウ。さて・・・何があった?いや・・・?」

「くっ!?」


 言えない!

 言ったらなんか多分、俺がひどい目に遭う未来しか見えない!!

 断固拒否だ!!

 俺は、するりとドアを背後にするように移動する。

 それを見咎めて、シオンが目を更に細めた。


「・・・ふ〜ん。へ〜・・・黙るんだぁ。それに、下に行かせない、と。総司・・・いい度胸ね?」


 ・・・くっ!?怖え!!

 だが、『クレナイ』は負けん!!

 負けられるか!!


「翔子!」

 

 そんな俺を見て、シオンが叫んだ。

 

「はい!」

「な!?うお!?翔子!?なんでお前脱いで!?」


 翔子が突然服を脱ぎはじめやがった!!

 俺は反射的に目を瞑り・・・ってしまった!?


「そーちゃん隙あり!!」


 柚葉がドアに走り、下に向かおうとした。

 俺は反射的に目をあけ・・・って、なんでシオンまで脱いでるんだ!?


「甘いわよ総司!!」


 シオンも翔子も堂々と下着を晒している。

 一瞬だったが、ピンクなのと水色なのが見えた。

 こいつら躊躇ねぇ!!


 あ!?柚葉が下に・・・

 そして聞こえる叫び声。


「あ〜!?お母さん達何やってるの!?なんでこんな状態なのよ〜!!」


 ば、バレた!?


「お母さん達早く起きて!!それと服着て〜!!下着姿じゃないの!!そーちゃんが居るんだよ!?」


 ・・・やべぇ。

 そんな心境の俺の肩が、背後から、がしっと掴まれた。


「・・・ソウ。お前・・・見たな?」

「ぐっ・・・」


 黒絵が低い声で俺に呟いた。

 すげぇ力で肩が・・・イテテテ!?


「これは・・・おしおきですね。」


 翔子が下着姿でにじり寄ってくる。

 目を逸らすが、そこにも下着姿のシオンが!


「総司・・・あんた・・・またお母さん達の、見たわね?」

「・・・ノーコメントで。」

「それで・・・許されるとでも?総司先輩?」

「ひっ!?」


 翔子が、俺のケツを鷲掴みにして穴に指を食い込ませて・・・

 てゆ〜か、なんで見られたのがお袋さん達なのに、こいつらが怒ってるんだ!!


「そ〜ちゃん!!もう!まったくもう!!なんで私達じゃなくてお母さん達の裸ばっかり!!む〜!!もう許さないんだよ!!」


 柚葉も戻って来やがった!!

 って、怒るとこそこなのか!?


「総司先輩?素直にごめんなさいしましょう?・・・そうすれば、先輩の処女は無事でいられますよ?」


 怖えよ!!

 なんだ俺の処女って!!・・・って、意味分かるわ。

 ヤバい・・・


 俺は般若のような顔をしている4人を見る。


「わ、わかった!悪かった!不可抗力とは言え、下着姿だったとはいえ、見ちまった事は謝る!すまなかった!!」

「・・・じゃあ、当然、私達の下着姿も見えるわよね?」

「い、いや、それは・・・」

「見えるわよね?」

「・・・そ、そりゃまあ・・・」

「じゃあ、今日の夜は、ファッションショーね?下着姿の。それで、それぞれ感想を言うこと。良いわね?」

「い”い”?」

「ソウ・・・出来るな?出来ねば・・・その時は、お前にファッションショーをして貰おう。いや、お前の場合は、ファッションショーと言うより、芸術的なモノが良いか。そうだな、ミケランジェロ作のダビデ像なんてどうだ?」


 ・・・それって、パンツすら履かずに、丸出しの奴だろう?


「嫌か?なら・・・感想、出来るな?」

「・・・はい。」


 ・・・なんてこった。

 とんでもない事になっちまった。


「それと、ワタシ達以外の女性の、下着姿や裸を見ないように。」

「・・・そんなの見る予定なんて・・・」

「そーちゃん!返事は!?」

「・・・はい。」

「それと、エッチな事をするのも、私達だけですよ?いいですね総司先輩?」

「そ、そんな事はしな・・・」

「総司!返事!!」

「はい!!」

 

 ・・・なんで俺、ここまで怒らせてるんだ?

 ・・・恨むぞ母さん達・・・

 

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