第99話 目が覚めて・・・

「う?・・・朝?・・・くっ!頭がいてぇ・・・」


 なんでこんなに頭が痛いんだ?

 それに・・・部屋に充満する甘い匂いは一体・・・


 ん?


「・・・あん・・・」


 んん?


「あっ・・・はぁ・・・」


 なんだこの柔らかい・・・ってこの間も似たような事があったような・・・だが、この間より弾力が半端ない・・・それに、沈み込むような・・・

 俺は手を動かしながら、ちらりと隣を見る。

 するとそこには・・・


「・・・あ・・・はぅ・・・はぁ・・・ん・・・」


 ゆ、柚葉!?

 それにこれは柚葉の凶悪な・・・っていかん!?

 俺はすぐに手をどける。

 しかし、そこには、柚葉の凶悪なモノのをガードするものが何も無く、そしてピンク色の・・・ま、まずい!!


 俺はすぐに目をそらした。

 しかし、そこには、同じような状態の黒絵が!?


「くっ!?」


 黒絵はすやすやと気持ちよさそうに寝ている。

 と、とりあえず、ベッドに・・・ってそっちには翔子とシオン!?

 これどんな状況だ!?

 いかん・・・全然思い出せん・・・


 と、とりあえず下に降りて、水を飲もう・・・


 俺はそろそろと下に降り・・・ん?俺、いつ寝間着を着たんだ?

 記憶が無い・・・


 何故だ・・・と、下についたな。

 取り敢えず台所で水を飲もう。

 コップに水をついで、まずは一気飲み。


 ・・・美味い。

 生き返る・・・

 って、なんでこんなに水に飢えてるんだ俺は?


 まぁいい。

 ソファでゆっくりともう一杯飲むか。


 俺は居間に移動し、水を・・・ってなんじゃこりゃ!?


「ZZZZ」

「くー・・・す・・・」

「・・・ん・・・」

「・・・くー・・・」

「・・・くか~・・・くか~・・・」


 居間で雑魚寝している母さんと琴音さんたち。

 いや、それはいい。

 それよりも・・・なんでみんな下着で寝てるんだ!?

 

 大人の女性の下着姿・・・それも、超絶美人ばかり・・・ごくりっ・・・

 ・・・母さんが邪魔だな・・・

 いくら美人でも実の母親の下着姿はちょっと・・・


 は!?

 い、いかん!

 俺は何をまじまじと見ている!?

 戦略的撤退だ!!


 俺は、再度2階に移動する。

 何がどうなってるんだ・・・どうしてこんな状況に!?


 疑問に思いながらも、自室に戻る。

 すると、


「ああ・・・ソウ、起きたか・・・おはよう。」


 黒絵が目を覚ましていた。


「お、おお。黒絵。おはよう。」

「・・・は!?そ、ソウ!具合はどうだ!?」


 黒絵が心配して大きめな声をだした。

 そして、その声で、シオン達が続々と目を覚ます。

 しかし、具合?


「・・・ちょっと頭痛がしたが、とりあえず水を飲んで落ち着いたよ。しかし、昨日の事、最後あんまり覚えてねぇんだよなぁ・・・」

「そ、そうか・・・それは良かった。うん。本当によかった。」

「お、おはよう総司。覚えてないのね・・・そっか・・・そっか。」

「そ、そーちゃんおはよう。・・・あう・・・」

「・・・おはようございます総司先輩、頭痛はよくありませんね。もう少し横になったらどうですか?うん、そうしましょう。さあ、早く。」


 俺がそう言った瞬間、黒絵と、他の面々がそう言いながら、顔を赤くして目をそらした。

 ・・・なんだこの反応?

 嫌な予感がするんだが・・・


「・・・なんか隠してないか?」

「べ、別に隠していないさ。」

「そうよ!何も無かったわ!」

「そ、そうだよ!何も無かった!無かったの!!」

「・・・総司先輩?早く寝て下さい。さぁ!!」


 ・・・絶対なんかあったなこりゃ。

 

 俺が不審そうな目で見たのに気がついた黒絵が、観念して口を開いた。


「・・・ソウ、お前は、昨日お母様と琴音さん、翼さんに酒を飲まされ、酔ってしまったのだ。」


 何?

 ・・・そう言えば、何か辛いものを食べた後に・・・喉が・・・


「総司、あなたはアルコールに凄く弱いみたいよ。だから、覚えて無いの。」

「・・・そうなのか?」

「そ、そうだよそーちゃん!その後は、私達が助け出して、一緒に2階に来たの!そして、着替えて寝たんだよ。本当だよ!」

「・・・その辺は全然覚えてね〜な・・・」

「総司先輩、柚ちゃんの言う通りです。総司先輩は、自分で着替えて、布団に横になったんです。」


 ・・・そう言われると、そんな気がしてきた。

 そんな俺を見て、何故か表情を緩めた後、真剣な表情になる黒絵達。

 

「・・・ソウ、お前はあまりアルコールに強く無いようだ。我々がいる時以外は、今後決して飲んではいけないよ?いいね?」

「・・・ちょっと大げさじゃね〜か?」

「全然大げさじゃないわよ!!絶対駄目よ!じゃないと・・・気がついたらパパにされてるかもしれないわよ!!だから絶対だめ!!わかった!?」


 シオン達が凄まじい形相で詰め寄って来た。

 ぐっ・・・しかしだな・・・ってパパって・・・


「・・・いやいや、いくらなんでも、それは無いだろう。何かされたら、多分起きるだろ?ましてや、そんな事されようもんなら飛び起きるわ。」


 ないない。

 そんな事ありゃすぐ起きるわ。

 童貞、舐めんじゃね〜ぞ?

 股間触られた瞬間、飛び起きるわ。


 しかし、そんな俺を尻目に、シオン達は確信を持っているであろう顔で即答した。


「「「「絶対、起きない。」」」」

「な、なんでそんな断言するんだ!?」

「「「「・・・」」」」

「なんで無言になるんだよ!!」

「良いから!わかった!?」

「わ、わかったよ・・・」

「よし!」


 何故か、シオン達は全員ホッとした表情をした。


 つ〜か・・・こええ・・・すげぇ怖かったわ今・・・

 鬼気迫る表情だったぞ?

 こいつら全員。


 しかし・・・絶対起きると思うんだけどなぁ・・・

 俺、そこまで間抜けじゃねぇよ?


 ・・・多分。


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